12月の渚

「冬の海を見たいわ」って
言い出したのは君の方だよ

僕らは
白い息をはずませながら
車を降りる

ひと夏の思い出は砂の中
二度と火のつかない線香花火さ
君もきっと解ってたんだね

十二月の渚には
ピンク色のルージュが眩しいね
真夏のようにはしゃぐ君を透かして
僕は海を眺めていた

空も海も出会った日から
何一つ変わってないのに
どうして君と僕は
少しずつ離れて行くの

スカートをおさえて波打際
君は冬空のキャンパスの中
僕は煙草をふかすだけさ

十二月の渚には
ピンク色のルージュが眩しいね
真夏のようにはしゃぐ君を透かして
僕は海を眺めていた

十二月の渚には
ピンク色のルージュを捨てに来た
真夏のように笑う君を
僕は抱きしめずにはいられなかった
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