僕にお任せ堀川国広 voice of 蜂須賀虎徹・長曽祢虎徹 | 堀川国広 voice of 蜂須賀虎徹・長曽祢虎徹 | 浅井さやか(One on One) | 和田俊輔 | | こういうことは僕の担当かな? きっとそうだよね? 任せてよ 兼さん 後方支援も 前線の助けもばっちりだから! 僕にお任せ! 「長曽祢さん」 「おう…堀川か」 沈黙に負けるな! 「今回の任務、ちょっと大変ですね」 「…」 沈黙に負けるな! 「何を考えているんですか?」 「…」 「…蜂須賀さんのこと…」 反応あり! ここはしばらく待ってみよう! 「…なあ、堀川」 「はい?」 「その…あぁ…いや、いいんだ…忘れてくれ」 「…長曽祢さん」 なかなかに手強い 奥が深い こういうこともあるよね きっと! きっとそうだよね? 見ててよ 兼さん 次こそやるから もう少し大胆に攻めてみせる! 僕にお任せ! 「蜂須賀さん」 「堀川国広か、何か用かな?」 「え~っと…」 最初が肝心だ いかに距離を詰めるのか どう踏み込むのか 脇差の力 今見せる時! 「?」 「ちょっと心配になっちゃって」 「心配、とは?」 もう少し肩の力を抜いてもいい そう思います 「今日の蜂須賀さん、 僕たち新撰組の刀剣も顔負けなくらい先頭を走っていたから…」 引くわけにはいかない 負けられない まるで氷と炭 どうにかしたい… 「…堀川国広」 「…はい」 「忠告ありがとう。 これからも気づいたことがあったら遠慮なく言ってほしい」 「え? はい」 「…隊長を務めるのは初めてでね… 少し気を張り過ぎていたのかもしれない… 至らない隊長ですまない」 「…素直だ」 「ん?」 「あ、いえいえ。あの、何かあったらいつでも言って下さい」 僕にお任せ! |
要となる城 気付く歌太田道灌・五月雨江 voice of 水心子正秀 | 太田道灌・五月雨江 voice of 水心子正秀 | 浅井さやか(One on One) | YOSHIZUMI | | (ヨーソレ ヨイショ) (ヨーソレ ヨイショ) (ヨーソレ ヨイショ) (ヨーソレ ヨイショ) 今こそ未知拓く時 (ヨーソレ ヨイショ) 築け 要となる城 (ヨーソレ ヨイショ) 初めは何もない (何もない) あるのは果てなき荒れた地 そこに道が引かれ (ヨーソレ ヨイショ) 導かれる (そして築く) いつか気付くのだろう (これは…) 要となる城 (ヨーソレ ヨイショ) (ヨーソレ ヨイショ) 今こそ門開く時 (ヨーソレ ヨイショ) (ヨーソレ ヨイショ) 築け 要となる城 (ヨーソレ ヨイショ) (ヨーソレ ヨイショ) 初めは守るため (守るため) 東の山のその向こう そこに人が寄せて (ヨーソレ ヨイショ) 寄り添えば (ここは町に) ずっと待ち詫びていた (これは…) 要となる城 (ヨーソレ ヨイショ) (ヨーソレ ヨイショ) (ヨーソレ ヨイショ) (ヨーソレ ヨイショ) 「太田道灌……あなたは何故、ここに城を築こうと思ったのか」 「ほぅ…今年は早いな。もう咲き始めたか 山桜 咲きてと朽ちる 世の中の ならいも花に あらずもあらなん」 「……季節はめぐり、ここはこの国の中心となった」 「……そして私はここで生まれた」 人は何故… 何故 詠うのだろう 心に留めて 留めて おけぬから? 雲から溢れ こぼれ落ちる 雨の如く 「……更に季節はめぐり……めぐり……」 誰かの歌に励まされ 皆 旅人 「……ここは東京と呼ばれた……」 誰かの歌に涙して 月日も 人も 「……めぐり……めぐり…」 誰かの歌に教えられて 移ろい 迷い 「……そして東京は……」 誰かの歌に… いつか… いつか… 気付かされる 気付く… |
要となる城 この石の歌太田道灌 voice of 豊前江 | 太田道灌 voice of 豊前江 | 浅井さやか(One on One) | YOSHIZUMI | | (ヨー ヨーソレ ヨイショ) (ヨー ヨーソレ ヨイショ) (ヨー ヨーソレ ヨイショ) (ヨー ヨーソレ ヨイショ)… この石はどこで生まれた? 「え?」 城の石垣のひとつになろうとは 思いもよらなかっただろう 「そうかもな」 この立派な石は この先ずっとここで 歴史を支えてゆく (ヨー ヨーソレ ヨイショ) (ヨー ヨーソレ ヨイショ)… |
はなのうた大典太光世・ソハヤノツルキ・豊前江・桑名江・水心子正秀・源清麿・五月雨江・村雲江・天海・平将門・太田道灌 | 大典太光世・ソハヤノツルキ・豊前江・桑名江・水心子正秀・源清麿・五月雨江・村雲江・天海・平将門・太田道灌 | 浅井さやか(One on One) | YOSHIZUMI | | 荒れ地に咲く 一輪の花 この心とらえて離さぬとは いい度胸だな 「……さぁて、行くか」 戦場に散る 一粒の種 血を浴びて芽吹くは いつの春か いつの時代か 轟け 力の限り 命の限り 我がはなのうたよ 歌が聴こえるか 慎ましく咲く 黄金色の花よ 届け 留めておけずにこぼれ落ちた 我がはなのうたよ 祈りが聴こえるか 汚泥に染まらぬ 穢れなき花よ 響け 三百年(みほとせ)に渡る子守唄 我がはなのうたよ 戦場に散る 無数の種 血を浴びて芽吹くは いつの春か いつの時代か 産み落とされた実が やがてまた花を咲かす この命に終わりはくる 必ずくる この命に終わりはくる 必ずくる 謳歌せ(うたわ)ずには いられない 終わりなき はなのうた 名前もなく 咲き誇る 永久(とわ)に続く はなのうた この使命(いのち)に終わりはない 折れるまで 守るは大河の流れ 終わりなき 永久(とわ)に続く うたを聞く うたにする ために ために ために… 始まりはいつだったか 遠い昔かもしれないし 今かもしれない 季節はいつだったか 巡りすぎてわからないよ 今の季節さえ 謳歌せ(うたわ)ずには いられない 終わりなき はなのうた 名前もなく 咲き誇る 永久(とわ)に続く はなのうた 花は生きるために美しく 花は生きるために馨(かぐわ)しい 生きるために枯れ果てて 生きるために朽ち果てる 「……水心子、大丈夫?」 「ちょっと、水心子?」 「……ずっと不思議だったんだ……僕には世界が歪に見えてた…… 見上げる月はいつも三日月だった。でも、そんなはずが無いんだ。 見えていなくても月はそこに在るんだ。まあるいはずなんだ」 「……うん……うん」 「……歴史は……」 「うん」 「……歴史はね……勝った者の……残した歴史でしかなかったんだね」 「……」 「……本当のことなんて誰も覚えていない……今は悲しくても、 これから先に残るのが『願い』なら僕はそれでいい……」 固く閉ざされた蕾が ほころび 戦い疲れたあなたは ほころび 思いが生まれた… 「……記録にも記憶にも残らなくても……そこにいたんだ。 ……ようやく分かったよ。 ……愛しいと思う心も、歴史を繋いでいたんだ。」 |
