置き去りの鉛筆

花瓶が割れる寸前の絵だった 音が聞こえて来そうだった
どうすることも出来ないでいた 窓の外に雲ひとつなく

渡り鳥の影が一瞬で 走り去ってった床
残された部屋の何よりも それはそれは鮮やかなまま

ライ麦畑のあぜ道で 青い目をした子が踊っていた
重力を味方につけたまま 背の高い風車のように

咲き乱れた花火を一瞬で 吸いこんでいった空
その一瞬を忘れられぬ者同士 同じ幻で繋がっている

渡り鳥の影が一瞬で 走り去ってった床
残された部屋の何よりも それはそれは鮮やかなまま
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