まるで坂の上に好きな人がいるみたいで。

 独自の言語表現を持ったシンガーソングライター“Ran”が、新作を4か月連続で配信リリース!2023年2月3日に第4弾「立春、坂道にて」をリリースしました。春を待つ思いを、好きな人が坂の上に居る状況と重ねて描かれた1曲。誰かや何かを“待ち遠しい”と思う気持ちを楽曲で感じながら、ご堪能ください…!
 
 さて、今日のうたコラムでは、そんな“Ran”による歌詞エッセイをお届け!今回が第4弾、最終回です。綴っていただいたのは、新曲「立春、坂道にて」にまつわるお話。もうすぐ訪れる春にぴったりなこの曲。どのようにイメージを膨らませていったのか、どんな想いを込めたのか、ぜひ歌詞と併せてエッセイを受け取ってください。



以前、「せかい」「夜逃げ」のアレンジをしていただいた、宮田“レフティ”リョウさんとコライトしてできた曲です。レフティさんのスタジオに一緒に入り、最初にテーマとして、爽快感のある曲をかいてみたいという思いで生まれました。
 
その時できた音源はとてもシンプルで無駄なものがなく、どんな色にもなれるなと私は感じていました。
 
色のイメージはグレーと薄いピンク。
ちょっと粘り気のある視点で、そして春。
 
曲をかいているとき、こんな言葉が出てくるんだ と正直に驚きました。
曲ができるヒントはそこらじゅうに落ちていて。
 
身が入ってない本読み、坂道を登ることができなかった身体、外に出ることが億劫で雑になっていく身なり、胃に入っていなくても湧き上がる吐き気、面白いくらいこの曲の元とは思えない日常に、春を描いてみたくなりました。
 
これを読んでいる皆さんは、片思い したことありますか?
好きな人を思った時、胸が苦しくなりますか?
その苦しさの種類は何ですか?
 
そんなことを考えていくと、この「立春、坂道にて」も一種の苦しさをうたった曲なのかもしれないと思いました。
 
1番難しかったことが、タイトル決めです。
今、とってあるメモで確認したところ16個候補がありました。
一日おいて曲を聴くと、坂が見えたんです。
掴めない袖も、吸う息が多くなるのも、まるで坂の上に好きな人がいるみたいで。
 
漠然とかきはじめにグレーと薄いピンクと思っていたのも、潜在的に春を選んでいたんですね。
 
面白いなぁとこの曲をかいていて思いました。
まだまだ自分でも自分の知らないことがあって、ひとつずつ形をつくっていく。
 
大半は妄想で、ほんとかうそかわからない。
その中でこんなにも愛おしくて、かわいい曲がかけました。
 
春を一緒に迎えましょう。

<Ran>



◆紹介曲「立春、坂道にて
作詞:Ran
作曲:Ran・Miyata“Lefty”Ryo