全うする物語大典太光世・ソハヤノツルキ | 大典太光世・ソハヤノツルキ | 浅井さやか(One on One) | YOSHIZUMI | | 誰が決めたか知らないが 与えられた役がある 俺は狸爺の墓所の番 あんたはこの地の設計者 知ってるさ 物語を全うするのは 難儀で骨が折れる よくやったんじゃねえか? 互いにな 持て余した強さが もたらした皮肉 持て余した強さ それはもはや呪い 俺も兄弟も待つのが得意だ 焦るよりはいいだろう? どうせ長すぎる旅なんだ 全うしてやろうぜ どうせなら どうせなら 期待以上の物語を… |
江戸を守る大典太光世・ソハヤノツルキ | 大典太光世・ソハヤノツルキ | 浅井さやか(One on One) | YOSHIZUMI | | 「……たーまやー……ってか」 空を賑やかすのは 花火屋 江戸の華を消すのは 火消し 元気に泣くのは 赤ん坊 江戸(ここ)を守るのは… 江戸(ここ)を守れるのは… |
外の光大典太光世・ソハヤノツルキ | 大典太光世・ソハヤノツルキ | 浅井さやか(One on One) | YOSHIZUMI | | 「……天下五剣が一振り。大典太光世だ。」 立派な名前のせいで 蔵に封印されていた 武器としての役割は どうせ… 誰も期待してはいないんだろ? わかってるさ みんなそうだった 「だがな……」 暗く黴臭いあの場所 俺がいたあの場所 戦は好きじゃないが 戻るわけにもいかない 知ってるか? 暗い所からはよく見える 光ある世界 眩しいほどの季節 外に出されたからには… 「待たせたなあ!兄弟!」 「ソハヤノツルキ ウツスナリ……。 この言葉が俺を示すもの」 坂上宝剣の 写しといえば俺のことだ なまじ霊力があると どうせ… 置物扱いになる それだけ わかってるけど 皮肉なもんだな 「大典太光世とは兄弟だな」 知ってるか? 写しから始まってもいいさ 生きた証こそ 俺だけの物語 俺の霊力なめんな! 聞こえたのは声 俺を呼ぶ声 長い眠りから目覚め 外の光を見た 俺が怖いか? 我が霊力を畏れよ 俺が… 俺が… 斬る! まばゆく光る この切っ先で |
大地とこんにちは リプライズ桑名江 | 桑名江 | 浅井さやか(One on One) | 和田俊輔 | | サク サク サク… 忘れないでね 覚えていてね おひさまに ほら おはよう |
大地とこんにちは桑名江 | 桑名江 | 浅井さやか(One on One) | 和田俊輔 | | コン コン コン… 誰かいますか? 誰もいませんか? 大地をノックしています コン コン コン… 聞こえてますか? 聞こえませんか? ここで誰かが生きた音 この星はたまご 何かが生まれる 殻にひびを入れたら なにが飛び出す? おーい って呼んでみる 誰もいないのに おーい って自分で返事する 誰もいないから そんな僕のほっぺたを 優しく撫でる 乾いた風 おーい さよなら おーい こんにちは おーい はじめまして コン コン コン… 誰かいますか? 誰もいませんか? 大地をノックしています コン コン コン… 知ってますか? 知ってますよね? ここであなたが生きたこと |
次に降る雨桑名江・村雲江 | 桑名江・村雲江 | 浅井さやか(One on One) | 和田俊輔 | | 「雲が空を覆って、そこから雨が降る。 雨が海へ流れ出て、空へ昇って雲になる。」 「雨……海……雲……ぐるぐる回ってる」 「きっと、みんなそのぐるぐるの中にいるんだと思う。 人も、歴史も、刀剣も」 次に降る雨はその昔 恐竜がこぼした泪(なみだ)かもしれない 「……え?」 河童の皿を潤したかもしれないし つはものたちの汗を流したかもしれない もしかしたら 畦に囲まれ稲穂を実らせ もしかしたら 鳥居を濡らす禊の雨 もしかしたら 最上川の流れを早くしたかもしれない…? 「そうだね」 この星の中を巡り巡って 目が回りそう 大丈夫 ゆっくりだから ゆっくり じっくり 気が遠くなるね なるね でも楽しみだよ 何が生まれるか 何が飛び出すか 次に降る雨はその昔 焼入れの時触れた水かもしれない ゆっくり ゆっくり じっくり じっくり 次に降る雨を待とう |
雨と雲と犬五月雨江・村雲江 | 五月雨江・村雲江 | 浅井さやか(One on One) | 和田俊輔 | | 「郷義弘が作刀、名物、五月雨江。 え? これですか。 これは前の主に対しての義理のようなもの。 それよりは…」 同じ時代に生きた あの方 私の名前を詠んでくれた あの方 思いが溢れてくる 季語と共に… 雨に隠れて 何をしましょうか? 雨に忍んで 何をいたしましょう? わん 雨に濡れた子犬が わん あなたのために詠みましょう わん 素晴らしい一句を わん あなたのためだけに 雨に隠れて 密かに攻め込み 雨に忍んで 闇討ちしましょう 「郷義弘が作刀、名物、村雲江。」 かつての主たちは悪人と呼ばれてる どうせ俺は二束三文だし 正義とか悪とか興味ない どうせ勝った方が正義なんだろう? あぁ お腹いたい… 「……雨さんはどこ?」 雲に隠れて 何をする気なのさ? 雲に隠れたって 何もできやしない わん 見ての通り負け犬 わん 俺より高いものばかり わん 癒して 雨さん わん 癒してよ 雨さん 雲に隠れて 逃げてもいいけど 雲に隠れたって 何も変わらないから 移り行く季節は 雲となり雨となる 移り行く時代は 道照らす光求めるけど 移り行く想いは 誰が繋ぎとめる? わん… わん… わん… わん… わん… わん… わん… わん… わん… わん… わん… わん… わん… わん… |
ほころび水心子正秀・源清麿 | 水心子正秀・源清麿 | 浅井さやか(One on One) | 和田俊輔 | | 始まるから終わる 終わったら始まる いくらきつく結んでも いつか解(ほど)けていく 踏む地があればこそ 居場所見失える いくら迷子になろうと 僕が探し出すよ 大丈夫だよ 落ち着いて ほら 深呼吸 水清ければ 月宿る そうだろう? 私の役目 決して途絶えさせぬ 刀剣(かたな)の誇り その意味追い続け たとえひとりでも行くだけ 強き意志が求めてる この心が求めてる 忘れてはならぬ 慣れてはならぬ 廃れてはならぬ 諦めてはならぬ 水清ければ 魚棲まず それでいい 何を見つけたのかな? ほころび? いつ生まれたかもわからぬ ほころび 君はそこにいる 今こそ 真価問われる時 隣でいつも見てるよ 今こそ 意味を問う時 水清ければ 月宿る 魚棲まず 心もあれば 魚も棲む かもしれないよ? 始まるから終わる 終わったら始まる いくらきつく結んでも いつか解(ほど)けていく そして、 ほころびとなる… |
