すみれ色の夜

何事もなかったように溶けていく
白砂糖に見惚れていた午後
パンケーキの上に 愉快なさくらんぼ
目で見れば楽園のようで

木は森に隠れ 苦悩は日常に埋もれる
ましてや一つの感情で
生きてきたわけじゃないからさ

すみれ色の夜に 君は声にした
決して涙に追いつかれぬ様に
君が打ち明けた 心の弱さは
どんな陰口より 眩しくて強かったよ

遥か遠い星で 言葉を持たず
通じ合う術もあるらしい
傷つけ合うには潤沢なほどに
人間は手段を持ちすぎた

死んじゃダメだって 聞こえるたび本当は
生きてゆきたいって思える
理由が欲しいだけなのに

背中を合わせて もたれ合う事で
無重力の世界 に近づいたね
宇宙の作り方 なんて大袈裟だけれど
ほんの少しだけ 銀河に浮かんでるみたい

生きているだけで 素晴らしいという事が
神様のついた優しい 嘘だとしてもかまわない

すみれ色の夜に 咲いた言葉たち
同じ涙を 流せぬ僕たちは

言葉につまずき 言葉に傷つき
時には声を 荒げてしまい
絡まってほどけず 丸めて放れず
分かってほしくて 必死な僕らの術は
テレパシーなんかよりずっと 素敵じゃないか
×