4匹のくじら

影を伸ばす太陽と それに惚れる月の上で
暴れ狂う海は逆さ ほら ざんざん水面に落ちてく
星たちの涙と 急降下するかもめと
口をあけて待っている 飢えたくじらが四匹

風をくぐった少年が 壊れかけの筏をこぎ
明日も明後日もその明日も おんなじ歌を口にする
わからないことだらけでも 飛ぶのをやめないかもめと
面白がってヤジを飛ばす 愉快なくじらが四匹

夢も 愛も その物語も
僕らの手の上にある
唾を吐きロープを引っ張る

意味なんてないのさ ここにあるのは
恐怖 焦り それに抗う 僕らだけだ
僕らだけだ
そして君が そして君がいる

舵を握った老人は 食べ飽きたはずの愛を追う
微笑む海は今は静か  かんかん照りに焼かれて
天国に近い場所 急上昇するかもめと
口を開けて待ちぼうけ 歌い出すくじらが四匹
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