いざ往かん平将門 | 平将門 | 浅井さやか(One on One) | YOSHIZUMI | | まつろわぬ者 やがて鬼と成る末路 徒なす者 徒花のままでは終われぬ わししか乗れぬ繋ぎ馬 綱を断ち 走れや走れ 結ばれてたまるものか 呪いに往かん 祟りに往かん いざ往かん |
いざ参らん平将門 | 平将門 | 浅井さやか(One on One) | YOSHIZUMI | | やあ 我こそは 坂東の風雲児 守るべきは 自由と誇り この大地 一筋の稲妻にまたがり どこまでも 走れや走れ 地平線のその向こう 天空までも 駆けて行こうか いざ参らん |
咲き誇れ 分陀利華天海 | 天海 | 浅井さやか(One on One) | YOSHIZUMI | | 分(ふん) 陀(だ) 利(り) 華(け) 波(は) 頭(ず) 摩(ま) 華(け) 優(う) 鉢(はつ) 羅(ら) 華(け) 拘(く) 物(もつ) 頭(ず) 華(け)… 夜は明け 空は色を持つ 咲き誇れ プンダリーカ 揺るぐことなき 守護神よ 清らかな華を 美しき華を 分(ふん) 陀(だ) 利(り) 華(け) 波(は) 頭(ず) 摩(ま) 華(け) 優(う) 鉢(はつ) 羅(ら) 華(け) 拘(く) 物(もつ) 頭(ず) 華(け)… 咲き誇れ プンダリーカ 寛く永く 江戸(ここ)に―… 分(ふん) 陀(だ) 利(り) 華(け) 波(は) 頭(ず) 摩(ま) 華(け) 咲き誇れ プンダリーカ 寛く永く 江戸(ここ)に―… 優(う) 鉢(はつ) 羅(ら) 華(け) 拘(く) 物(もつ) 頭(ず) 華(け)… 分(ふん) 陀(だ) 利(り) 華(け) 波(は) 頭(ず) 摩(ま) 華(け) 優(う) 鉢(はつ) 羅(ら) 華(け) 拘(く) 物(もつ) 頭(ず) 華(け)… |
要となる城 共にある歌豊前江 | 豊前江 | 浅井さやか(One on One) | YOSHIZUMI | | (ヨーソレ ヨイショ) (ヨーソレ ヨイショ) (ヨーソレ ヨイショ) (ヨーソレ ヨイショ) 今こそ共にある時 (ヨーソレ ヨイショ) 築け 要となる城 (ヨーソレ ヨイショ) 初めはひとりだが (ひとりだが) 声かけ 励まし 手を取り 共に汗を流し (ヨーソレ ヨイショ) 隣見れば 要となる 友が仲間が (ヨーソレ ヨイショ) (ヨーソレ ヨイショ) |
遺された志豊前江 voice of 五月雨江 | 豊前江 voice of 五月雨江 | 浅井さやか(One on One) | YOSHIZUMI | | 当たり前のことを知っている 生きるってこと 汗をかくのも 息が切れるのも 歌うのも 笑うのも 生きているからだ あのでかい石は ずっとずっとここで 歴史を支えていく あんたの遺志 受け継いで 立派に役目果たすぜ 「見せてやりてーな!」 「何を?」 「……何百年か後の江戸をさ」 「……そう、ですか」 風は止まらねぇ 河の流れも それは変わらねぇ だから俺は走ると決めた 風のその先へ 「さぁて、次の時代へ行くか」 「豊前……相変わらず疾いですね……」 |
我が水戸学会沢正志斎・吉田松陰・小竜景光・水戸の人々 | 会沢正志斎・吉田松陰・小竜景光・水戸の人々 | 浅井さやか(One on One) | YOSHIZUMI | YOSHIZUMI | レッツスタディ! 水戸学! アイルテルユー! 水戸学! これが… マイ イデオロギー!! 我が国は 尊き国 アマテラス 神の国 心 (こころ) ひとつにして (ひとつ) 日の御子(みこ)を敬(うやま)うべし さすれば体も (からだも) ひとつとなろう (ひとつ) 国は体 みなでひとつ 「先生!私が教わりたいのは、これからの日本をどう…」 「狭い日本、そんなに焦って何処へ行く?」 「え…」 「おめーさん、国はどこだ?」 「長州です!」 「バーカ!それは国じゃねえ」 そんなんだからちっちぇのさ 「我が国は日の本!」って概念を持て!! まあ、世界から見たら 豆粒同然だけどな 「豆粒同然…」 「ザッツライト!っしょ!」 今の日本は弱い!!弱すぎる!! 世界を知らない井の中の ちっちゃな蛙(かわず) 「…ちっちゃな…蛙(かわず)?」 「そう!豆粒蛙っしょ!」 「…じゃあ、どうすればいいんですか?」 ハウトゥ? 「どうすればいいと思う?」 ワッドゥユーシンク? 「……」 「蛙(かわず)にできることっつったら?」 ゲロゲロ… 「…飛び込んだところで何もできないでしょう…ね」 ゲコゲコ… 「だーかーらーぁぁ!!」 レッツスタディ!! 異国を学べ! …学べ? レッツスタディ!! 敵を知れ!! …知れ? すべてはそこから始まる レッツ ゲット… スタート!!! 目指せ!目指せ! ゴーゴーゴー! 対等な関係! 「対等な…関係…?」 「イエスっしょ!」 「乾杯!」 この国を思えばこそ この国を憂えばこそ 「…はいぃぃぃ!!!」 豆粒蛙が頭使って ゲロゲロゲロ!! ゲコゲコゲコ!! 大海原に飛び込んで 泳げーロゲロ!! 泳げーコゲコ!! さざ波なんかじゃない 大波起こしてやろうじゃないか!! 「イエイ!!」 レッツスタディ! ゲロゲロゲロ… 水戸学! アイルテルユー! ゲコゲコゲコ… 水戸学! これが… これが… 我が水戸学!! そう! マイ イデオロギー!! 「これが……水戸学……これが、水戸学ぅ!」 |
