至福のロックンロール人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | | 生きていることにくよくよしたなら こいつを聴いてごらんよ 破れちまった恋心だって たちどころにふさがるよ 放浪(さすらい)の 人々の新発明 悲しみを 喜びに変える そうさ 魔法のミュージック ロックンロール! ロックンロール! 至福のロックンロール ロックンロール! ロックンロール! 至福のロックンロール! 二千年前三千年前 賢い時が続いた 時代は巡りどんどん世の中 悪くなるばかりだけど これだけは 最高の発明品 苦しみを 幸せに変える さよう 魔法のミュージック ロックンロール! ロックンロール! 至福のロックンロール ロックンロール! ロックンロール! 至福のロックンロール! ロックンロール! ロックンロール! 至福のロックンロール ロックンロール! ロックンロール! 至福のロックンロール! ロックンロール! ロックンロール! 至福のロックンロール ロックンロール! ロックンロール! 至福のロックンロール! 素晴らしい 神様のおくりもの 最高の 神様のおくりもの |
地獄人間椅子 | 人間椅子 | 鈴木研一 | 鈴木研一 | | 赤い鬼がやって来る 青い鬼がやって来る 逃げ惑う餓鬼の群れ そうか地獄に落ちたのだ けつの穴から槍刺され 爪で皮をはがされて 釘で手足を打たれたら そこはまな板恐ろしや でかい包丁で細かく刻まれ 骨になるまで鬼に喰われる 足元は針の山 喉元は糞の海 蛆虫を植えられて 火に投げ込まれた果ては けつの穴から槍刺され 爪で皮をはがされて 釘で手足を打たれたら そこはまな板恐ろしや でかい包丁で細かく刻まれ 骨になるまで鬼に喰われる やっと死ねたと思ったが 気が付いたら生きている 痛みより何よりも 死ねないのがこれ地獄 けつの穴から槍刺され 爪で皮をはがされて 釘で手足を打たれたら そこはまな板恐ろしや でかい包丁で細かく刻まれ 骨になるまで鬼に喰われる |
地獄大鉄道人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | | 悪行に諸手を染めて 権力にあぐらをかいた人よ お迎えの列車が来るぞ 行先が知らぬとは言わせぬぞ ガタゴトン ガタゴトン ガタゴトン 今までの 天罰を 受けるのじゃ ガタガタン ガタガタン ガタガタン 容赦ない 懲らしめを 受けるのじゃ 冥土へと おどろどろ 奈落へと おどろどろ 地獄大鉄道 快楽に溺れるままに 贅沢が身に染み付いた人よ あの世への車が来たぞ 切符ならこちらで用意したぞ ガタゴトン ガタゴトン ガタゴトン ご馳走が 幻に 変わるのじゃ ガタガタン ガタガタン ガタガタン 愛人が 亡霊に 変わるのじゃ 冥土へと おどろどろ 奈落へと おどろどろ 地獄大鉄道 善人の素振りをしては 人様をだましてだけの人よ お別れの時間が来たぞ 偽りの挨拶はいらないぞ ガタゴトン ガタゴトン ガタゴトン 正直に 罪業を 述べるのじゃ ガタガタン ガタガタン ガタガタン 心から 償いを 述べるのじゃ 冥土へと おどろどろ 奈落へと おどろどろ 冥土へと おどろどろ 奈落へと おどろどろ 地獄大鉄道 ガタゴトン ガタゴトン ガタゴトン 今までの 天罰を 受けるのじゃ ガタガタン ガタガタン ガタガタン 容赦ない 懲らしめを 受けるのじゃ |
