顔を上げて 背を伸ばして 車道の脇 揺れてる蕾
あおられても しがみついて 懸命に命燃やしてる
あぁ ここにいたんだ
目立たないけど 一輪 希望の花
「wallflower」/wacci
まず、タイトルの「wallflower」とは【壁の花】という意味で【ニオイアラセイトウ(匂紫羅欄花)】という花の英名です。古い土壁によく花を咲かせることに由来しているんだとか。さらに、パーティーなどの華やかな場で相手にされない人、注目されたり推奨されたりすることが滅多にないことを示す言葉でもあるそう。つまり、厳しい環境下であまり人に気づかれることもなく懸命に生きている<命>がテーマになっているんですね。
この歌の主人公である<僕>も、きっとそのような花の<命>に共鳴する生き方をしてきたのでしょう。いつも自分に自信がなく、俯きながら歩いていたのかもしれません。でも、だからこそ<顔を上げて 背を伸ばして 車道の脇 揺れてる蕾>の存在に気づけたのです。そして<あおられても しがみついて 懸命に命燃やしてる>強さを知ったのです。その光景は<僕>にとっての初めての<希望>になったのではないでしょうか。
今 春色の風の中で きっと立派に咲いてみせて
摘まれても 踏まれても また
誰に気づかれなくても 力強く空へ向かって
道端に根を生やす花のように
たくましく生きる
「wallflower」/wacci
ゆえにサビで<僕>は、車道の脇で懸命に<揺れてる蕾>に自分を重ね、心から<きっと立派に咲いてみせて>と願っているのでしょう。それは、同時に自分自身も<たくましく>生きたいという願いでもあります。たとえ、摘まれて踏まれる逆境でも。誰に気づかれなくても。何者にもなれなくても。どんなに地味な毎日でも。淡々と堂々と<命燃やして>いきたい。そんな決意の蕾が<僕>の心で膨らんでいる様子が伝わってくるかのようです。
傷ついたり 傷つけたり 人は優しさを覚えてく
どんな日々も無駄じゃないと 何度も心で繰り返し
「wallflower」/wacci
今 春色の風の中で 僕も立派に咲いてみせる
憧れを 強さへと変えて
こぼした涙の分だけ 晴れやかに輝ける日まで
道端に根を生やす花のように
「wallflower」/wacci
歌が進むにつれ、描かれるのは<花>から<人>の生きざまへとシフトしてゆきます。環境や生まれつきのものを諦める口実にしないで、人と人の間で<傷ついたり 傷つけたり>経験を重ねて、何度も<どんな日々も無駄じゃないと>心に言い聞かせながら、根気や情熱を育てて、いつか<こぼした涙の分だけ 晴れやかに輝ける日まで>生きてゆきたい…。先ほどの決意の蕾は、さらに大きく膨らんでいるのがわかりますね。
今 春色の風の中で 僕も立派に咲いてみせる
飾らない 僕らしい色で
悲しみの雨が上がり 花びらを躍らせる日まで
アスファルト 割って咲く花のように
たくましく生きる
「wallflower」/wacci
また、冒頭のサビでは<きっと立派に咲いてみせて>と願っていたフレーズが、終盤では<僕も立派に咲いてみせる>という意志に変わっております。もう、俯いていただけのあの日々とは違う<飾らない 僕らしい色>の日々はスタートしているのです。ちなみに「wallflower」=【ニオイアラセイトウ(匂紫羅欄花)】の花言葉は【逆境にも変わらない愛】【逆境にも変わらぬ誠】です。
今<アスファルト 割って咲く花のように>たくましく生きようとしているあなたにも、必ずそんな“愛”や“誠”が根付くはず。毎日の生活がちょっとしんどくなったとき、是非、wacci「wallflower」を聴いてみてください…!