君と買ったアロエにもう少しで、初めて見る赤い花が咲きそう。

 2018年9月5日に“大比良瑞希”がEP『unify』をリリースしました。彼女は、昨年「Real Love」「アロエの花」「見えない糸~Never Be The Lonely One~」を3ヶ月連続で配信。その後、3曲の新たな魅力を引き出す連続Remix企画も配信。そんな珠玉のオリジナル3曲+各リミックスver.をEPとして総まとめしたのが今作です。タイトルの【unify(統合)】が表すように、それぞれの楽曲が見事に“統合”された一枚となっております。

 さて、今日のうたコラムでは、そのEPから「アロエの花」という楽曲をご紹介いたします。歌に描かれているのは、大切だった<君>と別れてからの<私>の心模様。ちなみにアロエと言えば、肉厚でトゲトゲしている葉が印象的ですよね。その見た目から【苦痛】や【悲しみ】といった花言葉があるんだそう。しかし<私>の想いはそこだけにリンクしているわけではなく、アロエの花言葉もマイナスな意味のものばかりではないのです。

合言葉は二人だけの秘密ね
冗談しか言ってなかったあの頃
君と買ったアロエにもう少しで
初めて見る赤い花が咲きそう

それはずっと見つからないものだよ
それでいいしそれが楽しいってことも
君といて知ったはずだったのに
最近またわからなくて落ち込んでた
「アロエの花」/大比良瑞希

 二人だけの<合言葉>を作ったり、一緒にアロエを買ったり、たとえ<冗談しか言ってなかった>日々だとしても十分に幸せだったあの頃。でもやがて楽しい日々には終わりが訪れ、ただ<君と買ったアロエ>だけが残りました。恋は枯れても<もう少しで 初めて見る赤い花が咲きそう>に育ってゆくアロエ。その姿を見つめていたら<私>はふと<君といて知ったはずだった>大事なことを思い出したようです。

 では、ずっと見つからない<それ>とは何なのでしょうか。歌詞には記されておりませんが<それ>はきっと、誰もが探している【自分らしさ】や【本当の幸せ】や【永遠の愛】である気がします。だけど<それ>の答えなんて見つけなくて良い。探し続けることこそが<楽しい>し、探さなくとも大切な人といれば人生は輝く。そんなことを<君といて知ったはずだったのに>、その<君>を失ったことで、最近また<私>は<それ>を考える迷路に惑い<わからなくて落ち込んでた>のでしょう。

今の私君が見たらなんて言うかな

君の指が髪を撫でて
夏になった帰り道の 日差しは痛かったね
片耳ずつ聴いたメロディ
久しぶりに口ずさめば 追い風に背を押され
「アロエの花」/大比良瑞希

 そして<今の私君が見たらなんて言うかな>と想いを馳せると同時に、ブワッと蘇ってくるのはあの頃の記憶。尚、アロエは“冬”に<赤い花>を咲かせる植物なので<夏になった帰り道の 日差し>から、ずいぶん時が過ぎていることもわかりますね。さらにアロエの<赤い花>はまるで炎のように見える少し変わった形をしております。それはどこか、あの“夏”に燃え上がったであろう<私>と<君>の恋と重なるような気もするのです。

時は過ぎて君がどこにいるかも
わからないね元気にしているのかな
このアロエだけはいつも変わらず
見守ってくれるような気がしてるよ

君が褒めてくれたことが今も You are my light

めぐりめぐる時に揺られ
二人は出会って恋をした 長い道の途中で
さよならしたってなくならない
この胸に持ち続けるよ 今もキラキラして
「アロエの花」/大比良瑞希

 ただ、前述したように、アロエの花言葉はマイナスなものだけではありません。たとえば【健康】【万能】【信頼】などなど。同じように<私>も失恋の悲しみに浸っているばかりではないのです。むしろ歌が進むにつれ、どんどん前向きで優しい感情が胸に満ちてゆく様子が伝わってくるのです。もう<君がどこにいるかも わからない>けれど<元気にしているのかな>と、そっと【健康】を祈る気持ち。
 
 さらに<君が褒めてくれたこと>や<二人は出会って恋をした>ことは、これまでも今もこれからも自分の人生の【万能】なパワーになるんだ、という気持ち。何より<さよならしたってなくならない>で<今もキラキラして>いるほど<君>を【信頼】している気持ち。いずれも、アロエのポジティブな花言葉に重なりますよね…!失恋ソングなはずなのに、二人はとっても素敵な恋をしていたんだなぁ…と憧れてしまいます。

君の指が髪を撫でて
夏になった帰り道の 日差しは痛かったね
片耳ずつ聴いたメロディ
久しぶりに口ずさめば 悩みも消えて行きそう

めぐりめぐる時に揺られ
二人は出会って恋をした 長い道の途中で
さよならしたってなくならない
この胸に持ち続けるよ 今もキラキラして
「アロエの花」/大比良瑞希

 もう会えないとしても、大切な人がくれた思い出や言葉は<今もキラキラして>、時に<悩みも消えて行きそう>なくらい自分を強くしてくれる。そんな想いが綴られているのが、大比良瑞希「アロエの花」です。あなたにとっての<君>を思い出しながら、じっくりと曲に浸ってみてください。

◆紹介曲「アロエの花」
作詞:大比良瑞希・伊藤修平
作曲:大比良瑞希・伊藤修平

◆EP『unify』
2018年9月5日発売
DDCB-12359 ¥1,500+税

<収録曲>
1.アロエの花
2.見えない糸~Never Be The Lonely One~
3.Real Love
4.見えない糸~Never Be The Lonely One~(STUTS remix)
5.アロエの花(tofubeats remix)
6.Real Love(Kai Takahashi remix)