地獄の球宴人間椅子 | 人間椅子 | 鈴木研一 | 鈴木研一 | | 暴れる獄卒が まさかり振り回わし 生首ふっ飛んだ ぶるんぶるん 仲間の獄卒が すかさず打ち返し 虚空に舞い上がった ぐるんぐるん 生首が絶叫する 生首が号泣する 生首が痙攣する 生首が悶絶する 風が吹いたら元通り 怒れる獄卒が まさかりぶん投げて 生首転げ落ちた ごろんごろん 隣の獄卒が さっそく足蹴にして 業火に命中した ばちんばちん 生首が絶叫する 生首が号泣する 生首が痙攣する 生首が悶絶する 風が吹いたら元通り 狂える獄卒が まさかり振り下ろし 生首はじけ飛んだ しゅるんしゅるん 気の合う獄卒が すばやく受け止めて 油に投げ込んだ ざぶんざぶん 生首が絶叫する 生首が号泣する 生首が痙攣する 生首が悶絶する 風が吹いたら元通り 血膿を吐き出した生首 目玉が飛び出した生首 頭蓋を剥き出した生首 中味がはみ出した生首 風が吹いたら元通り |
地獄への招待状人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | 人間椅子 | まんず地獄はいいどごだ 飯(まんま)なんぼでも食(か)へでける 湯さ浸かれば真っ赤っか 糞(ばば)その辺さ垂れ流し あずましじゃ おもしれじゃ あんだも来てみろ まんず閻魔はいい奴だ えふりこぎはお呼びでない 首チョンパに鬼ごっこ 見(め)っけ女(あま)っこオッペケペー あずましじゃ おもしれじゃ あんだも来てみろ まんず鬼達いい人だ ぶった斬りして笑ってる なんぼ臓腑(はらわだ)取られでも 死んでいるがら死なねんだ あずましじゃ おもしれじゃ あんだも来てみろ |
地獄のヘビーライダー人間椅子 | 人間椅子 | 鈴木研一 | 鈴木研一 | | 地獄の弾丸バイクが 業火にまみれて突っ込んでくる 憤怒の火柱打ち上げ 怒号で火の海荒れ狂う 悪い奴らを踏み潰せ 天罰を食らわす ぶっとばせ ぶっとばせ ぶっとばせ ぶっとばせ ぶっとばせ ぶっとばせ ぶっとばせ ぶっとばせ ぶっとばせ ぶっとばせ ぶっとばせ ぶっとばせ 忌まわしい異形のエンジン 邪悪な煙を吐き散らす おぞましい臭気を振り撒き 不吉な響きで高笑い 狡い奴らを踏み潰せ 天罰を食らわす ぶっとばせ ぶっとばせ ぶっとばせ ぶっとばせ ぶっとばせ ぶっとばせ ぶっとばせ ぶっとばせ ぶっとばせ ぶっとばせ ぶっとばせ ぶっとばせ 巨大な暴走タイヤは 裁きの数だけ加速する 轍で亡者が目覚めて 何度も責め苦に襲われる 非道い奴らを踏み潰せ 天罰を食らわす ぶっとばせ ぶっとばせ ぶっとばせ ぶっとばせ ぶっとばせ ぶっとばせ ぶっとばせ ぶっとばせ ぶっとばせ ぶっとばせ ぶっとばせ ぶっとばせ |
地獄の申し子人間椅子 | 人間椅子 | 鈴木研一 | 鈴木研一 | 人間椅子 | 地獄にはやかましい奴ばかり 札付きの荒くれが堕ちてくる 串刺しで燻(いぶ)されて笑ってる ばかでかい音楽で南無阿弥陀 歌って 踊って お祭り騒ぎ 叫んで 喚(わめ)いて どんちゃん騒ぎ 暴れて 転んで 底抜け騒ぎ うかれて いかれて 乱痴気騒ぎ いくぜ もっと烈しく もっと妖しく もっと愉しく 派手に いくぜ もっと烈しく もっと妖しく もっと愉しく 騒いでいこうぜ 地獄には奇天烈な奴ばかり したたかな曲者が堕ちてくる 磔(はりつけ)で炙(あぶ)られて笑ってる 大袈裟な音楽で南無阿弥陀 歌って 踊って お祭り騒ぎ 叫んで 喚(わめ)いて どんちゃん騒ぎ 暴れて 転んで 底抜け騒ぎ うかれて いかれて 乱痴気騒ぎ いくぜ もっと烈しく もっと妖しく もっと愉しく 派手に いくぜ もっと烈しく もっと妖しく もっと愉しく 騒いでいこうぜ 地獄には好色な奴ばかり 因業なあばずれが堕ちてくる 生首で晒(さら)されて笑ってる 狂おしい音楽で南無阿弥陀 歌って 踊って お祭り騒ぎ 叫んで 喚(わめ)いて どんちゃん騒ぎ 暴れて 転んで 底抜け騒ぎ うかれて いかれて 乱痴気騒ぎ いくぜ もっと烈しく もっと妖しく もっと愉しく 派手に いくぜ もっと烈しく もっと妖しく もっと愉しく 騒いでいこうぜ |
