深居優治「アオの呼吸」の歌詞一覧リスト

曲名 歌手名 作詞者名 作曲者名 編曲者名 歌い出し
白痴深居優治深居優治深居優治深居優治彼の名前を憶えているのは僕だけ どこにも居なくなってから 彼の物語は始まった。  綺麗な物語ばかりを見過ぎて 薄れてゆくものと、消えないものの 両方に手を引かれて宙に浮く。  彼はまた少しずつ、忘れてしまうのかな。 切り取った風景の中、笑うあなたの においも思い出せないの。  汚いものばかり 嫌いなものばかり増えてゆく。 急に手を離されて どこまでも落ちてゆく。 私はどこに居るの? いつの間にか消えてしまうの?  彼は彼のことさえも忘れてしまうだろう。 きっと僕も彼のことを忘れてしまうだろう。 だからせめてあなたにだけは 全て憶えていて欲しい。 どうか、忘れないでください。 あなたの口癖も思い出せないけど。 あなたの感触も好きな色も 全て忘れて、僕は空気になる。
呼吸の綾深居優治深居優治深居優治深居優治『僕は間違えてしまった。』 『私は間違えてしまった。』  世界を薄めている言葉にもなれないなら 吸って吐いてを繰り返す機械ならよかったな。 ねぇ、繰り返すことも 上手く出来なくなったから 呼吸を止めた。  深く沈んでゆく魚のように この世界に馴染んでゆく。  掛け違えた呼吸の数を数えてみた 意味を失くした言葉の抜け殻が また私だけの世界を大きくする。 私の音を聴いて。  いつかこの世界は私のことを 飲み込んで溶かしてしまうでしょう。 あなたの呼吸になりたかった。 絡まった呼吸を解こうとあなたの名前を呼んだの。 ねぇ、紐はまだ持っている?  『僕は間違えてしまった。』 (あなたは間違えてしまった。)
水槽の脳深居優治深居優治深居優治深居優治『彼の頭の中には重力があるの』って ヘルマは言った 僕の知らないところで。  ケルトは言った 『君の頭と、彼の頭が 繋がっているというのなら それを肯定しよう。』  ヘルマは言った 『見ればわかるわ あんなにも苦しそうな 顔をしているじゃない。』  ケルトは言った 『君の中にある“苦しみ”が 彼にとっての“喜び”だったらどうする?』  困ったようなフリして 取り繕う星が 瞼を開いて 夜が呼吸を始めた。  『私の中に無いもの、私はそれを 否定も肯定も出来ない。 したいとも思わない。』 『それなら私に何も言わないで。 あなたに何がわかると言うの? 私に構わないで。』  ケルトは言った 『世界は鏡のようで 理解はもっと深いところにあった。』  狂ったように歌う 空知らぬ雨が 隠し切れなくなったら 話を聞かせてよ。 孤独だった『彼』は 深く深く沈んでく。 千切れてしまった僕は あなたの海を漂うだけ。
空洞深居優治深居優治深居優治深居優治明日の夢を見ない夜は 水滴が落ちる音がして 私は枯れてゆく言葉の繭に火を点けた。  誰も居ない場所で 響く、束ねた空洞の音。 本当は強く、強くなりたかったの。
空想離脱症深居優治深居優治深居優治深居優治『さよなら』
君という雨深居優治深居優治深居優治深居優治君が壊した世界だ。 雨音、ポツリポツリ、 今日も傘と歌う。  『僕が居ない』と思うこの心は 誰のもの? 君が居ないとこの身体は 傘の中で消える。  何から話そうか。 自分一人を守る傘が無いと 窒息するこの世界で。  拡げた僕だけの傘 黒く塗り潰したんだ。 世界とのキリトリセン 聴こえる傘と雨の歌。 言葉は見えなくなるから 心は変わってしまうから 僕は居なくなってしまうから 今日も『さよなら』  気付いたんだ 世界を濡らす雨に触れていないと 居ないのと同じで 傘の内側、逃げ込んだ僕を 濡らす雨の名前が、ようやくわかったんだよ。  君が汚した世界だ。 透明な空気だった僕は君と 傘の中で歌うよ。 『さよなら』