不正(タダシカラズ)和泉守兼定・大包平・小竜景光・山姥切国広・南泉一文字・肥前忠広・井伊直弼・吉田松陰・ハリス・徳川斉昭・一橋慶喜・水戸藩士たち・人々 | 和泉守兼定・大包平・小竜景光・山姥切国広・南泉一文字・肥前忠広・井伊直弼・吉田松陰・ハリス・徳川斉昭・一橋慶喜・水戸藩士たち・人々 | 浅井さやか(One on One) | YOSHIZUMI | YOSHIZUMI | 「なんでこんなことになっちまったのか整理してみようじゃねえか」 「おう」 本来の正しい流れは…? 正しい歴史は…? 「まずは将軍継嗣問題だ」 十四代将軍候補は 紀州の徳川家茂 そして… 「一橋慶喜も候補にあがっていた」 慶喜は水戸藩主 徳川斉昭の息子 「だが慶喜は後継者争いで負けた」 「なんでだ?」 「その頃、大老に就任した井伊直弼が…」 君主の許しが出る前に 異国と条約を結んだ 港をオープンプリーズ! イエス! 国をオープンプリーズ! イエス! 自由な貿易プリーズ! 仰せのままに 君主の許しもなく調印 言語道断 許すまじ 国を守るためじゃ どの口が言う? 国を思ってのことじゃ 聞く耳は持てぬ! 独断専行 許すまじ! 「水戸側と完全に敵対した井伊直弼は、家茂を将軍に推した。その上…」 慶喜派を弾圧 徳川斉昭は蟄居に追い込まれ 慶喜も隠居させられた 「幕府独裁けしからん!」 「抗議申し上げるぞ!!」 「将軍は 慶喜様であるべきだ!」 思想家や 「尊王攘夷こそが国を守るのだ!」 儒学者 「次の将軍は紀州と決まった!反対する者共は処断せよ!!」 この弾圧こそ 『安政の大獄』 「あんせいのたいごくは聞いたことあるぜ」 粛清の名の下(もと) 奪われた命 散った憂国の士 身はたとひ 武蔵の野辺に 朽ちぬとも 留め置かまし 大和魂 「そして吉田松陰も『安政の大獄』で殺された」 正しい流れ 正しい歴史 「最も厳しい弾圧を受け、 井伊直弼への反発が高まっていったのは水戸藩だ」 虐げられた者たちよ! 反逆の時が来た! 我らこそ 誇り高き水戸の烈士 立ち上がれ! 「赤鬼退治 恐るるに足らず!」 立ち上がれ! 彦根藩の行列を襲撃 名残雪の絨毯を染めた 井伊の赤き血 この暗殺こそ 『桜田門外の変』 「さくらだもんがいのへん…おっさんも…」 「殺される。それが…」 正しい流れ 正しい歴史 「ところが……」 「今、この歴史では……」 吉田松陰が 井伊直弼の側近となった それは歪み(ゆがみ) 海の向こう 大海原の先 日が昇る時は近い 共鳴し合う二人 それは歪み(ひずみ) 正シカラザル流れ 正シカラザル歴史 海の向こう 列強に怯まず 対等に渡り合うため 手を取… 交わらない 道が交わり 落とすはずの 命が続く 「弾圧も敵対も起きなかったこの歴史で、井伊直弼は慶喜を支持した」 ああ… それは歪み(ゆがみ) 日出づる国よ 「結果、徳川慶喜が第十四代将軍になっちまった」 ああ… それは歪み(ひずみ) 明るき未来よ ああ…ああ… 『安政の大獄』も 『桜田門外の変』も 起きない 起きることはない 正シカラザル流れ 正シカラザル歴史 |
答えるための問い和泉守兼定・時間遡行軍 | 和泉守兼定・時間遡行軍 | 浅井さやか(One on One) | YOSHIZUMI | YOSHIZUMI | 「オレは和泉守兼定。 侍の時代の終わりを見届けてきた、当時最先端の刀だぜ。 もちろん、今の主に振るわれる限り、オレは今でも最先端ってわけだな!」 終わるために 時代は始まるのか? …そうじゃねえ 崩れるために 形作られるのか? …そうじゃねえだろ そこで生まれるものがある いのちだとか 思いだとか そういう 大事なもんだ セ キ ト メ ル シ ガ ラ ミ ヨ ド ミ ケ ガ レ ユ ク マ デ 別れのための出会いじゃない だが、 出会うための別れってのは あるかもな この世界は巡ってるって 言うだろう? イ ク ド メ グ ロ ウ ガ カ レ ハ テ ク チ ユ ク ダ ケ 「やりやがったなあ!」 理由が欲しいなら 探し出すしかねえ 意味が欲しいなら できることをやるしかねえ ア ア… ア ア ア… 大丈夫だ 己の核はここにある それはずっと 変わらねえ さあ、戦しようぜ! 銃や大砲じゃなく さあ、戦しようぜ! 刀や槍を使った戦(けんか)だ さあ、戦しようぜ! 互いに譲れねえもんがあんだよ さあ、戦しようぜ! ここは、刀の戦場だ 「オレの活躍、様んなってたろ?」 |
昼下がりの雷鳴大包平・小竜景光・南泉一文字 | 大包平・小竜景光・南泉一文字 | 浅井さやか(One on One) | YOSHIZUMI・和田俊輔 | YOSHIZUMI | 大地踏みしめる 二本の足 揺るがぬ覚悟 俺の真価 見せてやろう 大地さすらう 二本の足 追いかけるのも 追われるのも 悪くないね 大の字ごろりん 四本の足 …にゃにゃ?! ち、違う! 違うぞ! これは手だ!! 俺の相手とは 運のないやつだ それはどうかな? 刀はたくさん見て来たからね ごろごろごろ… ごろごろごろ… 喉なんて…鳴らしてねえよ? 丁々発止(ちょうちょうはっし)!! 火花散らす 鋭い切先(きっさき) 稲妻の如し ごろごろごろ… ごろごろごろ… 丁々発止(ちょうちょうはっし)!! 火花散らせば ごろごろごろ… 聞こえたぞ (たな) 轟く雷鳴 ごろごろごろ… にゃぁぁあああ~~… |
ひなたぼっこ日和南泉一文字 | 南泉一文字 | 浅井さやか(One on One) | 和田俊輔 | 和田俊輔 | ぽかぽかで ぬくぬくで ふわふわな 昼下がり こんな日は 縁側で ふわわわわぁ ひなたぼっこ日和 サボってなんかない! …にゃ! ボサノバってるだけ! …にゃ! ぽかぽかな お日様に 逆らえるわけ にゃいだろう? こんな日は 縁側で ふわわわわぁ ふわわわわわわぁ ひなたぼっこ日和 |
人知れず肥前忠広 | 肥前忠広 | 浅井さやか(One on One) | 和田俊輔 | 和田俊輔 | 選んだわけでも 辿り着いたわけでもない 斬ることが 俺の仕事だ それだけだ 血に濡れ 怪しく光る刀身 澄んだ空さえ 赤く濁す 人知れず 咲く花あれば 人知れず 散る花あり 散るより先に 斬り捨てる まるで、人斬り まるで、かつての… 人知れず 咲く花あれば 人知れず 散る花あり 散るより先に 斬り捨てる 人知れず 摘むのが …俺の仕事 |
美しき ひとひら山姥切国広 | 山姥切国広 | 浅井さやか(One on One) | 和田俊輔 | ハラヨシヒロ | 散る ひとひら ひとひら おなじ命(はな)は ない 枝と別れ 空に舞う 美しさはそこまで 地に落ちて 池に浮かび 瞬く間に朽ちてゆく 醜く 儚く 聞かせてほしい どんな風に 生きてきた? 恋焦がれた夜 夢語った時代 絶命の声は何故 産声に似ているのか 塞がれて 流れ失くす 美しさはそこまでか… 地に果てて 池に沈み 瞬く間に腐りゆく …美しく …美しく 散る ひとひら ひとひら おなじ花(いのち)は ない 俺も… その ひとひら |
