LIVE REPORT

在日ファンク ライブレポート

在日ファンク

『「笑うな」発売記念ツアー』

2014年11月16日@EX THEATER ROPPONGI

撮影:AZUSA TAKADA/取材:田山雄士

2014.11.26

引幕が開くと、ステージには最新アーティスト写真同様に黒ジャケットと赤パンツの2トーンでキメた楽器隊の6人がすでにスタンバイしており、バックドロップにはでっかく“笑うな”の文字。SE的に「大イントロ」がプレイされる中、ひと足遅れて登場した浜野謙太(Vo)がいつも通り彼らの前方に立ち、永田真毅(Dr)のカウント、村上基(Tp)らによる高らかなホーンセクションとともに「百年」が始まると、場内からは“ワーッ!”と驚嘆の声が沸く。ハマケンが熱く踊って歌い出せば、そのボルテージはさらに急上昇! ツアーファイナルに相応しい、最高のスタートダッシュである。

バンドのテーマ曲「マルマルファンク」では、ポエトリーパートを間違えるという手痛いミスを犯して一瞬あたふたするハマケンだったが、すかさずジェントル久保田(Tb)が機転を利かせ、全力で“ウォイ!”と声を張って盛り上げるナイスアシスト! それを受けてすぐさま立ち直ったハマケンは“みんなも(ウォイ!)やらないと進まな~い”とふてぶてしくスネ出すアドリブまで入れて、その末に《ウィア 在日ファンク》の決め文句を豪快にブチかましてみせる。そんなふうに、失敗を美味しくしてしまう見事なリカバリーも彼らの成長を物語っていたように思う。

“(会場をぐるりと見渡して)どうだ、見たか! 4人も持ってるんだぞ、(メジャーデビューを祝うグッズの)タオル。これがメジャーの力だ!!”と自虐ネタを飛ばすハマケン。爆笑する観客に対し、続けて彼の口から出る言葉はもちろん“笑うな”だ。““笑うな”っていうタイトルを付けてみたものの、ちょっと物騒というか、強制的だったかな(笑)。ま、とにかく今日はメッセージ性みたいなもんは全部忘れて、踊って帰ってください!”。そんなMCのあとに始まった「産むマシーン」をはじめ、言葉の響きとリズムでノリを生み出していく気持ち良さ(「きず」の歌詞そのもの!)がある一方、「笑うな」での後関好宏(Sax)と仰木亮彦(Gt)のブルージーなソロ、「場」での村上啓太(Ba)のジャジーな低音などには、まるで高尚な演奏会を聴いているような上質さがあったりもする。

とにもかくにも、ハマケンありきのバンドではなくなってきた在日ファンク。動きやコーラスでも魅せるジェントルを筆頭に、メンバー個々の積極性が増し、キャラがどんどん前に出てきているのがいい。定番の「京都」では、仰木がいつも以上のハイテンションでハメを外し、“京都!(京都!)”からギロッポン→EX(THEATER ROPPONGI)→シースー→アッハッハッハ→(浜口)京子→気合だー!という謎すぎる流れの“京都&レスポンス”でアジテート! これにはメンバーも大爆笑で、感激のあまり理性が働かなくなったハマケンは、仰木がギターソロを弾く最中に彼のシールドで歓喜の縄跳びをしてしまうほどゴキゲンだった。

“俺ら、メジャーになったのにだよ? コストダウンの煽りを受けてねぇ。泣く泣く経費を削ろうってことで、ツアーでは弁当をケチって自炊してたんですよ(笑)。炊飯器を持ち込んで、各地で食材を恵んでもらって”(ハマケン)、“でもね、すごく楽しいよ。やっぱり手作りはいいですよね”(ジェントル)、“広島で牡蠣の瓶詰めもらったりしてね”(仰木)、“各地の名産をね。秋田では新米を15キロいただきました。すいません。こんな家族的な話をして、ほんとにほんとに不甲斐ない...”(ハマケン)...YouTubeの所信表明コメント(https://www.youtube.com/watch?v=MZmQw6gDGOg)で“湯水のようにお金を使う”と言い放っていたハマケンが切実な裏事情を暴露したのちに歌う情けない男のラブソング「不甲斐ない」は哀愁たっぷりで、抑揚の効いたホーンアレンジも心地良く胸に沁みてきた。

後半は「ダンボール肉まん」~「きず」のメドレーで口火を切り、ハマケンのダンスが一層ヒートアップ! アクロバティックな動きとともに、スキャット&シャウトのキレも鋭くなっていく。そして、在日ファンクの真骨頂である下手に出ながらつけ上がるようなアゲインスト感が全開の「断固すいません」「根にもってます」。ネチっこいグルーブとファンクビートに乗せた言葉を執拗に繰り返し、ネガティブなワードを陽気に響かせてしまうこの超強力コンボは、満員のオーディエンスを大いに熱狂させた。Podcast番組『オオギナステーション』の特別編を放送したり、キラーチューン「爆弾こわい」を投下したりと、アンコールもやりたい放題のパフォーマンスで駆け抜けた彼ら。来年2月には自主企画イベントを新たに立ち上げるとのことなので、この痛快なファンク集団の次なる展開もどうぞお見逃しなく!
この歌手の歌詞一覧 この歌手の動画一覧

SET LIST 曲名をクリックすると歌詞が表示されます。試聴はライブ音源ではありません。

  1. 1

    大イントロ

  2. 2

    百年

  3. 7

  4. 9

  5. 10

    京都

  6. ~きず

  7. <ENCORE 1>

  8. <ENCORE 2>

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