初恋をしよう。何度でも

 『THE FIRST TAKE』に初登場し、ロングヒット曲「悪魔の子」を披露した“ヒグチアイ”が2ヶ月連続で新曲をリリース。11月23日には、ABEMAの人気恋愛番組『恋愛ドラマな恋がしたい in NEW YORK』に書き下ろしの新曲「ネオンライトに呼ばれて」を。12月9日には、NHKみんなのうた 2022年12月-2023年1月に書き下ろしの新曲「小さな夢」をリリースしました。
 
 さて、今日のうたコラムでは、そんな“ヒグチアイ”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回は第2弾。綴っていただいたのは、新曲「ネオンライトに呼ばれて」にまつわるお話です。みなさんは“初恋”にどんなイメージがありますか? 誰の顔が浮かびますか? ヒグチアイにとっての初恋とは…。ぜひ、歌詞と併せて、エッセイをお楽しみください。



この世には「First Love」という偉大な曲がある。最近ではそれがNetflixでドラマになっていたりする。
世の中の人をこんなに魅了させる“初恋”とはなんぞ。わたしも自分の初恋について振り返ってみたい。
 
 
どれだ?
どの男子のことだ?
 
幼稚園のときに好きになったチカラくん(偽名)、小学生のときに好きだったショウちゃん(偽名)、中学生のときに初めてちゅうしたヨウタ(偽名)、高校の〇〇、△△、□□…みんなそれぞれいろんな形の好きを感じていた。
 
パッと広がるわかりやすい柑橘系の香り。いや、街角でかぐカレーの匂いかもしれない。そんなふうに好きなものは好きなんだと大声で言えていた幼稚園や小学生。中学生になると子どもから女の子に変わっていきながら、相手を異性として認識する。生花の薔薇のような香り。そして高校生で、いよいよこれが最後の恋かと見間違うような、いや今までの恋は恋じゃなかったんじゃないか、これがほんとうの恋なんじゃないか、と思う色とりどりの花束を胸いっぱい吸ったような香り。これで恋も終わりかと思ったら、あっさり醒めて、繰り返しているうちにどれが初恋なのかわからなくなってしまった。
 
今は、どんな香りがする? パッと思いついたのは緑茶だった。せめて、玄米茶ぐらいにしたいのだけど。
 
つまり、恋人がいようが、好きな人がいようが、結婚(はわからないけどたぶんそれでも一緒だと思う)してようが、どこで初恋が来るかわからなくて、いつだって今の恋を初恋だと思いたいのがわたしなんです。ほら、「こんなの初めて!」って言いたいでしょ。言われたいでしょ。
 
結局のところ初恋は、今好きな人がいれば、恋をしていれば、それが初恋なんです。
初恋をしよう。何度でも

<ヒグチアイ>



◆紹介曲「ネオンライトに呼ばれて
作詞:ヒグチアイ
作曲:ヒグチアイ