言葉の達人

SAKUSHIKA

 達人たちは1曲の詞を書くために、言葉を巧みに操り、その時代を象徴する言葉を探した。その言葉は多くの老若男女の心を掴んで離さず、その歌は大ヒットした。
「孤独がつらく感じるとき」、「愛することがよくわからなくなったとき」いつも、勇気と力を与えてくれた…、作詞家は言葉の魔術師である。そんなプロの「作詞家」の皆さんをゲストにお招きして、毎月、紹介していくこのコーナー。
今回は、日本語そのものが本来もっている「美」を巧みに表現しながら、これまでに1000曲以上の作品を世に送り出し、「とまり木」小林幸子や「ふりむけばヨコハマ」マルシアなどのヒット曲でお馴染みの「たきのえいじ」さんをゲストにお迎え致しました。

たきのえいじ

代表作

とまり木」 /小林幸子
忍ぶ雨」 /伍代夏子
函館本線」 /山川豊
ふりむけばヨコハマ」 /マルシア
冬桜」 /湯原昌幸
東京発」 「」 /堀内孝雄
北海岸」 /田川寿美
他多数

作詞論

一番大切なのは美意識。その次 体力。
書く対象のハードルを下げないで、いつも上をねらう姿勢をもっていること。
花鳥風月や、人の往来を単に写生するのでなく、
人の心の根っこにあるものをさぐり、言葉という種を選び、原稿に植える。
いさぎよく、しなやかに…。

たきのさんに伺いました。
Q:
作詞家になったきっかけは?
A:
ジャクソンファイブ、等の訳詞。
Q:
プロ、初作品について
A:
つばさがあれば (フィンガー5 ‘74年)
Q:
作品を提供したいアーティスト
A:
五木ひろし・坂本冬美・天童よしみ・香西かおり
Q:
あまり売れなかったが、私の好きなこの歌
A:
雪ふりやまず (城之内早苗)
酒挽歌 (小林旭)
Q:
なぜ「詩を書くことを選んだか」
A:
日本語は、それそのものが物語を成している。
その単語、言葉という静止画像を理論だてて組み立てていけば、
文字で描くところの動画となる。この作業が好きだ。
Q:
プロの作詞家になりたい人へのアドバイスを
A:
詞を書くとは、川の中に、紙に書いた魚を泳がせるようなもの。
その虚の世界を本当らしく映し出させる感性を磨いてください。
歌詞を見る 心の糸 香西かおり・伍代夏子・坂本冬美・長山洋子・藤あや子

この曲は、‘95年の阪神淡路大震災のエイドソングとして作ったもので、5人の歌手と、ソニー、ポリドール、ビクター、東芝EMI、各社の協力で完成し、売り上げ金の全てを、寄付させていただきました。音楽の力を改めて感じた一曲です。

■私の好きなあのフレーズ
「覚えてて あなた 私がここにいることを
 忘れないで あなた 歩いた道のほとり」

PROFILE

‘49年愛媛県大洲市で生まれる。作詞・作曲家。
劇団・早稲田小劇場・研究生を経て、音楽の道へ進む。
子供番組やNHKのみんなの歌や、はぐれ刑事の主題歌等々と共に、1000曲以上、レコーディングし現在に至る。
福祉活動を兼ねて、月に1回、横浜で平均年令80歳の方々30人と集まり、楽器の指導をしている。


●著作に「歌の河(二十五年目の作詞ノート)」


■日本作詞家協会、評議員

■日本音楽著作権協会、評議員

[CDリリース情報]

香山みどり
「母娘舟(ははこぶね)」

TKCA-90119 ¥1,200(tax in)
2006.6.7 Release

三笠優子
「玄海おんな節」

KICM-30014  ¥1,200(tax in)
2006.5.24 Release

日高正人
「やじろべえ」

TKCA-90110  ¥1,200(tax in)
2006.5.10 Release

【これまで登場した作詞家さん】バックナンバー