夏の終わり

花火が終わる終わる終わる君の手に触れる触れる触れる
瞬いた空は二人をそっと寄せ合わせ夏を奏でる

むせるくらいの草の匂い水一つない風景の中で
柔らかな夜の風は少しだけ二人を冷まし始めた

耳を澄ませてみたら遠くで聞こえる忙しない音
君はそこへ指をさし下駄を鳴らして夢中で走っていく

コツコツと響く音がだんだん夏の音にかきけされ
夜空を覆うような彩りに心を響かせた

花火が終わる終わる終わる君の手に触れる触れる触れる
なぜか強気になった二人は気づかれないように肩が触れ合ってる
花火が終わる終わる終わる君の手に触れる触れる触れる
瞬いた空は二人をそっと寄せ合わせ夏を奏でる

まだ空いてる店をさがして最後の小銭で買ったサイダー
弾けた恋、汗ばむ君を横目に 花火が終わった後では
強気になんかなれなくて 少し距離を空けながら君の家に向かう道は
ただ、ただ、隣にいるだけ

花火が終わる終わる終わる君の手に触れて触れて、握って
はじめてのキスは甘いサイダーの味で次の言葉を考えてなくて
今は今は抱きしめながら顔を向けるのが怖くなってて
君が君が握り返してくれた君の髪と花火の匂い

心地よい夜の風が
夏の終わりを告げた
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