夢遊病

雨降りのアポリア深居優治深居優治深居優治深居優治俄か雨をカーテンで隠して 柔らかな緑とコーヒーの匂い 砂糖を入れ過ぎたぬるい空間 優しい嘘を鳥が啄ばんでいた。  最後に言った言葉は 『もう、居なくなるね。』 『もう、居ないのと同じだよ。』 氷のような皮肉と繰り返す情景。 同じところを行ったり来たり。  満たしてしまえばさ 水を注ぎ過ぎたバケツみたいに 少しずつ入れ替わって 透明な記憶に変わるの。 今はまだ濁って、あたたかい。  巡り巡って、過去色になったあなたを バラバラにするのは時間の流れ。 僕も飲み込まれてしまうかな? 今日の僕が死んで、新しい朝が来ても、  思い出してしまうんだろう、 冬に雪が降るみたいに。 あなたが水面に映る、 ただの嘘なら、どれだけ良かったか。 繋ぎ合わせたあなたはまだ 居なくならないじゃないか。  この日々を壊して、壊して、壊して、 明日を繋いで、繋いで、笑ってよ。 傘を無くして立ち尽くす。 出会えた行詰まりが、あなただっただけ、 それだけ。それだけのこと。
漂泊の殻深居優治深居優治深居優治深居優治不完全な彼の物語は 不完全なまま終ろうとした。  気付いてしまった。 僕の中で僕を叩くのは僕でしかなくて。 誰かのせいにするのは、 一人じゃ心細いから。  不安を象って、 壊してしまえたら良かったな。 形が無いから、 僕には壊せなかったの。  忘れてしまった、帰り方を。 行き先も告げて無いから、 迎えも来ないな。 誰のせいにも出来なくなったのは、 あなたの事さえ思い出せないから。  苦しいのは最初のうちだけ。 本当は、空気が無くても生きてゆける。 足りないものが 確かにあったはずなのに、 この世界もこの僕もまだ壊れないや。  不完全な彼の物語は 小さな世界の中に閉じ籠る。 不完全な彼の物語は それでも始まりから離れてゆく。
相対温度深居優治深居優治深居優治深居優治『君さえ居れば、それでいいよ』と 誤解してたの、僕が僕に出会うまで。  何度目の春ですか? 何度繰り返しても ぬくもり感じるのは やたら長い冬を越えるから。 何度目の冬ですか? それでも震えてるのは 僕の中の温度が いつまでも一人分だから。  そんな単純なことにも 気付けなかった僕が  『君さえ居れば、怖くないよ』と 怯えてたのは君が離れること。 君と僕で『二人』だったのに 君が消えたら僕は『一人』ですらない、足りない。  隣り合わせに感じてないと 君の温度も忘れてしまう。 君と僕で一人じゃなくてよかった。 また明日、逢いにゆくよ。  離れてたって伝わるもの 離れてないと伝わらないもの 増えてゆくほど立体になる 僕の知らない君を教えて。  何度でも恋をしよう。 何度でも確かめよう。 ぬくもり感じるのは 君が君で僕が僕だから。 『君が居て僕が居る』 それが僕で、それが君だと 言えるようにしたいから。

