前月の歌詞検索ランキングを掘り下げて分析することで、キラっと輝くキラーチューン(名付けて"キラ☆歌")を発掘しようというこのコーナー。
第3回は、コラボレーション・ソング(以下、コラボソングと略す)に限定して人気の傾向を分析してみたい。
第3回:コラボソングランキング(09年10月:前月データより分析)
テーマ
順位
順位
アクセス
指数
タイトル
アーティスト
発売日
1 6
100.0
その先へ DREAMS COME TRUE
feat. FUZZY CONTROL
2005/9/8
2 14
72.6
Love Forever 加藤ミリヤ×清水翔太 2005/5/12
3 15
72.0
さよならをキミに... feat. Spontania Tiara 2005/9/1
4 29
56.7
遠くても feat.WISE 西野カナ 2005/3/17
5 33
54.8
ウォーアイニー 高橋瞳×BEAT CRUSADERS 2005/9/8
6 39
48.6
君の声を feat.VERBAL(m-flo) 西野カナ 2005/6/23
7 42
46.2
明日がくるなら JUJU with JAY'ED 2005/4/28
8 52
39.1
最愛 KOH+ 2004/9/30
9 63
34.6
伝えたい事がこんなあるのに INFINITY 16 welcomez
若旦那 from 湘南乃風 & JAY'ED
2005/8/25
10 85
30.3
素直になれたら JUJU feat. Spontania 2004/11/25
 古くは「銀座の恋の物語」や「居酒屋」など演歌や歌謡曲のデュエットソング、90年代には桑田佳祐&Mr.Childrenによる「奇跡の地球」と、異なるアーティストのコラボソングは、随分前から存在していた。それが、07年9月のSoulJa「ここにいるよfeat.青山テルマ」と、08年1月の青山テルマfeat.SoulJaの「そばにいるね」の連続ヒットを皮切りに、一気に増加し、今では着うたランキング上位に「○○feat.△△」という文字を見ない日はないほどだ。
 そういった流れから、上位10曲のコラボソングのうち、2位、3位、4位、6位、7位、9位、10位と実に7曲がR&B〜ヒップホップ系のラブソング。しかも、歌詞が切ない泣け歌。メロウなムードからか7曲中6曲が必然的に男女のコラボソングとなっている。このうちJUJUとの共演(7位「明日がくるなら」)後、一気に注目され、次いで参加した9位の「伝えたい事がこんなあるのに」がロングヒット中のJAY'EDは、10月28日に1stアルバム『MUSICATION』を発表。「コラボを重ねた着うたヒット⇒アルバム発売」という図式を考えるとヒットしても当たり前と思われそうだが、久保田利伸ばりのソウルフルな声の持ち主なので是非ともビッグなヒットになればと思う。(ちなみに、彼がカバーする「Missing」も格別。2ndシングルのカップリングやLIVEで要チェック!)

 しかし、こんな大きなトレンドの渦にも巻き込まれずに、「ヒップホップ」でも「泣け歌」でもないDREAMS COME TRUEが3ピースバンドFUZZY CONTROLと組んだ「その先へ」が1位。9月発売、ドラマ『救命病棟24時』シリーズの主題歌という強みもあるが、上辺だけに終始しない力強い歌詞と歌唱で本気のエールソングというのが何よりの勝因だろう。全篇にわたる吉田美和とJUONのハモリが、連帯感を強めているようで、これもコラボならではのなせる業。

  やや下世話な考え方になるが、ユニバーサルの青山テルマや童子-T、Spontaniaが見出したヒット戦略を、ソニー系列のJUJU、西野カナが踏襲し、いっそう加熱したコラボ・マーケット。しかし、このようにTOP10を見てみると、西野カナ、JUJU、JAY'ED、Spontaniaが2作ずつランクインするなど、意外と勝ち組は固まっていて、既に誰でも売れてしまうほど、甘い話ではないようだ。今後は、9位のような男性ばかりのコラボ、あるいはLil'BやJulietのようなギャル・ユニット、はたまた男女コラボだとしても1位、5位、8位のようにポップやロックのテイストを盛り込んだものなど、様々な変化球で更に業界を盛り上げていってほしいものだ。