古池の水面山姥切国広 | 山姥切国広 | 浅井さやか(One on One) | 和田俊輔 | ハラヨシヒロ | 古池の水面に映る俺 確かな輪郭 見紛(みまが)うことなし いし ひとつで 生まれる波紋 風 吹かずとも 生まれるさざ波 何が変わる? 何かが変わる 波打つ水面に映る俺 不確かな輪郭 だとしても これは… 俺だ だからこそ 俺は… 俺だ |
花の雨 君の名残山姥切国広 | 山姥切国広 | 浅井さやか(One on One) | YOSHIZUMI | YOSHIZUMI | 花の雨 泣いているのは 空か? 花か? 濡れそぼつ君が 儚く散って 傘に残さるるは 君の名残 咲く君も 散る君も あだめかし 徒名草(あだなぐさ) にわたずみ 浮かぶ筏(いかだ) 君の名残 |
大河の水面山姥切国広 | 山姥切国広 | 浅井さやか(One on One) | 和田俊輔 | ハラヨシヒロ | 流れゆく水を 覗き込む 揺らめく己が 敢え無く消えゆく 流れを止められた水を 覗き込む 鋭い碧眼 じとりと見つめる お前は誰だ? 俺か? 俺だとしたら いつの俺だ? かつての俺か? この先の俺か? 俺は… 俺だ 「水は何処へ行く?」 明るいのは苦手だ 鏡のように俺を照らし出す 止まらぬ大河の中 水だけが行き先を知っている 大河の水面に映る俺 保てぬ輪郭 ぼやけて移ろう ちょうどいい そのくらいが …ちょうどいい |
漆黒の龍大倶利伽羅 | 大倶利伽羅 | 浅井さやか(One on One) | YOSHIZUMI | YOSHIZUMI | 漆黒の夜 音も亡き常闇 ぽかりと浮かぶ 紅(あか) 綺麗だと 誰かが言った 漆黒の鱗 天(あま)雲(ぐも)かき分けて 高く昇るは 龍 何故ゆえに 目を覚ました 「…」 「来たれ、新たなる刀剣男士よ」 重き瞼 押し上げ 肺に空気 吸い込み 握りしめていた手を ひらく これが肉体 己の躰 光に手を 翳せば 透けて見える あか 己の体内(なか)をめぐる あか 燃え滾る炎か 迸(ほとばし)る血潮か かつて浴びた血の名残か |
花の巵伊達政宗 | 伊達政宗 | 浅井さやか(One on One) | YOSHIZUMI | YOSHIZUMI | 散り交う花に 誘われて 手にまかせて ひとり酒 はらはら よよと はらはら よよと うつつはどちら ゆめはあちら 西か 東か 天か 海か うつつはこちら ゆめはどちら 右目(みぎ)か 左目(ひだり)か しろか くろか 「…それとも、あかか」 花の巵 覗き込み 口に随(したが)い ひとり詩(うた) はらはら よよと はらはら よよと 春のうららに 迷い込み きみは旅人 誰(たれ)の待ち人 「『曇りなき 心の月を 先立てて 浮世の闇を 照らしてぞ行く』」 うつつはどちら ゆめはあちら… うつつはこちら ゆめはどちら… |
茂庭岩見守綱元宛伊達政宗 | 伊達政宗 | 浅井さやか(One on One) | YOSHIZUMI | YOSHIZUMI | 『ただ… ただ… 関白との事が気がかり 行き違いあれば切腹免れぬ 無論、討死し切腹は望むところ ただ… ただ… 明けても暮れても そのことばかり』 |
片倉小十郎景綱宛伊達政宗 | 伊達政宗 | 浅井さやか(One on One) | YOSHIZUMI | YOSHIZUMI | 『生まれてくる子を 殺すなんて言うな 私に免じてやめて欲しい』 『追伸 子を殺すのは考え直してくれ 私を信じてやめて欲しい』 |
私を綴る 私を創る伊達政宗 | 伊達政宗 | 浅井さやか(One on One) | 和田俊輔 | 和田俊輔 | 筆は私の 良き代弁者 心に漂う 形無き想いを 言葉にする 筆にかかれば 私は歌人 この目に飛び込む 美しい季節は 言葉を持つ 私はただ 書き留める 踏みしめた足跡のように 耳に残る子守唄のように 嗚呼… 嗚呼… 私は、私を綴る それがいつか 私を創る |
舞い散るうた伊達政宗 | 伊達政宗 | 浅井さやか(One on One) | 和田俊輔 | 和田俊輔 | 「わざと、ふみ、もうし、まいらせそうろう さてさて いちじつより もうしそうろう あか、 あすは いと おんもうしそうろうて、 すきたまはるべく そうろう。」 「四十年前少壮時 功名聊復自私期 老来不識干戈事 只把春風桃李巵」 嗚呼… 嗚呼… 「ほの見れば 夫れとも分けて 別れにし いる方いづこ 三日月の影」 「追啓、仙台の諸白一樽進ぜ候、不宣。 唯今、御名代として碧堂来駕有る可きの由、御念入り、別して辱く候。 一折、一樽、並びに三種、是れまた祝着に存じ候」 「花や花 それとも飽かぬ ながめして ながき日影も ゆふ暮の空」 「暮わかぬ 月になる夜の 道すがら」 嗚呼… 嗚呼… 「今日の雪、珍しく存じ候。定めて詩歌とも、御作分有るべく候。 狂歌一首、進じ候。誠に腰折れとやらん。 手足共に折れ候と存じ、さてさて呵々大笑に候。」 「わざと、ふみ、もうし、まいらせそうろう さてさて いちじつより もうしそうろう あか、 あすは いと おんもうしそうろうて、 すきたまはるべく そうろう。」 嗚呼… |
埋もれ木伊達政宗・大倶利伽羅 | 伊達政宗・大倶利伽羅 | 浅井さやか(One on One) | YOSHIZUMI | YOSHIZUMI | 川の流れに 取り残され 何も成せぬまま 朽ち果てていくのか 私は 埋もれ木 せせらぎに紛れて 聞こえたのは… こころ折れる音 私は 埋もれ木 折れて砕ければ いつか海へ…? こころの戯言(たわごと) 「『皆人は かへる浪なる 名取川 我はのこりて 瀬々の埋木』」 こころ折れる音 聞きたくなどない こころの戯言(たわごと) 聞こえてたまるか 志(こころざし)はどこ? たとえ見えなくとも 俺は… 俺は… 埋もれ木の戯言(ざれごと) |
伊達五郎成実宛伊達政宗・大倶利伽羅 | 伊達政宗・大倶利伽羅 | 浅井さやか(One on One) | YOSHIZUMI | YOSHIZUMI | 『たった今、関白に謁見したぞ! 思わぬ手厚いもてなしであった! 驚きであろう?』 『追伸 このことを他の者にも 急ぎ伝えて欲しい』 |
