LIVE REPORT

The Brow Beat ライヴレポート

The Brow Beat ライヴレポート

【The Brow Beat ライヴレポート】 『Live Tour 2022 “404”』 2022年6月4日 at LINE CUBE SHIBUYA

2022年06月04日@LINE CUBE SHIBUYA

撮影:菅沼剛弘/取材:山本弘子

2022.07.04

メジャー1stアルバムであり、通算4枚目の『404』を引っ提げて5月6日の大阪公演を皮切りに全国9箇所11公演のツアー『The Brow Beat Live Tour 2022 “404”』を開催したThe Brow Beat。そのファイナル公演が6月4日と5日にLINECUBE SHIBUYAで行なわれた。ここでは4日の公演をレポートしたい。

“底の見えないバンドでありたい”と語っている彼らだが、全身全霊の激しさを叩きつけながら、切なさやロマンティシズムも併せ持つ音楽の世界観、遊び心が盛り込まれたエンターティンメントなライヴには窮屈な定義づけは無用の自由さがある。SE「NOT FOUND」が流れ、幕開けはRyujiの咆哮が一気に場内の熱量を上げる「404」。レーザーが飛び交い、スモークが噴射される派手な演出に負けないアクトには目を見はるばかり。攻撃的なナンバーに続いて放たれたのは開放的でキャッチーなパンクチューン「爆風」で、Ryujiから笑顔がこぼれる。ローヴォイスでラップするRyujiとメロディックなパートを担当するHAKUEIのツインヴォーカルのコントラストが際立つ「シンデレラ」は、ハードコアテイストの高速ナンバーでは間奏でなぜかふたりがバトミントン!? 先の読めないパフォーマンスから目が離せない。前半からThe Brow Beatの罠(?)にハマる展開だ。

“長きに渡ったツアーもファイナルということでございます。みなさん、コンディション的にどうですか?”とRyujiが問いかけ、『404』のリード曲「銃声」ではMVにゲスト出演した俳優、佐藤希洋が登場。映像と同じくスーツにネクタイ姿でステージ中央のお立ち台に座っている演出で憂鬱な面持ちでPCを見て動かない佐藤にRyujiとHAKUEIがエールを送るように歌ってみせた。

本編では新しいアルバムの曲が惜しみなく披露されたのだが、俳優、佐藤流司とビジュアルシーンをサバイブしてきたPENICILLINのHAKUEIの感性がクロスするさまは音楽的にも視覚的にも刺激的だ。ジャジーなシャッフルナンバー「初雪の前に」では傘が粋な小道具に。振り回しながらクルクル舞うRyujiと優雅に傘をさして歌うHAKUEI。ダークなトーンで始まる「21グラム」ではRyujiがエッジのあるラップと歌で惹きつけ、ワルツになるセクションではHAKUEIが艶っぽいヴォーカルで情景の色を変えてみせる。そんなふたりを支えるのは、かどしゅんたろう(Dr)、CHIROLYN(Ba)、Narukaze(Gu)の面々でトリオ編成とは思えない音圧とスキルで聴かせる実力派揃い。生音と同期の混ざり具合にもセンスが感じられる。

3階まで埋まった客席に“素晴らしい! すごいたくさんの人類が集まってますね”とRyujiが呼びかけ、話題はマスクのことに。昔は黒マスクに抵抗があったものの今はすっかり黒マスクを着用しているとのことで“今はマスクでもお洒落する時代なんだなと思うわけですよ”といろいろな色のマスクをしている客席を見渡し、メンバーにも何色のマスクをしているか質問。声が出せない制限はあるものの、好きなように楽しんでほしいと呼びかけた。

ひと呼吸挟んだあとは、インダストリアルで骨太なロックチューン「離人」で再びRyujiの激しいシャウトが空間を震わせ、攻撃的なゾーンに。The Brow Beatの始まりの曲であり、その後の和テイストの楽曲につながっていく「ジセイノク」も披露され、MCではヘリウムを使って声を変えて楽しませつつ、“今、私、非常に出しきっている状態でおります。危ない状態かもしれません。そういった気合いでやっているということですね”と本音を吐露しながらも、もう1段ギアを入れていこうと後半戦に突入。会場の手が一斉にあがった「Snow White」、ふたりもステップを踏みながら歌い、ダンス、ジャンプで一体になった「沙羅羅羅」で熱を加速させ、目の前の景色が開けるような「ネモフィラ 」へと。ラストはコロナ禍で制限されていた金テープの特攻も最高の演出。“光へ飛び込め”と歌うTVアニメ『遊☆戯☆王SEVENS』のオープニング主題歌「ハレヴタイ」で締め括られた。

この日、演奏されたのは2度にわたったアンコールを含めて全22曲。Ryujiがひとりでステージに登場し、本編と打って変わって客席が静寂に包まれたポエトリーリーディングが刺さってくる「ハミングバード」、再び、ゲストの佐藤希洋(以下、MASA)が登場し、ふたりで踊り、ステージがダンスフロアーと化した「大和歌」、メンバーを呼び込み、幸せな空気が場内を包んだ「睡蓮」、そしてツアー前から誰かひとりでも笑ったら最初からやり直しとRyujiが予告していた「The Brow Beat学園校歌」では“今まで(ツアーで)一度も歌いきることができなかったこの歌を”と意気込んだものの、歌い始めると野球のユニフォーム姿で走り回ったり、おどけるMASAに客席のみならず、メンバーも笑ってしまい、5回目の挑戦で笑いながらもなんとか歌いきる(?)ことに(MASAが調子に乗りすぎたためスタッフに連れ去られる場面も)。

ダブルアンコールは校歌で締められるのかと思いきや、モードを切り替えてヘヴィチューンを連続投下! ふたりが拡声器で歌った「パラノイドスター」までハイテンションで駆け抜けた。全ての曲を歌い終わったあと、魂が抜けたように放心状態になっていたRyuji。当初、The Brow Beatの在り方はRyujiがメイン、HAKUEIはプロデューサーであり、メンバーとしてRyujiをバックアップする立ち位置だったと思うが、今は補い、刺激し合う絶妙なツインヴォーカルと個性が異なる互いの存在感抜きには語れないバンドへと進化している。既成概念にとらわれないThe Brow Beatは今後も限界突破の精神で突き進んでいくに違いない。

撮影:菅沼剛弘/取材:山本弘子

The Brow Beat

ブロウビート:俳優・佐藤流司がアーティスト「Ryuji」として結成したバンドプロジェクトで、PENICILLIN「HAKUEI」とのツインヴォーカル&トータルプロデュースにより、ヘヴィ、オルタナティブで骨太なサウンドから軽快なロックまで、多種多様なRyujiの世界を表現し続けている。2018年1月1日、1stアルバム『ラグナロク』で待望のデビューを果たし、1月17日から仙台を皮切りにスタートした1stツアー『The Brow Beat Live Tour 2018 “Ragnarök”』のチケットは全公演がソールドアウトに。その後、配信限定でリリースした楽曲もiTunes Store ロック部門で軒並み1位を獲得するなど勢いは止まらない。そして、21年7月にシングル「ハレヴタイ」でメジャー進出し、22年4月にはアルバム『404』を発表した。

SET LIST 曲名をクリックすると歌詞が表示されます。試聴はライブ音源ではありません。

  1. 1

    SE NOT FOUND

  2. 16

    <ENCORE1>

  3. 17

    01. ハミングバード

  4. 18

    02. 大和歌(DJ MASA)

  5. 21

    <ENCORE2>

  6. 22

    01. The Brow Beat学園校歌

  7. 24

    03. 日本

  8. 25

    04. パラノイドスター