古くは「
銀座の恋の物語」や「
居酒屋」など演歌や歌謡曲のデュエットソング、90年代には桑田佳祐&Mr.Childrenによる「
奇跡の地球」と、異なるアーティストのコラボソングは、随分前から存在していた。それが、07年9月のSoulJa「
ここにいるよfeat.青山テルマ」と、08年1月の青山テルマfeat.SoulJaの「
そばにいるね」の連続ヒットを皮切りに、一気に増加し、今では着うたランキング上位に「○○feat.△△」という文字を見ない日はないほどだ。
そういった流れから、上位10曲のコラボソングのうち、2位、3位、4位、6位、7位、9位、10位と実に7曲がR&B〜ヒップホップ系のラブソング。しかも、歌詞が切ない泣け歌。メロウなムードからか7曲中6曲が必然的に男女のコラボソングとなっている。このうちJUJUとの共演(7位「明日がくるなら」)後、一気に注目され、次いで参加した9位の「伝えたい事がこんなあるのに」がロングヒット中のJAY'EDは、10月28日に1stアルバム『MUSICATION』を発表。「コラボを重ねた着うたヒット⇒アルバム発売」という図式を考えるとヒットしても当たり前と思われそうだが、久保田利伸ばりのソウルフルな声の持ち主なので是非ともビッグなヒットになればと思う。(ちなみに、彼がカバーする「Missing」も格別。2ndシングルのカップリングやLIVEで要チェック!)
しかし、こんな大きなトレンドの渦にも巻き込まれずに、「ヒップホップ」でも「泣け歌」でもないDREAMS COME TRUEが3ピースバンドFUZZY CONTROLと組んだ「その先へ」が1位。9月発売、ドラマ『救命病棟24時』シリーズの主題歌という強みもあるが、上辺だけに終始しない力強い歌詞と歌唱で本気のエールソングというのが何よりの勝因だろう。全篇にわたる吉田美和とJUONのハモリが、連帯感を強めているようで、これもコラボならではのなせる業。
やや下世話な考え方になるが、ユニバーサルの青山テルマや童子-T、Spontaniaが見出したヒット戦略を、ソニー系列のJUJU、西野カナが踏襲し、いっそう加熱したコラボ・マーケット。しかし、このようにTOP10を見てみると、西野カナ、JUJU、JAY'ED、Spontaniaが2作ずつランクインするなど、意外と勝ち組は固まっていて、既に誰でも売れてしまうほど、甘い話ではないようだ。今後は、9位のような男性ばかりのコラボ、あるいはLil'BやJulietのようなギャル・ユニット、はたまた男女コラボだとしても1位、5位、8位のようにポップやロックのテイストを盛り込んだものなど、様々な変化球で更に業界を盛り上げていってほしいものだ。