父の最期伊達政宗・虎哉宗乙・畠山義継・伊達輝宗・畠山勢・伊達勢 | 伊達政宗・虎哉宗乙・畠山義継・伊達輝宗・畠山勢・伊達勢 | 浅井さやか(One on One) | YOSHIZUMI | YOSHIZUMI | 「初陣の勝利に息巻く政宗でございましたが…… 次なる相手、畠山義継とその家臣に父・輝宗を 拉致されるという事件が……!」 「急げ、走るのじゃ。さもなくば、この場で刺し殺すぞ!」 「逃げる畠山勢!」 「殿ぉー!」 「それを追う伊達勢!」 「父上ぇ!」 「政宗も駆けつけ、両者睨み合いが続く!」 「来るな! 輝宗の命はないぞ!」 「おのれ、義継!」 張り詰めた空気 切り裂くは 父、輝宗の一声―… 「私を捨てよ!! 政宗!」 「何をしておる! 撃て! 撃つのじゃ!」 「黙れ!」 「撃てーー!」 一斉射撃! 命じたのは 政宗… 「…激昂した政宗は、全滅した畠山の軍勢の中から義継の骸を見つけると、 切り刻み、縫い合わせ、磔に処したのでございます…… そうやって始まった弔い合戦は…、若さゆえの焦りと、 何より自身の心を制御できぬ未熟さが招いた…実に醜き戦でございました」 |
月よ 朧気であれ伊達政宗・鶴丸国永 | 伊達政宗・鶴丸国永 | 浅井さやか(One on One) | 和田俊輔 | ハラヨシヒロ | 「『なつ衣 きつつなれにし 身なれども 別るる秋の ほどぞ物うき』」 「弔いの歌か」 「あんたはなぜ歌う?」 「お主は、なぜ歌わぬ?」 なみだ枯れて こころ渇き 嘆く声も掠れ 落ちてゆく 果て知れぬ 穴の底… 墜ちてゆく まっくらな おとしあな… 憤りに似た 虚無感 悲しみに似た 驚き 涙にぬれた袖を 足元を 照らす容赦のない月 今宵くらいは 朧気であれ 「…なむあみだぶ……」 朧気で あれ… |
最上義光宛伊達政宗・鶴丸国永 | 伊達政宗・鶴丸国永 | 浅井さやか(One on One) | YOSHIZUMI | YOSHIZUMI | 『急ぎ飛脚をもってお知らせ致す。 小手森城において定綱の親類など 五百余人を討ち捕らえ 女、子供、犬に至るまで 撫で斬りさせました』 「…民草を巻き込むってのは良くねえなあ」 『私には冥利があるようです 関東を手に入れることも容易いかと! 追伸 大げさではなく、誠のことですぞ!』 「ははっ…。がむしゃらで、己も周りも見えてない」 |
埋まらぬもの/伊達政宗伊達政宗・鶴丸国永・大倶利伽羅 | 伊達政宗・鶴丸国永・大倶利伽羅 | 浅井さやか(One on One) | 和田俊輔 | ハラヨシヒロ・和田俊輔 | 呑み込んだ 己の息 もはや余喘(よぜん) 心眼(まなこ)は見た… 「……見渡す限りの大軍勢が小田原城を完全に包囲しております」 『これがまことの陣備え。まことの戦』 「…はい。まさに圧巻でございます」 その目に何が見える その目で何を見た 「…!!っ」 己の在り処 見極める心眼(まなこ) 明白な懸隔(けんかく) 『もう少し早く生まれていれば……』 「…!」 『さすれば、天下が取れたと思うてか』 「…滅相もございません」 埋めたいと 思うだろう? 出遅れた 時間を… 「……」 「……」 隻眼の黒き龍よ 爪も鱗も 染められたのか 敗北の白き衣に… 隻眼の黒き龍よ 見上げることを 諦めたのか 雄飛するはずの空を… 「…なぜ、戦わずに屈した?」 刀抜かぬ戦い方など 刀交えぬ戦い方など 知らない 知りたくない わかりたくもない 埋めてやる 俺は 俺の 戦い方で… |
終の野望伊達政宗・支倉常長・鶴丸国永・大倶利伽羅 | 伊達政宗・支倉常長・鶴丸国永・大倶利伽羅 | 浅井さやか(One on One) | YOSHIZUMI | YOSHIZUMI | 『青天 碧海に涵(ひた)し』 『碧海 青天に接す』 『海外 更に海なく』 『天に向(むか)いて 天を問う莫(なか)れ』 世は戦を終え 平穏が訪れた 青葉の山から見下ろす海 世界へ繋がる海 「空も海も果てしない。のう、六右衛門」 「はい!」 「じゃがあ…」 「ここ仙台は、世界の海のド真ん中じゃー!!」 「さようにございまする!」 「この政宗の夢の話を聞いてくれるか」 「もちろんにございまする。もう何度目だよ!などとは申しませぬぞ!」 「はっはっはっ。分かっておろうが、 ただ聞かれてもつまらんぞ。面白おかしく聞いてくれ」 「はい!はっ……?ああ!いつもの相槌をご所望ですな!」 「そうじゃそうじゃ。その気になる相槌を頼むぞ」 「あいわかった!」 語って聞かせてしんぜよう ヨッ! この政宗の夢 イーィヨッ! この海に (この海に) あの船に (あの船に) 託す (託す) イーィヨッ! でっかい (でっかい) でっかい (でっかい) 野望!! 「良い感じじゃ。続いていくぞ」 「あっ、続いていきますか!はい!」 お主に問いたいことがある ハッ? この国の中心はどこだ? ヨッ! どーこーだ? 「…どこだと思う?」 「あーえーこの国の中心……ですか?」 「そうじゃ。思ったことを申してみよ」 「…上方。いや、今は江戸かと」 「その通り!」 鯱(しゃっちょこ)立(だ)ちしても 何しても 奥州はしょせん僻地! 「僻地ぃ!」 「そうじゃあ!」 天下狙おうにも 遠すぎる 政宗はしょせん鄙人(ひなびと) 鄙人(ひなびと)~ 鄙人(ひなびと)~ 「そうじゃあ! …だが、仙台の海で潮の流れは変わる! 世界に導く流れに変わるんじゃ! ここは世界に開けた港。世界と繋がる要の港…」 世界の海の ド真ん中!! 「はいぃ!!」 潮の流れに導かれ 大きな夢の でっかい野望の 船出 渡れ (渡れ) 渡れ 大陸へ 繋げ (繋げ) 繋げ 架け橋 「必ずスペイン国王、ローマ教皇と親交を結び、 ヌエバ・エスパーニャと通商をする。 そのための慶長遣欧使節じゃ。頼んだぞ、六右衛門」 「はっ! …殿の書状、必ずやお届けいたしまする!!」 「……長き戦乱の世が終わり、私の心は一度折れた。ばっきばき…」 「あっばっきばき…」 「おう、ばっきばきじゃ。見せられるもんなら見せてやりたいくらいじゃ」 「じゃあ見せてください」 「無理じゃあ」 「はい!」 「とにかく! 普通なら折れて終わる。 …だが、ここ奥州には無限の可能性があることがわかった!」 「はい!」 「むしろ火が付いたぞ。今の私は燃えに燃えておる! ぼうぼうじゃあ!」 「ぼうぼうですか!」 「そうじゃ! ぼうぼうぼうじゃ!」 「ひとつ多めのぼうですか!」 「そうじゃっ!」 「はいぃ!」 海の向こうに 描いた夢 一度折れても 何度折れても… 見続けるのだ 最後の夢 終の野望 この政宗の 最後の夢 「しぶといよなあ。人間ってのは」 「…」 「…あっぱれだよ」 終の…野望!! |
おとしあな鶴丸国永 | 鶴丸国永 | 浅井さやか(One on One) | YOSHIZUMI | YOSHIZUMI | あるはずのちが なくてびっくり おどろいた ないはずのあな まっさかさま おとしあな あぁ~おどろいた ほりすぎたあな きがつきゃおれが あなのなか あなのなか あぁ~まっくらだ あぁ~おどろいた |
