足跡で色づいた景色

Little Black Dress
足跡で色づいた景色
2025年7月23日に“Little Black Dress”がメジャー1st ALBUM『AVANTGARDE』をリリースしました。今作には、これまでに配信された「チクショー飛行」「猫じゃらし」「PLAY GIRL」のほか、リード曲「アヴァンギャルド」や「笑って 笑って」というフレーズが印象的な「メッチャいいじゃん!」を含む新曲3曲、デビュー当初からライブで披露されており音源化が望まれていた「十人十色」の計7曲が収録されております。 さて、今日のうたではそんな“Little Black Dress”の遼による歌詞エッセイをお届け。綴っていただいたのは、収録曲「 アヴァンギャルド 」「 Lonely Shot 」「 十人十色 」にまつわるお話です。それぞれの歌詞の背景や曲に込めた想いを受け取ってください。 この度、念願のメジャー1stアルバム 『AVANTGARDE』をリリースしました! リード曲「 アヴァンギャルド 」は、ロック×打ち込みの新感覚なサウンドに、“何にもとらわれず、自分の力で未来を切り拓こう”という思いを込めた一曲です。 このコラムでは、歌詞に出てくる“モノノケ”についてお話しします。 ぜひ、曲を聴きながら読んでみてくださいね。 まず、こんな歌詞から始まります。 真っ暗やみに潜む モノノケたちの目が光る 奴らの腹ぺこに 僕ら何を与えてた? 甘い果実を罠にして ハマった者を眠らせる 奴らは肥えてゆき 僕らは何ができるの? この中の“モノノケ”は、社会の中の権力やシステムかもしれないし、自分の中の欲望や弱さかもしれません。外にも内にもいる脅威的な存在です。 私は昔から、「悪者は、なりたくてなったんじゃなくて、悪にならざるを得なかったんだ」と思うことがあって…。それは、小さい頃いじめがあった時に、「みんなそれぞれ、モノノケに苦しめられてるんだな」と感じたことがきっかけです。だから、怪物でもバケモノでもなく“モノノケ”という言葉を使いました。 外のモノノケと戦うと、自分の無力さに気づいてしまう。くじけそうになります。でも、それは自分の内側のモノノケと闘う(向き合う)チャンスだと思うんです。 自分の中のモノノケは、育て方次第で、悪にも美しい蝶にもなる。 この曲のサビには<蝶を宿して、アヴァンギャルドに迷わず進め>と書きました。 蝶は、変化や自由、美しさの象徴なんです。 MVでは、モノノケ(物理的な。笑)と戦って蝶になる様子を、 ホラー映画風に描いています。ぜひ、そちらもご覧ください! 誰もがそれぞれの羽を持っていて、それを広げられるのは自分自身。 今、何かと闘っているという方はぜひ、この曲を燃料にしてもらえたらと思います。 ------------------------------------ 「 Lonely Shot 」は、“一緒にいるのに心はロンリー”という複雑な心境を書いてみました。 テキーラショット 飲み干すロンリー スキ キライ スキ キライ 毎日ローリング 言いたいこと全部 喉元で燃やした 今夜も 心はロンリー という歌詞から始まります。 恋人、家族、友人、仕事のパートナー。 愛しているかけがえのない存在とは、一緒に生きていきたいからこそ、 衝突が起こったりするじゃないですか。 だけど、愛しているから言いたいことをグッとこらえてしまう。 この曲では、そのグッと堪えたものを テキーラショットを飲んで喉元で燃やすと表現してみました! 人って、自分が一番心を許してる人に甘えてしまって、 攻撃的になりやすいっていうのがあるらしくて、すごくわかるなあって。笑 思いがけず言っちゃった言葉で傷つけあったりした後、 心にそれがズンと刺さってすごくしんどい。 でも時に、好きと嫌いの繰り返しが、 人を愛おしくさせるのかもなって思ったりもして、 そんな感情に尊さを感じて、曲にしてみました。 私は昭和歌謡が好きでよく聴くのですが、 “恋の悲しみとお酒”の曲は多いですよね。 なんだか人間味があって、好きです。 その中でも<水割りをください 涙の数だけ>が印象的な、堀江淳さんの「 メモリーグラス 」の歌詞は、何度聴いてもすごいなあって思います。涙の水割りってことですよね。 曲の大サビの、 <ねェ…その歌をかけるのはやめてよ グラスの中薄くなるから……> というフレーズも、“その歌”をかけられたら、たくさん涙が出てしまうという切なさがよく表されてるなあって。 時代を超えて愛されるこんな名曲があるということは、恋の悲しみをお酒で癒す人も、少なくないということか…笑。でも、お酒はほどほどに。その代わりにぜひ、音楽を! 「Lonely Shot」を聴いて、涙を飲み干しちゃってください! ------------------------------------ 2016年4月。 渋谷の真ん中で、立ち尽くした夜があった。 地元・岡山からひとり上京し、初めて足を踏み入れたスクランブル交差点に、私は圧倒されていた。みんなが目的地に向かって歩く中で、自分はこれからどこへ向かえばいいのか、不安と期待がさらに高まった。 「上ばっかり見上げとったら、田舎者と思われるけんな!笑」と友人には言われていたけれど、私は空を見上げることで、故郷とつながっていられる気がしていた。 けれど、渋谷の空は違った。立ち並ぶ巨大な広告看板の激しい明かりが、月の代わりに夜を照らしている。こちらを見下ろすネオンは揺らいでいて、私はなんだか、田舎者だと笑われているように感じた。 私はあなたに見えていますか? 渋谷のスクランブル交差点では、ランドセルを背負った小学生から外国人観光客まで、 たくさんの人で溢れている。それはまるで、世代や国境を超えた十人十色のカラフルな足跡が、モノクロの横断歩道を彩っていくようだった。 I can I will find my color someday. 自分の存在を残すように、私も一歩ずつ踏みしめて歩いた。その思いをもとに「 十人十色 」という曲を書いた。 あれから9年。 この曲を、メジャー1stアルバム『AVANTGARDE』の一曲としてリリースした。 私もまだ、自分の色の可能性を探す旅の途中だけど、当時から変わらないものも大切にしたいと、改めて実感しており、このタイミングのリリースには、深く意味があるように思う。 東京で暮らし始めて10年目。 今の私の目には、キラキラした華やかな街を創りあげる人たちの、足跡で色づいた景色が見える。私たちひとりひとりの色は、渋谷のネオンに負けないくらい、まぶしい光をはらんでいる。 <Little Black Dress・遼> ◆紹介曲 「 アヴァンギャルド 」 作詞:遼 作曲:遼 「 Lonely Shot 」 作詞:遼 作曲:遼 「 十人十色 」 作詞:遼 作曲:遼 ◆メジャー1st ALBUM『AVANTGARDE』 2025年7月23日発売 配信リンク: https://king-records.lnk.to/AVANTGARDE <収録曲> 01. アヴァンギャルド 02. PLAY GIRL 03. Lonely Shot 04. 十人十色 05. メッチャいいじゃん! 06. チクショー飛行 07. 猫じゃらし