アフロディテを海に残して

山本正之

アフロディテを海に残して

作詞:山本正之
作曲:山本正之
発売日:2007/02/23
この曲の表示回数:3,021回

アフロディテを海に残して
夕日を抱えた ビルが好きだ
ビルを包んだ この街が好きだ
街を流れる 人々が好きだ
人々に漂う 倖せが好きだ

いくつもに別れた 心の部屋の
扉を開けて 同じにすれば
ともだちのことも 自分のことも
憂いも楽も いつかとけてゆく

おれもおまえも あこがれの水夫
訣れした時代 はるかな海に残して
ワン トゥー ワン トゥー オールを回せば
船は洋々 水を分けて ワン トゥー

古いピアノフォルテの 上で鳴くメトロノーム
たった一度の せつない調べ
毎日を毎夜を 崩してみれば
ビスもダルセニオも 悲しいしくみ

童話をしたためた 木箱のオルゴール
閉じてかくした 坂道の秘密
やがて髪を染め 爪を染め肌を染め
ふくらむ少女の 指だけは白く

おれもおまえも 黎明のサピエンス
めぐりみた季節 はるかな海に残して
ウーノ ドゥーエ ウーノ ドゥーエ 海流を回せば
船は浪々 波を切って ウーノ ドゥーエ

すもものような 若いほほのままで
仔リスのような 速い動きのままで
ルビーの色のような 厚い情けのままで
シリウスのような 強い光のままで

腕にまつわる 時計を捨ててみて
気持ちにまきつく 衣服脱いでみて
耳にかたまる 憎悪を消してみて
かかとに凍る 老いを受けてみて

おれもおまえも かたことの歴史
ちりばめた場面 はるかな海に残して
アジン ドゥバー アジン ドゥバー 地軸を回せば
船は満々 風をはらみ アジン ドゥバー

弓なりの日本と 教えられたけれど
球い世界と 決められたけれど
地図に書きこまれた いくつもの川が
形のはかなさを 伝えてくれる

昨日こそ昔に 沈むのはよそう
今日こそ昨日に 慣れるのはよそう
明日こそ今日に 壊れるのはよそう
未来こそ明日に 願うのはよそう

おれもおまえも 来たる世のソルジャー
やすらいだ眠り はるかな海に残して
イー アール イー アール 大気を回せば
船は隆々 翼をそろえ イー アール

少しだけ先を 進む人がほしい
とぼとぼ後を ついて来る人がほしい
むつかしい文句で 悩ます人がほしい
たやすい動機で 結ばれる人がほしい

運命というほど 偉いものでなく
宿命というほど 重いものでなく
天命というほど 遠いものでなく
人命というほど 辛いものでなく

おれもおまえも さすらいの雄途
うずめいた宝 はるかな海に残して
エーク ドー エーク ドー 星座を回せば
船は遠々 地球を離れ エーク ドー

一日に一秒 見つめられたらいい
一年に一歩 ともに歩けばいい
一生に一瞬 抱きしめられたらいい
一人に刹那 すべて渡せたらいい

おまえの息が おれに聞こえる
おまえの汗が おれには解かる
おまえの涙に ほおずりしよう
おまえの苦しみを 飲みほしてやろう

おれもおまえも 煌めきの無限
死に向いた意識 はるかな海に残して
アインス ツバイン アインス ツバイン 銀河を回せば
船は上々 軌道に乗って アインス ツバイン

あざやかな大地に 産まれてきたし
さわやかな風に 育まれてきたし
成高い太陽に 護られているし
永遠の時間に 生を託しているし

つづれおりの階段 ひとつずつ昇りゆき
決してふり向くな 喜びのオルフェウス
あとに残すものは ひとつだけが美しい
この世に手を振る それぞれのアフロディテ

おれもおまえも 太陽のフライバイ
生きぬいた命 はるかな海に残して
ワーヒッド イトゥニン ワーヒッド イトゥニン 宇宙を回せば
船は深々 果てを超えて ワーヒッド イトゥニン

おれもおまえも あこがれの水夫
別れした時代 はるかな海に残して
イチ ニー イチ ニー ALLを回せば
船は洋々 真芯に溶けて イチ ニー

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