ゲシュタルトの崩壊と、

再構築深居優治深居優治深居優治深居優治空白に染められた空を 時計の針が泳いでゆく。 空白に満たされた空を 病的な雲が全部食べてしまった。  空っぽだ。 空っぽだ、空っぽだと嘆くうちは 未だに空っぽという存在に 満たされているということにも気付けない空虚な日々です。 嘘が入り込む隙間もないくらい 本当が敷き詰められていれば あなたを探す必要なんて どこにもなかった。 それなのにどうして? おかしい、全部おかしい。  バケツから溢れ出した水のように 漂い移ろう世界の真ん中で僕は。  本当と本当の間で 嘘はいつの間にか 嘘にも本当にもなれないでいた。 言葉ってもっとさ、もっと、もっと、もっと。  本当に伝えたいことほど伝えるのは怖い。 私は言葉がわからなくなった。
うつろ深居優治深居優治深居優治深居優治意味の無いものを探しすぎて 移ろう僕は意味にまみれた世界で  あなたを探すだけなら 容易いことだと笑った。 もう全て見たつもりでいた 描いたあなたは虚、移ろう。  戻れはしないの、肥大する記憶は あなたを薄めてきれいにしてゆく。 僕らが欲しいのは正解じゃなくて 忘れるということが抱えた 免罪符だろう。  通り過ぎたらもう 全て同じ色に染まるけど あなただけは 僕を忘れても、ここに 居て欲しいんだ。 居て欲しいんだ、ここに。  意味の在るものを探しすぎて 移ろう僕と意味を忘れた世界で  あなたを探しているの 錆びた記憶を頼りにして。 全てが移ろう世界で 僕の知らないあなたを探す。 あなたを探しているの 変わらないものは僕の中に。 全てが虚な世界で 僕の中はあなたで満ちている。
虚構の朝深居優治深居優治深居優治深居優治昨日と違う生活 それは大きく見れば同じ繰り返し。 明日も同じ心 それは近くで見れば赤の他人。  目を閉じるように あなたは居なくなって、 耳を塞ぐように、 世界は知らないものに変わった。 すり替わっただけ。  全てが作り話ならいいのに。 誰かの創作の物語の冴えない主人公。 特別なことなんて何もなかった、 あなたが居たことも、 死んでゆくことも、 夜と朝が繋ぐただの生活。  全てのことに意味は無い。 それはつまり、全てのことに 意味があるということなのでしょうか?  息をするように、誰かを思う。 誰かの中に居場所を探す、探す。 虚構を積み上げた朝 その空白の中にも ぬくもりはあったんだ。 私は確かに今、息をしている。 そしてまた、回り始めてゆく。 そんな朝が来るから、もう行かなきゃ。
アオ深居優治深居優治深居優治深居優治『優しくなりますように。』 僕は生まれた時から 嘘の塊みたいだな。 もういいよ、もういいよ。 誰かが望むイメージ。 そんな僕にはなれないし、 僕が思い描いた僕に 明日もまた笑われるんだ。  眠りに就く。 そのまま消えてゆくような気がして また青い部屋で目覚めるだけ。  外は深い青 順番待ちしているのが 朝か夜かもわからないから 時計の針を追い掛けて。 今日の分の笑顔を作って 嫌われないような服と靴 取り繕う為の言葉を持って 『これが僕だ。』って  その想いも全部全部 誰かに合わせて作った気がした。 『僕じゃないよ。』 そんな嘘も愛してよ 空っぽな僕を。  ひとりで沈んでく水槽 居合わせた、死んだ魚の目。  『僕は違う。』と 言い聞かせながら結局 同じアオに飲み込まれてゆくのかな。  答えを聞かせて。  この想いも全部全部 いつか消えてしまうというなら 最初から居なくて良かったでしょう? 生まれた理由を教えて。  大切なものが増えるほど こわいよ、こわいよ。 ただ、ぼんやりとした不安に飲み込まれても 僕はここに居てもいいですか? ねぇ、答えてよ、アオ。 教えてよ、アオ。 僕じゃないの。 僕じゃないの? ねぇ、違うの誰なのどこに居るの?  散らかった世界で探し物。 物も人も想いも僕も 愛せるだけの何かを、 消えてしまう前に。
水の記憶深居優治深居優治深居優治深居優治待ってる間に景色は沈んでゆく。 呼吸の仕方を忘れて 私は彼を作った。  私が居るのは水の中。 押し流されてから気付いたの。 遠くに消えて見えなくなっても 私は形を変えてどこにでも居る。 全て憶えていて欲しい。  悲しむ暇もなく沢山を見送って 夜が来て、目を閉じた分だけ 千切れてゆくの。 今日のことも忘れてしまうかな。  彼の作った青い世界で 夜に溺れた僕も。 朝を積み上げた私も 明日には消えてしまうかもしれないでしょう?  吸い込んで、吐き出して 淀んだ空気を見上げていた。 本当は無いかもしれない景色の中で 憶えていることも曖昧で。  明日には薄れるかな。 言葉も色褪せて、 それでも繋がって明日も続くんだろう。 飲み込まれた彼の歌を 今日も歌っているんだ。 歌って。
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