地獄の料理人人間椅子 | 人間椅子 | 鈴木研一 | 鈴木研一 | 人間椅子 | 俺は地獄の大将 庖丁握る赤鬼 暴れる鬼にたらふく食らわせる 彷徨う亡者睨み 旬の食材見抜く 腹黒い程苦みが効いて美味い 焼いて食うか 磔炙り焼き 茹でて食うか 血の池で寄せ鍋 俺は地獄で走る 逃げる亡者を追って 怯える顔が何よりの御馳走 吊るし切りで下ろして 皿に生首盛って 活け作りからこぼれる断末魔 焼いて食うか 串刺しの蒲焼き 茹でて食うか 釜茹でのしゃぶしゃぶ 泣いたって 喚(わめ)いたって 悔いたって 嘆いたって 俺は地獄で歌う 出刃でリズムを刻み 俎(まないた)の上のたうつ亡者たち 叫び声が合いの手 呻き声が伴奏 苦痛に満ちた宴は終わらない 焼いて食うか 鉄板踊り食い 茹でて食うか 臼で引いたすり身 焼いて食うか 茹でて食うか 揚げて食うか 蒸して食うか 煮込んで食うか 炒めて食うか 刺身で食うか たたきで食うか |
地獄のロックバンド人間椅子 | 人間椅子 | 鈴木研一 | 鈴木研一 | | ギターは鎌 亡者を呵責の刻み ベースは斧 頭蓋を非情の破壊 ドラムは鎚 残滓を狂気の乱打 歌は裁く稲妻 冷徹の火 断罪 地獄のロックバンド 冥界のロックバンド ギターは鎌 ざく切り 悲痛の叫び ベースは斧 ぶつ切り 苦痛の唸り ドラムは鎚 こま切れ 恨みの呻き 歌は責める稲妻 逆鱗の火 雷鳴 地獄のロックバンド 冥界のロックバンド 悲しめ 怯えろ 苦しめ 悶えろ 吹け吹け 火の風 降れ降れ 血の雨 ギターは鎌 狡猾 いびる死神 ベースは斧 残忍 なぶる青鬼 ドラムは鎚 強暴 がぶる赤鬼 歌は襲う稲妻 業火の海 灰燼(かいじん) 地獄のロックバンド いびるギター なぶるベース がぶるドラム 冥界のロックバンド |
地獄風景人間椅子 | 人間椅子 | 鈴木研一 | 鈴木研一 | | 人間花火が打ち上がり 紳士と淑女の運動会 針とびマーチも高らかに 狂ったかけっこ よういドン 堕落のゴールへまっしぐら 奈落のゴールへまっしぐら 刃のテープで真っ二つ 万歳している上半身 脚だけ先行くおかしさに うっとりしながらゴールイン 破滅のゴールへまっしぐら 地獄のゴールへまっしぐら 呂律が回らぬアナウンス お次は首とり騎馬戦だ 歪んだ笑いの貴賓席 捻れた骸の表彰台 堕落のゴールへまっしぐら 奈落のゴールへまっしぐら 破滅のゴールへまっしぐら 地獄のゴールへまっしぐら |
地獄変人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | | 地獄の叫びを 聞いてみたくないか 悩み疲れた君に ふさわしい贈り物 後悔をする度 言い訳をする度 執着をする度 逆上をする度 真っ赤に染まる 責め苦の血潮 真っ赤に燃える 業火の炎 悪魔の狼煙を 垣間見たくないか 疑り深い君に ぴったりの絵巻物 陰険になる程 傲慢になる程 |
人生万歳人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | | すべては君の思うまま すべては君のなすがまま 怒【いか】ればさらに怒られる 笑えば笑みに包まれる 単純明快 面白き哉 痛快千万 素晴らしき哉 人生万歳! すべては君の願うまま すべては君のするがまま 恨めばさらに恨まれる 許せばもっと許される 単純明快 面白き哉 痛快千万 素晴らしき哉 人生万歳! 歩け 道ある限り 進め 道なき道を 挑め 野越え山越え 歩け 陽のある限り 進め 渇きを堪【こら】え 挑め お天道様へ 歩け 生ある限り 進め 命を懸けて 挑め 燃え尽きるまで すべては君の望むまま すべては君のあるがまま 憎めばさらに憎まれる 愛せば愛に抱かれる 単純明快 面白き哉 痛快千万 素晴らしき哉 人生万歳! |
