神はサイコロを振らない

「愛」はやがて「依存」に形を変えました。

  2020年7月17日に、福岡発の4人組ロックバンド“神はサイコロを振らない”がメジャー第1弾デジタルシングル「泡沫花火」をリリースしました。描かれているのは、叶うのか叶わないのか、切なく儚い泡沫の恋。歌詞から、サウンドから、歌声から、夏の夜を感じてみてください…!さらに彼らの楽曲「夜永唄」のリリックビデオは、口コミでその魅力がじわじわと広まり、YouTube上のリリックビデオが1000万回再生突破…!
 
 さて、今日のうたコラムではそんな大注目のバンド、通称:神サイこと“神はサイコロを振らない”のボーカル・柳田周作による歌詞エッセイを2日連続で【前編】【後編】としてお届けいたします!今回【前編】に続く【後編】で綴っていただいたのは、人気曲「夜永唄」に通ずる「愛」のお話。「愛」だと思っていたはずなのに、いつのまにか変わってしまう…。みなさんにとって「愛」とはどんなものですか…?

~歌詞エッセイ【後編】:「夜永唄」~

“あなたに逢えば二人はもう
友達に戻れないと分かっていた”


鼻をつく潮風の匂いと錆びまみれの自転車。僕が昔住んでいた海辺のアパートの話です。洗濯物は必ずベタつくし、スーパーまで歩いて30分はかかるし、2階に住む外国人の生活音でノイローゼになりかけたりもして。それでも引っ越したくなかったのはベランダから見える海を独り占めできるから。

世界という箱の中にいるのがまるで自分一人だけに思えて、それが決して寂しい訳でもなくて。何一つ面白くない大学生活への不満や、自分が何者に成りたいのか、将来への漠然とした不安とか、空っぽの自分に対するため息とか。そういうネガティブなもの全てを真っ黒な海が呑み込んでくれている気がしてた。

代わり映えもしない日々の中、ポッカリと空いた穴を埋めるように気がつくと隣にはあなたがいた。一人用の布団も窮屈になって、入りきらない量の服を押し込むようにしまって、ソファのくたびれる速度は2倍になった。バイトから家に戻れば乱雑に散らばったTシャツや、自分のものではない柔軟剤の匂い。ただいま、おかえり。思い返せば生活の全てが愛おしかった。

いつしか僕の仕事も忙しくなり、地方へ遠征することも多くなっていて。彼女にとって自分という存在は生活の一部であり、その一部がいなくなればポッカリと穴が空くのは当然だ。寂しさの中でじっと堪え、自分勝手に生きる僕の帰りを待ち続けるのに相当な気力を消費していたはずだ。

やりたい事が明確にできた自分にはきっともう心の欠陥なんてなかったのだろう。都合の良い話だ。心の穴を埋めてくれたのは紛れもなく彼女だったというのに。思い返すだけで自分に腹が立つ。どうしてもっと寄り添ってあげられなかったのか。

次第に互いを結ぶ紐は緩み出して、どんよりとした色をまとう不安定な何かに二人は襲われていた。触れればすぐに壊れてしまいそうで、世界中のみんなを敵に回しても誰かを守りたいと思えたのは初めてだったのに、全ては自分自身の思い上がりでしかなかった。

「愛」はやがて「依存」に形を変えました。

九州では珍しく雪が降り積もった冬。傷ついては傷つけ、もうとっくに傷だらけだった二人は互いに身を寄せ合い、ギリギリで毎日を生きていて。何度も彼女を手放そうとしたけれど、自分がいなければ何処か遠くへ行ってしまいそうな気がして怖かった。いっその事出逢わなかった方が幸せだとも思った。そして何よりそんな自分を憎んだ。

雪が溶ける頃、全てから逃げるように僕は東京へ引っ越した。全てを忘れたくて、全て夢だったのだと自分に言い聞かせ、遠ざけるように、自分勝手に、目の前の事にのめり込んで。自分一人だけが楽になろうとしていた。

あれから3年が経った今、東京の街ですれ違う事もなければお互いが何処で生活しているかも分からない。そして僕は誰かを傷つけては傷ついてを繰り返し、愛が何なのか理解できていないまま人生を漂っている。

<柳田周作>

◆紹介曲「夜永唄
作詞:柳田周作
作曲:柳田周作

●メジャー1st シングル「泡沫花火」
2020年7月17日デジタル配信:https://umj.lnk.to/kamisai_utakataPR
リリックビデオ:https://youtu.be/4W5r_nTYQO0

●Streaming Live「理 -kotowari-」の見逃し配信が
新体感ライブ CONNECTで7月31日21時からスタート!
https://bit.ly/2CkDizi

<プロフィール>
福岡発、4人組ロックバンド。Vocal柳田周作、Guitar吉田喜一 、Bass桐木岳貢、Drums黒川亮介。全作詞作曲を手掛けるリーダー・柳田周作は、宮崎県で生まれ、祖母から買い与えられたアコースティック・ギターを手に、5歳で初めての曲をつくったという、早熟の天才肌。弾き語りのネット配信に没頭したソロ期を経て、バンド活動に興味を抱くと、進学した福岡の大学で出会った吉田喜一、 桐木岳貢、黒川亮介に声を掛け、2015年に「神はサイコロを振らない」を結成。以来、ライブシーンのど真ん中で経験値を積み上げてきた。2019年にMini Album 『ラムダに対する見解』 2020年2月にMini Album『理』をインディーズリリース。2020年7月17日にメジャー第一弾デジタルシングル『泡沫花火』をリリース。
このトピックをシェアする
  • LINEで送る
神はサイコロを振らないのうたコラム一覧