そこまで戻って欲しいならもっと大事にして欲しかったよ。

 モデル・女優として活動をしてきた“ほのかりん”が、ソロアーティストとしてデビュー!2017年9月20日に、自ら作詞作曲を手がけた初のオリジナル曲「メロンソーダ」を配信リリースしました。【メロンソーダ】という言葉は、どこか甘くかわいらしくポップな響きを含んでいますよね。しかし、そんなイメージに反し、この曲には女性側から見つめた恋の終わりが生々しく辛辣に描かれているんです。今日のうたコラムでは、失恋後の心模様の変化にも注目しながら、新曲をご紹介!

「昨日は本当に御免なさい。」
もう許してとは言わないし
本気で君の事大好きだったから
妬いて欲しくてたまらなかったの
お酒も沢山飲んで約束は破ってしまったわ
明日で記念日だったっていうのに
こんな形になって本当にごめんね
「メロンソーダ」/ほのかりん

 「昨日は本当に御免なさい。」というセリフで幕を開ける歌。これはどちらからの謝罪なのでしょうか。昨日、ということは、まだ別れて間もない二人なんですね。しかも<明日で記念日だった>皮肉なタイミングで…。でも、そんな節目だからこそ、散々我慢してきたいろんな感情が爆発してしまったのかもしれません。ただ冒頭の時点で彼女は、本気で大好きだった“君”に対する大切な気持ちがまだ、メロンソーダの炭酸のように、シュワシュワと心に残っていたように感じられます。

 ちなみに人は失恋後、振った側も振られた側も、まず別れた【理由】を探すことが多いんだとか。きっと「メロンソーダ」の主人公も最初は<妬いて欲しくてたまらなかった>本音や<お酒も沢山飲んで約束は破ってしまった>自己反省を胸に【理由】と向き合っていたのではないでしょうか。だからこそ<こんな形になって本当にごめんね>という謝罪からは、素直な想いが伝わってきます。しかし、歌が進むにつれ、その【理由】のベクトルが鋭く<君>へと向けられてゆくのです。

_この手紙を見た時には私達どうなっているかな?
わからないけれど素直に御免なさいね、
君の日記は見ていないから_
君が思っているより私って不器用だから
傷付けてしまったならば御免なさいね

「ならば」ってそういう所嫌なんだよ
「メロンソーダ」/ほのかりん

 尚、この曲の中には謝罪ワードが4回ほど登場しますが、先ほどの<本当にごめんね>以外はいずれも<御免なさい>と漢字表記。より丁寧である分、心の距離の遠さと、少し相手を突き放すような冷たさがある気がしませんか? そういったところからも、もう別れの温度を感じます。一方で「ならば」=(戻って欲しい)と言うのはおそらく、お相手でしょう。その言葉をスイッチに“私”は、哀しみや寂しさを通り越して<そういう所嫌なんだよ>と“君”に対する苛立ちモードへ加速。

メロンソーダ 何時もそうだ
わかってないのに謝るよな
メロンソーダ わかってたんだ 本当は愛してないこと
メロンソーダ 飲みたくなった 君の好きな

メロンソーダ 溶けちゃってもうさ 
甘ったるいのは懲り懲りだ
メロンソーダ 気付いたらもうさ 
愛せなくなっていたんだよ
メロンソーダ 飲めなくなった 僕の好きな

君には本当に悪いけどもう会う気は無いからね
ずっと鳴り続けてる携帯電話も自殺予告も本当にやめてよ
そこまで戻って欲しいならもっと大事にして欲しかったよ
でももう、戻ってあげないよ
セックスだけの好きも聞き飽きた頃だしな
「メロンソーダ」/ほのかりん

 そして、ラストに向けて猛烈なスピードで冷めてゆく心。冒頭では、まだシュワシュワと心に残っていた“愛”も“情”も完全に抜けて、ただ<甘ったるい>だけの「メロンソーダ」のような、不味い感情に変わってしまったのだと思います。それは最後の最後<セックスだけの好きも聞き飽きた頃だしな>という強烈な一撃にも表れていますよね。失恋モードから心を切り替えた女性は、男性よりはるかに立ち直りが早いと言われておりますので、これから「メロンソーダ」の主人公もどんどん前へ進み、新しい日々のなかで生きてゆくのではないでしょうか。
 
 炭酸の抜けたメロンソーダのような甘ったるいだけの恋から、抜け出さないという方。または、そんな恋を失ったばかりたという方。聴けば少し心がスカッとする、ほのかりん「メロンソーダ」を是非、聴いてみてください…!