空には道はないが、未知はある。だから進めるんだ。

 2021年1月6日に“Anly”がニューシングル「星瞬~Star Wink~」をリリースしました。タイトル曲は、1月16日から限定上映されている『夏目友人帳 石起こしと怪しき来訪者』主題歌。彼女が長年温めていた曲であり、持ち味である類い稀な歌声にスポットがあたるミディアムナンバーです。アニメ“夏目友人帳”の世界観を増幅させること間違いなし!

 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“Anly”による歌詞エッセイを2週連続でお届け。今回は【後編】です。綴っていただいたのは、新曲「Free Bird」に通ずるお話。ずっと心のカゴのなかで、何かに憧れながら過ごしているあなたも、是非このエッセイと歌詞を読んでみてください…!

~歌詞エッセイ【後編】:「Free Bird」~

ボクはいつも不思議な絵を眺めていた。

毎日、さまざまな色と模様が
混ざり合って変化し続ける。
『触れてみたい。』
そう思うようになっていた。
そんなボクの目の前に、突然
絵の中から人間ではない生き物が現れた。

『ヤスマセテモラウヨ』
と絵の木枠に座ると話しかけてきた。

『ハレノヒハ、キモチガイイナ』

答えることもなく彼を見つめるボクに
『オマエ…トリヲミルノハジメテカ?』
と笑った。

『オレモ、オマエモ、ソラヲトベルトリダ』

ーオマエハ、ソラヲシラナイノカ?ー

その言葉がボクの世界の扉を開け放った。

ソラ?

トリはボクが毎日眺めていたのは、絵ではなく
窓から見える“空”というものだと教えてくれた。
触れることはできないほど
遠く、高く、広い“空”というものらしい。

そして、ボクはカゴという囲いの中にいると言う。
生まれた時からここにいる。
あたりまえだと思っていたことが崩れていった。

ボクはカゴの扉をこじ開け窓の木枠まで飛んだ。
そのとき自分は
翼がある“鳥”だということに気づいた。

目の前にどこまでも広がる青。
ボクは何も知らなかったんだ。

『ユメって知ってるか?』

僕は首を横にふった。

『もったいないやつだな、それがあるだけで
強くなれたり、笑えたりするんだよ。
お前もユメを見つけな。』

『あなたはユメ、持ってるんですか?』

鳥は『南で出会った綺麗な鳥に
もう一度会うことだな』と教えてくれた。

僕は、もっとこの世界を知りたい。

『どんなユメでもいいし、
一つだけじゃなくても良い、
イキルイミのミチシルベになる』

わからないことだらけだ。

『空にはミチはないが、ミチはある。
だから進めるんだ』
と鳥は言って飛び立っていった。
まるで空に溶けるようにすぐ見えなくなった。

ボクは振り返ってカゴを見つめた。
こんな小さな囲いを世界の全てだと
思っていたんだなと思うと切なくなった。
また少し濃くなった青い空を見つめ白い翼を広げた。

1羽の白い鳥が真っ直ぐに空を駆けていった。

ー空には道はないが、未知はある。だから進めるんだー

<Anly>

◆紹介曲「Free Bird
作詞:Anly
作曲:Anly

◆ニューシングル「星瞬~Star Wink~」
2021年1月6日発売
初回生産限定盤 SRCL-11614~5 ¥1,600(税込)
通常盤 SRCL-11616 ¥1,200(税込)
期間生産限定盤 SRCL-11617~8 ¥1,600(税込)

<収録曲>
1. 星瞬~Star Wink~
2.Free Bird
3.Rainbow
4. この闇を照らす光のむこうに -Orchestra Version-
5. 星瞬~Star Wink~Instrumental