世紀末ジンタ人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | | 暗闇の帷(とばり)が落ち 世界中モノクローム 沈黙の街角には 道化師の影すらない ジンタッタ ジンタッタ 人類の鎮魂歌 ジンタッタ ジンタッタ 人類の葬送歌 世紀末ジンタ 古(いにしえ)に預言された 災いと企み事 封印が解かれる度 木霊するラッパの音 ジンタッタ ジンタッタ 人類の鎮魂歌 ジンタッタ ジンタッタ 人類の葬送歌 世紀末ジンタ 慌てふためいたとて 賽は振られたのだ 震えおののいたとて 時は戻らぬのだ ジンタッタ ジンタッタ ジンタッタ ジンタッタ 偽りの平和の下(もと) 号令が静寂(しじま)を切る 従順な市民たちは 我先に頭(こうべ)垂れる ジンタッタ ジンタッタ 人類の鎮魂歌 ジンタッタ ジンタッタ 人類の葬送歌 世紀末ジンタ 語らう夢もない 捧げる愛もない 溢(こぼ)れる笑みもない 抗う声もない 未来 |
洗礼人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | 人間椅子 | 真昼の天空に 鬱々と拡がる雲 蒼褪めた馬に乗り 死神はラッパを吹く ギンギンギラギラ 大地は燃え立ち ザンザングラグラ 荒波沸き立つ 裁きの時が 近付いた 終わりの時が やって来た 夜更けの天涯に 忽然と現わる船 蒙昧な声目掛け 鉄槌が炸裂する ドンドンパチパチ 戦のお便り オンオンドロドロ 病のお知らせ 裁きの時が 近付いた 終わりの時が やって来た 助けてほしいか 助かりたいのか 救ってほしいか 救われたいのか まだ生きたいのか まだ分からないか まだ苦しむのか まだ見えないか 洗礼 …・生きるための 洗礼 …・死ぬるための 洗礼 夜明けの天上へ 粛々と消え行く人 千万(ちよろづ)の時を越え 煉獄の蓋が開く カンカン踊りで 死人(しびと)が唄えば ガンニン坊主が 念仏唱える 裁きの時が 近付いた 終わりの時が やって来た 裁きの時が 近付いた 終わりの時が やって来た |
ダイナマイト人間椅子 | 人間椅子 | 鈴木研一 | 鈴木研一 | | ダイナマイトを知ってるかい とっても楽しい権利物 「3」で当たれば小当たり 「7」で当たれば大当たり!! 2連チャン 3連チャン 4連チャン 5連チャン 6連チャン 7連チャン 8連チャン 9連チャン ダイナマイトが大当たり やればできるんだ君だって 単発のまれて終わりです 俺の頭はダイナマイト!! 2連チャン 3連チャン 4連チャン 5連チャン 6連チャン 7連チャン 8連チャン 9連チャン ダイナマイトをやるために 免許証質入れ金借りた 今じゃ無免許無一文 それでもやりますダイナマイト!! 2連チャン 3連チャン 4連チャン 5連チャン 6連チャン 7連チャン 8連チャン 9連チャン 10連チャン 11連チャン 12連チャン 13連チャン |
ダイナマイト(筋肉少女帯Version)筋肉少女帯 | 筋肉少女帯 | 鈴木研一 | 鈴木研一 | | ダイナマイトを知ってるかい とっても楽しい権利物 「3」で当たれば小当たり 「7」で当たれば大当たり!! 2連チャン 3連チャン 4連チャン 5連チャン 6連チャン 7連チャン 8連チャン 9連チャン ダイナマイトが大当たり やればできるんだ君だって 単発のまれて終わりです 俺の頭はダイナマイト!! 2連チャン 3連チャン 4連チャン 5連チャン 6連チャン 7連チャン 8連チャン 9連チャン ダイナマイトをやるために 免許証質入れ金借りた 今じゃ無免許無一文 それでもやりますダイナマイト!! 2連チャン 3連チャン 4連チャン 5連チャン 6連チャン 7連チャン 8連チャン 9連チャン 10連チャン 11連チャン 12連チャン 13連チャン |