教えてやる鶴丸国永 | 鶴丸国永 | 浅井さやか(One on One) | YOSHIZUMI | YOSHIZUMI | 教えてやる その感情が苛立ち 敗北感 怒り…憤り 「もう終わりかい?」 「……!」 教えてやる その感情は悔しさ 抱えきれぬほどの…屈辱 |
真白な鳥~偲鶴丸国永 | 鶴丸国永 | 浅井さやか(One on One) | YOSHIZUMI | YOSHIZUMI | 真白(ましろ)な深雪(みゆき) 踏みしめた足跡 ぽたりとおちる 紅(あか) 綺麗だと 誰かが言った 真白(ましろ)な翼(はね)で 天(あま)雲(ぐも)うちつけて たづたづ飛ぶは 鶴(たづ) 何故ゆえに 心もとない はて はて 何を思い偲ぶ? 飛(ひ)花(か)落葉(らくよう)のさだめ 風の 果て もう帰らぬ季節 同じ花は咲かぬ 今はひとやすみ 飛び立つ時を待つ |
飛脚はしる鶴丸国永・大倶利伽羅・伊達政宗・虎哉宗乙 | 鶴丸国永・大倶利伽羅・伊達政宗・虎哉宗乙 | 浅井さやか(One on One) | YOSHIZUMI | YOSHIZUMI | 驚いたぜ 面白すぎるだろ どういうことだ? 何故飛脚に?! 乗りかかった船 飛び乗ってやる 巻き込むな じゃあ溺れるか? 「…」 「『昨夜家来と腕相撲をしたら、ばっちり筋肉痛で腕が震えて、 文字もぶれぶれじゃ。ははは』」 どうでもいい! それでも走る 飛脚は走る! 「『最近雨が多いから退屈だろう。 明日は晴れそうだから城に来てくれよな。久々に語ろうぜ』」 どうでもいい! 雨でも走る 飛脚は走る! 「『元気でやってる?』」 「殿ー!」 飛脚はしる はしる はしる! 「『釣りにいこうよ』」 「是非!」 飛脚はしる はしる はしる! 「『先日の宴会で酔って殴ってごめんね』」 「あうぅ!」 飛脚は知らぬ 中身は知らぬ 「『二日酔いで気持ち悪い』」 「おろろ…」 それでも走る 飛脚は走る 「『ちょっと遅刻しそう。腹痛ってことにしといて』」 「仮病!?」 飛脚はしる はしる はしる! 走り続ける! はしる はしる! 「『色々はずかしーから、読んだら即刻燃やしてくれ!』」 「と言われましても…、政宗からの、 それも自筆の書状ともなれば、家宝として大切に取っておきたいもの。 残念ながら、しーっかり後世に残っておりまするぞ」 「いやあ! しっかし聞きしに勝る筆忠実っぷりだぜ」 「……おい、これも任務なのか?」 「いいじゃねえか、こういうトンチキも乙なもんだ」 「……くだらん」 「……俺は戦いたい、ってか?」 「……」 「戦いといえばこの戦国乱世、 刀を振るい鉄砲を撃つのが常でございました。 しかし、政宗にはもう一つの武器がございました。 敵、味方の心を巧みに操る、武器としての『書状』が……」 書状一つで操る おだてて 焦らせ 手紙一つで操る 油断させ 挑発 餌を撒いて 網を張る 読むのは 行く末 心 大法螺(おおほら)吹(ふ)き 本領発揮 「こういう戦い方もあるんだそうだぜ」 「…」 |
悔いなき希望鶴丸国永・大倶利伽羅・伊達政宗・支倉常長 | 鶴丸国永・大倶利伽羅・伊達政宗・支倉常長 | 浅井さやか(One on One) | YOSHIZUMI | YOSHIZUMI | 青き空 碧き海 碧海に溶け 青天に繋がる 空も 海も ひとつ 天(あめ)も 地(つち)も ひとつ 潮の流れに導かれ 日の本の外へ 海を渡る手紙 希望 運べ 運べ 大陸へ 届け 届け 届け… 「殿!託された書状は、確かに海を越えましたぞ!」 Deseo Feliz Buena suerte Oh Happy Day! 「あのうたの通り、…空は一つ。海も一つ。 すべて繋がっております!」 海の向こうに 描いた夢… 「…殿の心眼(まなこ)に代わって、 この六右衛門の小さき双眸で世界を見て参ります。 …私に、殿の爪の先ほどでも才があれば、 たくさんの歌を詠んで帰りたいところですが、 それは叶いませぬ」 夢の向こうに あるのは現(うつつ)… 「では、何を持ち帰りましょう。 …日に焼けた肌と、新たな名前と、…殿の喜びそうな土産を少々…」 この政宗の 最後の夢 悔いなき希望…! Ah---! Happy Day! |
辿った先鶴丸国永・大倶利伽羅・梵天丸 | 鶴丸国永・大倶利伽羅・梵天丸 | 浅井さやか(One on One) | 和田俊輔 | ハラヨシヒロ・和田俊輔 | ひともじ… ひともじ… 私のものがたりの ことはじめ 「…伊達政宗の死から、七十年ほど経った頃。 愛姫(めごひめ)の遺品の中から、あるものが発見された。 それは―…」 …もう一つは これです 「『京に出立する折に殿からいただいた…御守り』」 「…古い手習いだった」 …殿の心宿る 御守り… 古びた紙の上 綴られた歌や手紙 誰かの 物語 書き留めることで 誰かが受け取ることで 託された思いは… 「確かに、残っている……」 |
ひねくれ説法鶴丸国永・虎哉宗乙・梵天丸 | 鶴丸国永・虎哉宗乙・梵天丸 | 浅井さやか(One on One) | YOSHIZUMI | YOSHIZUMI | 「どなたかな?」 「えらい坊さんがいるって聞いてさ、説法を聞きに来た」 「…ほう」 教えてくれよ 隻眼の龍の師よ 「そんなに聞きたいか」 「いや、別に」 「……面白い」 「よろしい。お釈迦様はおっしゃった。 自らを燈明として拠り所とせよ、決して他人をあてにするな、と」 自燈明 法燈明 何事も他人(ひと)を頼るな 己こそ 己の主(しゅ) 自分自身を律せよ 痛い時に「痛くない」と言え 泣きたい時は笑え 暑かったら「寒い」 寒かったら「暑い」 口では逆を ひねくれよ 目指せ へそ曲がり! WHOO! 「あれ? 伽羅坊、やんないのかい?」 「WHOO!」 「……」 隻手(せきしゅ)と隻手(せきしゅ) どちらの手が鳴っておる? 右手(みぎ)か 左手(ひだり)か 「若、どう思われるかな?」 「…どちらでもない」 「だよなあ。片方だけじゃ音は出ない。 両手があって初めて音が出る。」 「ふむ。それが答えと申すか?」 「いや」 「…?」 「こうすれば鳴るぞ」 「……」 「はっはっはっ…若、見事じゃ」 「人に頼るなって教えておきながら、 一人じゃ生きてはいけないって説くのかい。 ははっ。さすがひねくれてる。なあ、伽羅坊」 「……」 「若」 その目に何が見える? その目で何を見る? 己の外と内 見渡せる心眼(まなこ) 決して曇らせるな 「はい」 |
