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Hakubi ライヴレポート

Hakubi ライヴレポート

【Hakubi ライヴレポート】 『傾・粉塵爆発ツアー』 2021年9月30日 at 渋谷CLUB QUATTRO

2021年09月30日@

撮影:佐藤広理/取材:田山雄士

2021.10.15

“今日は本当に来てくれてありがとうございます。京都、Hakubiです。音楽をやることも、CDを出すのも、ライヴをするのもすごく難しい状況で、支えてくださったのは、綺麗事でも何でもなく、ここにいるみなさん、私たちを信じてくれているたくさんの人たちだって気づけた一年半。その集大成というか。恩を返すのをツアーの目標にして、目の前にいるあなたに伝えていこうと決めてきました”(片桐/Vo&Gu)

Hakubiのメジャーデビューアルバム『era』を携えた全国26カ所を回るワンマンツアー『傾・粉塵爆発ツアー』が、9月30日(木)の東京・渋谷CLUB QUATTROからスタートした。たくさんの観客が詰めかけてソールドアウトとなったツアー初日の渋谷CLUB QUATTRO。Hakubiのメンバーは集まってくれた人たちを見渡しながら、そのひとりひとりに向けて真摯に音楽を届けていく。ちょうど10日前に同会場で行なわれた『TOKYO CALLING 2021』でのパフォーマンスとはまた違う良さがそこにはあった。サーキットイベントでは30分のセットリストゆえの瞬発力を活かしたスタイルだったが、この日は自分たちを幅広く表現できるワンマンならではの旨味を反映。歌詞の言葉が、楽曲に込めた気持ちがしっかりと伝わるように、一曲一曲を大切に奏でる姿勢がなんとも心地良い。

時に激情のポエトリーリーディングを交える片桐のヴォーカルも、この日は彼女のぶれない意志を映したような美しく伸びやかに聴かせる特徴のほうが際立っていた。ヤスカワアル(Ba)のメロディアスなベースラインはライヴだとより生々しく響き、マツイユウキ(Dr)の歯切れのいいビート、そしてコーラスのうまさに耳を奪われるのがまた楽しい。すっかりHakubiのグルーブに魅了されている自分に気づく。

ヤスカワの合図で手拍子が沸いて次々に拳もあがった「道化師にはなれない」などで『era』の世界観を存分に打ち出しつつ、インディーズ時代の楽曲も披露していくHakubi。そこでも最高のリアクションを見せるオーディエンスが多く、いいファンに恵まれているのが認識できる。コロナ禍の心模様にフィットする刹那的なナンバーでは、固唾を呑んで聴き入る時間も。やるせなさや疎外感に負けそうでもなんとかして生きる意味を探すような、自らのアイデンティティーを音に昇華し掻き鳴らすような、熱量に満ちた迫真のライヴが続いていった。

『era』リリース時のmusic UP'sのインタビューにおいて、片桐は“ロックだの、J-POPだの、ジャンル分けされない音楽でありたい”と、ヤスカワは“急に印象が変わったとは言われたくないし、言わせたくない”と、マツイは“泥臭いパフォーマンスでギョッとさせたい”とそれぞれ語っていたが、まさにライヴバンドらしい凄みで圧倒しながら、「在る日々」などではシーケンスを巧みに取り入れたりと、多彩なアプローチで観る側を唸らせてくれたと思う。

中盤のMCタイムは3人で話す。“最初の拍手の大きさにびっくりしちゃって、フロアのほうを見られずに入場してしまったのをここで謝ります”“初日ということでめちゃめちゃ気合が入って早く起きちゃいました(笑)”と、緊張しすぎていた胸の内を伝える片桐。髪色を変え、イメチェンしたマツイに“YouTuberみたいな髪色やな”とつっこみ、“東京でこうやってしゃべるのは初めてなんですよ”と感慨深げなヤスカワ。そして、マツイはなんと1曲目の途中に左目のコンタクトレンズを落としてしまったそうで、“貸してくれー。お願いやって! ちゃんと観たいもん、この景色!!”とヤスカワに予備のコンタクトをせがむ。結果、急遽スタッフに楽屋から持ってきてもらうという微笑ましいハプニングもあった。

改めて感謝を告げて披露した温かなバラード「栞」、オーディエンス全員がこの瞬間を忘れないよう脳裏に刻んだ「悲しいほどに毎日は」など、最後まで揺るぎない信念のまま、想いがギュッと詰まったステージは続いた。“まだそんなに強くなれないから一緒に隣を歩いてもいいでしょうか?”と、片桐が今の素直な気持ちを口にするシーンも印象深かった。12月1日(水)に彼らの地元・KYOTO MUSEでファイナルを迎える『傾・粉塵爆発ツアー』。ぜひお近くのライヴハウスで、Hakubiの躍動を目撃してほしい。

撮影:佐藤広理/取材:田山雄士

※現在ツアー中のため、セットリストの公表を控えさせていただきます。

Hakubi

ハクビ:2017 年結成、京都発の3ピースバンド。地元京都を中心に全国で活動中しており、片桐(Vo&Gu)の紡ぎ出すストレートな言葉とその弱さを押し殺すように訴えかける力強い歌声が早耳のリスナーから支持を受け、「夢の続き」のMVはYouTubeにて310万回再生を突破。インディーズ時代からフェスやサーキットイベントでは入場規制が続出。ライヴバンドとして人気を集めた。20年10月にメジャーデビューを発表。21年に先行配信リリースした楽曲たちはTVドラマ、映画、アニメ等に起用される。8月には自主企画イベント『京都迎撃 2021』を開催。9月にメジャーデビューアルバム『era』を発売する。同月より全国ツアー『傾(かぶき)・粉塵爆発ツアー』も開催。

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