こんな日が来るとは、1年前の私には想像もつかなかったことです。

 2022年6月15日に“ねんね”がミニアルバム『白色矮星』をデジタルリリース!全7曲のうち6曲は、ねんねが作詞作曲。もう1曲は、ねんねが活動を始めた初期より才能を見出していたみきとPによる書き下ろし楽曲です。ミニアルバムのタイトルは“太陽のような恒星が最後に残す天体”のことであり、自分達が生きた証はきっと無くならない、そうであってほしいなという願いを込めて命名されました。
 
 さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“ねんね”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回が最終回です。綴っていただいたのは、収録曲「4月25日」と「潮風」にまつわるお話。『白色矮星』に込めた想いを最後の最後まで、受け取ってください。



こんにちは、ねんねです。
無事にミニアルバム『白色矮星』がリリースされ、ホッとしております。
 
私の歌をずっとそばで聴いてくれていた友達やお姉ちゃんから、「リリースおめでとう」とか「すぐ聴いた」とか、もっと細かい感想をくれる人もいて、とても嬉しかったです。
 
私はボーカロイドや“歌ってみた”の文化が大好きで、そこから自分でも歌を歌おうと思うようになりました。なので、別に歌手になりたいと思っていたわけではないし、そういう学校に通っていたわけでもありません。
 
小学生の頃には合唱、中学では吹奏楽部に所属していた程度で、音楽一家なわけでもなく。私には“好きこそ物の上手なれ”ということわざが似合うかもしれません。
 
受験期や反抗期で情緒不安定になりがちな思春期や、社会人になってどうしようもない不安に襲われたとき、そんな苦しい瞬間も歌うことだけはずっと楽しくて、その瞬間だけは穏やかな気持ちになれました。
 
今回のミニアルバムに楽曲提供してくださったみきとPさんは、当時から大好きでしたので、「4月25日」を書き下ろして頂けて本当に嬉しく光栄に思っています。聴いてくださる皆さまにも前向きな気持ちになって頂けるような、力強く、優しく、春の爽やかな風を感じられる1曲です。
 
そして、ミニアルバム最後の曲「潮風」。ふと過去の出来事を思い出したとき、楽しい記憶と同時に後悔の気持ちが出てきまして。もう変えられない、もう戻れない出来事さえも懐かしく思えるほど、自分が大人になってしまったことを寂しく思います。
 
コロナの影響があったり、精神的に帰省する余裕がなかったため、何年も地元へ足を運んでいません。地元には海があります。海は良いです。なぜなら広くて大きくて地球に1つしかないからです。今ここから見える海も地元の海と繋がっていて、時に凶暴になったり、穏やかになったりする波の動きが、思春期の感情の波を連想させるなあと思ったり。
 
眩しくて、苦しくて、楽しかった記憶が上書きされていく学校のシステムは、戻れないという気持ちを強くしました。もちろん学校が嫌いだった人もいると思います。でも、私はその時にしか得られない感情を思い出して、不格好でも進むしかない人生も悪くないなと、そう思います。一個人の感想ですけどね。
 
生きていると不思議なことが沢山あるなあ、と思います。本当にただ歌うことが好きで、ずっと趣味で歌っていただけだったのに、憧れの方々、尊敬する方々に携わって頂けて、こうして皆さまにお届けすることが出来て。こんな日が来るとは、1年前の私には想像もつかなかったことです。
 
ミニアルバム『白色矮星』には、自分が生きた証を残したいという意味を込めていますが、聴いてくださるひとりひとりが、あなた自身のことを受け入れて生きていけるような、そんな作品になっていたらいいなと思います。
 
三週にわたって歌詞エッセイを書かせて頂きました。
『白色矮星』に込めた想いや、制作中の出来事を思い出して、等身大の良いアルバムになったなあと感じます。これからも私を支えてくれるアルバムになることでしょう。
 
そして、長く愛される作品になりますように。
 
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追伸 : 2年前の私へ
 
こんにちは、2年後の私です。
どうですか、毎日苦しいでしょう。
毎晩涙が止まらないね。眠れないし、食欲もないね。
そんな時でもあなたに寄り添ってくれる人は沢山います。
歌も歌えます。苦しい時こそ歌ってください。
歌を歌えば、あなたは元気になれます。
これからもきっと、そうだと思うよ。

<ねんね>



◆紹介曲
4月25日
作詞:みきとP
作曲:みきとP

潮風
作詞:ねんね
作曲:ねんね