御守りと武器鶴丸国永・伊達政宗・梵天丸・虎哉宗乙 | 鶴丸国永・伊達政宗・梵天丸・虎哉宗乙 | 浅井さやか(One on One) | 和田俊輔 | 和田俊輔 | 殿 申し上げます 天下はまだ定まっておりません 私のことはお気になさらず 殿は 殿の大義に従い 突き進みくださいませ 「…愛(めご)」 ご安心ください 二つの御守りが ありますから 「二つの御守り…?」 一つは懐剣 いざという時 この身 守り抜きます もう一つは これです 「『京に出立する折に殿からいただいた…御守り』」 殿の心宿る 御守り… 幼き折、片目失い 醜き己を忌み嫌った だが知った 筆一つで繋がる ひともじ ひともじ 筆一つで広がる ひともじ ひともじ 筆一つで拓ける ひともじ ひともじ 「…歌を詠むことで己の心と向き合い、 文を書くことで多くの者と想いを分け合った。 私一人ではどこへも行けぬ。ここでただ生きることもままならぬ…」 筆は、 刀に勝るとも劣らぬ… 「私の武器となった。…そのはじめを愛(めご)に託そう」 あなたの ことはじめ 大切にいたします あなたの 物語を 心(ここ)にしまって… 「ああ……いけませんな、年を重ねますとどうも涙腺が緩くなってしまう。 えーごほん!」 「そんな最中……大崎・葛西にて一揆が発生! それを政宗が煽動しているというあらぬ噂が立ち、 政宗はその弁明に追われることとなったのです」 疑いを晴らさねば! この筆で… これは、負けられぬ戦じゃ 武器を持て! 各所へ 各所へ 送る書状が 私を守る鎧兜 斬れ味鋭き刀 筆よ 書状よ 私を守れ…!! 「頼むぞ」 「はっ!」 |
欠ける月 紅い月刀剣男士 鶴丸国永 大倶利伽羅 | 刀剣男士 鶴丸国永 大倶利伽羅 | 浅井さやか(One on One) | YOSHIZUMI | YOSHIZUMI | 音もなく 音もなく 欠けていく 欠けていく 見えなく ふたたび なっていく 満ちるため 光と 影が 並ぶ 一直線に 影を落とすのは 己が光を遮るから そのことを忘れるな 決して すべて影に 覆われると 現れる 紅(あか)き月 漆黒の闇に 真白な光に 浮かび上がる 紅(あか) 影を落とす 紅(あか) ……綺麗だ |
華々しき戦い刀剣男士 鶴丸国永 大倶利伽羅 | 刀剣男士 鶴丸国永 大倶利伽羅 | 浅井さやか(One on One) | YOSHIZUMI | YOSHIZUMI | 祝いに来たのか? 世界への門出 こいつは一興 粋な演出 華々しく飾れ 華々しく散れ そーれっ そーれっ そーれっ まさか終わりかい? 出帆の祝辞 せっかくだから 楽しもうぜ 華々しく舞え はなむけの踊り そーれっ そーれっ そーれっ 「ははっ、遅い遅い」 肚(はら)を据えろ 気を散らすな 目の前の敵を 倒すのみ 「その心がけ、悪くない」 「……」 「ひとりで十分とは言わないのかい」 「……不十分は承知している。…だが、やらせてくれ」 「……」 肚(はら)を据えろ 気を散らすな 目の前の敵を 必ず、倒せ 「必ず、だ」 「……っ」 華々しく戦え 初陣の 仕切り直しだ! |
傷だらけの背中刀剣男士 鶴丸国永 大倶利伽羅 | 刀剣男士 鶴丸国永 大倶利伽羅 | 浅井さやか(One on One) | YOSHIZUMI | YOSHIZUMI | 傷だらけのその背中 赤く滲む 悔しさ その痛みの先に 見えるもの… 己から流れた血は 抗えぬ 弱さ 悔しさに 疼く これが…… 預け合う命 諸刃の剣(つるぎ) 強さと弱さの 天秤 この背中を預ける時は 来るのか… |
歌を辿る刀剣男士 鶴丸国永 大倶利伽羅 | 刀剣男士 鶴丸国永 大倶利伽羅 | 浅井さやか(One on One) | 和田俊輔 | 和田俊輔 | 「不思議だよなあ。…書き留めたから、残る」 「…何を当たり前のことを言っている」 「書き留めなければ、残らない」 「……」 古びた紙の上 綴られた歌や手紙 誰かの 物語 口にすることなく 胸にしまったままなら 残らなかった 何ひとつ 「…何ひとつ……」 込められた思いや 心ってやつも… 「ははっ。興味なさそうな顔してるな。伽羅坊にはまだわからないか」 「…歌を詠む意味など、わかるわけがない」 「…わかりたくもない?」 「……」 「さて、いくか」 「……どうする気だ」 「そんなん決まってんだろう? …ドーンといってバーンだ!」 「……は?」 「ドーンといってバーン! 覚えておくといい。 うちの本丸じゃ、作戦は大体これで通じる」 「……ちゃんと説明しろ」 「全く伽羅坊は仕方がねえな。敵の狙いが絞れないなら、 まずは辿ってみるか、ってことだ」 「…辿る?」 「ああ」 古びた紙の上 綴られた歌や手紙 その… 物語 「…ま、とにかく行ってみようぜ!」 |
埋まらぬもの刀剣男士 鶴丸国永 大倶利伽羅 | 刀剣男士 鶴丸国永 大倶利伽羅 | 浅井さやか(One on One) | YOSHIZUMI | YOSHIZUMI | 耳障りだ 己の息 苦しさなど 棄ててしまえ ひとりでいい ひとりがいい 足りぬものは 埋めればいい 「…はぁ……はぁ……」 「がむしゃらだなあ。いい意味じゃねえぞ」 「…」 「悔しいだろ」 「…もう少し早く生まれていれば」 「…」 「そうすりゃ、天下が取れてたってか?」 「…」 「…時間ってのは、埋まらないように出来てる」 「…」 「行くぞ。主が呼んでる」 「…」 埋まらぬとも 埋めてやる 出遅れた 時間さえ… |
ことはじめ~私の武器梵天丸・伊達政宗・鶴丸国永・大倶利伽羅 | 梵天丸・伊達政宗・鶴丸国永・大倶利伽羅 | 浅井さやか(One on One) | 和田俊輔 | ハラヨシヒロ | ひともじ… ひともじ… 筆がものがたる ひともじ… ひともじ… 私のものがたりの ことはじめ 「……行くぞ。敵の狙いはここじゃない」 「おーい伽羅坊、手紙はいいのかい?」 ひとふで… ひとふで… 筆がえがく ひとふで… 私のこころ ひともじ… ことはじめ ひともじ… ひともじ… 私のこころ 私のものがたりの ことはじめ… 大河の中 埋もれることなく 幾千の言葉に宿る その想い その生き様… 「……狙われたとしてもおかしくはない…か?」 幼き折、片目失い この心眼(まなこ)が向くは内ばかり だが知った 筆一つで繋がる 筆一つで広がる 筆一つで拓ける 筆は、 刀に勝るとも劣らぬ |