 

 高橋瞳として10作目となるシングル。BEAT CRUSADERSは、これまでつじあやの、メロン記念日ともコラボしているが、彼らならではのザラついたテイストと、高橋のちょっとフテ気味かつ強気な歌詞や歌詞との相性が抜群、本作はアニメ『銀魂』エンディングという鉄板タイアップの後押しもあって、高橋にとって久しぶりのヒットとなった。
 CDでのカップリング「珈琲ミルク」も2組のコラボ作。ぼんやりと過ぎていく別れの情景を綴った歌詞を高橋が珍しく感傷的に歌っているが、ビークルメンバーのコーラスや演奏での元気な様子が、まるで大切な妹を兄貴たちが不器用ながら一所懸命励ましているようで面白い。
  05年のデビュー曲にしてオリコン1位の「僕たちの行方」以来、アニメ主題歌だけが突出してヒットする高橋だが、この5年間でレパートリーは大きく広がっているので、本作を気に入った人には継続的に応援してほしいところ。個人的には、5thシングル「コミュニケイション」のカップリング収録で真心ブラザーズのカバー「素晴らしきこの世界」は、彼女のハングリーさを感じるので特にオススメ。

ここではデビュー1年内のアーティストを対象に、毎月注目のアーティストを"歌ネット・ルーキー"として紹介していく。ただし、「ルーキー」として選定するのは1アーティストにつき1度限りとする。


 今月は、Julietに注目した。彼女たちは、マイコ、ユミ、ハミからなる3人組ギャルユニットで、09年8月5日に「ナツラブ」でCDデビュー。これは、ギャル達に人気のモデルチームRomeoによるプロデュースで、"謎の覆面ユニットが歌う切ないラブソング"として、CD発売前から話題となり、着うた、着うたフル(ともにレコチョク調べ)ではそれぞれ週間1位、2位を獲得した。この背景には、Romeoの各メンバーのブログパーツとして、Julietの楽曲の動画を貼り付けることで"月間1億2000万PVの名曲"と大々的に打ち出せたことも大きいだろう。
  その後、LIVEでは布越しにシルエットのみ、動画サイトにてトークを紹介と、徐々に実体を解禁していき、9月19日には全面公開、9月30日にお披露目LIVEと、来る10月7日発売の2ndシングル「フユラブ」に臨んでいる。
  その「フユラブ」は、冬のハートフルでまったりなメロディーに、「君」「会いたい」「携帯」「メール」など現在の着うた系ヒット要素山盛りの、いわばギャル風"幕の内"ラブソング。既に、着うたでは1位を獲得しているが、CDシングル、ひいては今後のCDアルバムのヒットに向けては、3人のキャラクターの浸透も大きなカギとなりそう。また、同性同世代に支持されている仮想敵(?)Lil'Bとの差別化をどうするのかにも注目したい。


Juliet
Juliet 人気曲
順位
占有率
曲名
初収録作品
発売日
1
48.8
フユラブ 2ndシングル・A面曲 2005/10/6
2
46.7
ナツラブ 1stシングル・A面曲 2005/8/4
         
 


つのはず・まこと。1968年京都府出身。理学部修了→化学会社勤務という理系人生を経て、97年に何を思ったか音楽関係の広告代理店に転職。以降、様々な音楽作品のヒットに携わり、05年にT2U音楽研究所を設立。現在は、本業で音楽分析やCD企画をする傍ら、日経エンタテインメント!などでヒットチャート解説に関する連載を執筆中。ちょっと懐かしめのドライブ向け人気曲を集めた企画CD『アラフォー・ドライブ』が10月7日に発売。ご両親がアラフォー〜アラフィフ世代の場合、聞かせてみれば昔を想い出して夫婦喧嘩もなくなるはず!(笑)よろしければどうぞ♪