何者でもない自分を歌にした。

五十嵐ハル
何者でもない自分を歌にした。
2025年8月6日に“五十嵐ハル”がニューシングル「ノーネーム」をリリースしました。同曲は、“自分だけが何者にもなれない”と感じる劣等感や、“普通”というあいまいな価値観に縛られて生きることへの違和感、夢を語ることすら恥ずかしく感じてしまう空気感を、率直かつ繊細に描き出した1曲となっております。 さて、今日のうたではそんな“五十嵐ハル”による歌詞エッセイをお届け。綴っていただいたのは、新曲「 ノーネーム 」にまつわるお話です。いろんなことが上手くいかない。自分はずっと脇役だと感じる。平気そうな顔だけが上手くなる…。そんなあなたへ。ぜひ、歌詞とあわせてエッセイを受け取ってください。 何者でもない自分を歌にした。 クソみたいな時間に自分が潰されそうだったからだ。 「周りから見て自分はどう見えているのだろうか」 「これをしたら誰かに何か言われてしまうだろうか」 こんなことばかり気にして生きてきた。 何にもならない、意味のないストレスがかかり続けていた。 それに加えて、周りは色んな才能を持つ奴ばかりで本当に嫌になる。 凄い誰かを見るたびに自分の惨めさが浮き立って、力が入らなくなる。 僕もそう思われる方でいたかったものだ。 現実はそう優しくはなくて、ダメな自分と一生付き合っていくことになる。 誰か一人にでも、その人の中で一番大切な人間になれていればこう悩むことはなかっただろうか。 自分を主人公だと思えていたらこうはなっていなかっただろうか。 色々考えてしまうが、結局のところ人生は難しすぎる。 ゲームみたいに初心者モードでやらせてほしいくらいだ。 おそらく「生きるための才能」というものが存在し、 それがそこそこ欠落している。 何年もそのまま生きたからか、平気そうな顔をするのだけは上手である。 大して弱ってない自分というのを演じることに慣れてしまった。 ため息が出てしまうような毎日だけど、そのモヤモヤを詰め込んだ結果、ノーネームという曲が出来た。 大抵のことが上手くいかない自分だからこそ生み出せたものだと思う。 脇役にしか出せない何かをフルでひねり出した気がする。 そろそろ良いこと起こるといいなぁ。 <五十嵐ハル> ◆紹介曲「 ノーネーム 」 作詞:五十嵐ハル 作曲:五十嵐ハル