痴人のモノローグ人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | | 拗(す)ねちゃいけない 少年 挫(くじ)けちゃいけない 青年 君の若さは 永遠 胸を反らして 行進 失敗は試金石 絶望は突破口 明けない夜なんてない 惚れちゃいけない 奥さん 迷っちゃいけない お嬢さん 悪い虫なら 沢山 操通して 退散 愛情は宝物 微笑みは夏の空 誠でいっそう光る 泣いちゃいけない 壮年 怒っちゃいけない 老年 細(こま)い大人は 残念 富士の気持ちで 悠然 人生は夢の中 懊悩は朝の露 この世は己の鏡 気にするな 独り言 馬鹿者の モノローグ |
地底への逃亡人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | | この世の終わりに 地の底への扉が開く 有史の前から 隠されたる神秘の岩戸 巨人と 賢者と 火星の叡知(えいち)のものした世界 骸(むくろ)を乗り越え 死をうらやみ迷路を下りる 地軸は傾き 刈り取られる子羊の群れ 嵐と 地鳴りと 死の灰の止むことのない地上 文明の香りは 栄光から泥土に落ちる 時空は消え去り 聞こえるのは神の声だけ 遥かな地底へ 新たな次元へ 果てなき試練へ 次なる頁へ |
月のモナリザ人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | | 永久に 背を向けた 月の裏には 悠久を 閲【けみ】しきた 霊廟がある 人類の 曙の 遥けく昔 彼方より 飛来した 客人【まれびと】の墓 夜を 見守れよ 星を 光らせよ 永遠に 微笑めよ 月のモナリザ 平安と 創造の 銀河から来た 永遠の 生命を 知らしめるため 人々が 気付くまで 眠り続ける 死の姿 装って 眠り続ける 夜を 見守れよ 星を 光らせよ 永遠に 微笑めよ 月のモナリザ 伝説の神々が 栄光を仄めかす 常しえの天国の 階【きざはし】にいるのだと 導けよ 誘えよ 月のモナリザ 幾度も 滅んでは 歴史が出来る 争いに 明け暮れて 砂塵に帰る 月光は いつの世も 遍【あまね】く照らす 何事も もの言わず 優しく照らす 夜を 見守れよ 星を 光らせよ 永遠に 微笑めよ 月の女神 夜を 見守れよ 星を 光らせよ 永遠に 微笑めよ 月のモナリザ |
月夜の鬼踊り人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | | 泣いだわらし そごいねが 何さ泣いだ ごんぼほり 思い通り いがねのは じょっぱりばし するがらだ 真ん丸 月夜の晩は 山がら 鬼が出やるぞ 手に手に 刃物を持って 村中 懲らしめでやれ 赤鬼は金棒で 青鬼は刺叉(さすまた)で 黄の鬼は鋸(のこぎり)で 緑鬼は薙刀(なぎなた)で 踊れ 寝れね大人 そごいねが 何さ悩む 倉の中 貯めで貯めで 足りねのは ほいど根性 あるがらだ 真っ赤な お月様見で でっかぐ 鬼が笑うぞ おのおの 肩怒らせで 夜中 懲らしめでやれ 赤鬼は金棒で 青鬼は刺叉(さすまた)で 黄の鬼は鋸(のこぎり)で 緑鬼は薙刀(なぎなた)で 踊れ 笑わね人 そごいねが 何さ呪う うらめしや 人が悪ぐ 見えるのは 己に悪 あるがらだ 満月 明るい夜は のっしど 鬼が歩ぐぞ めいめい 武器を片手に 朝まで 懲らしめでやれ 赤鬼は金棒で 青鬼は刺叉(さすまた)で 黄の鬼は鋸(のこぎり)で 緑鬼は薙刀(なぎなた)で 踊れ |
涜神人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | 人間椅子 | 空に瞬く星が 我の故郷(ふるさと) 十億年の彼方 栄華極めた 征服こそが我の 我たる所以(ゆえん) 小惑星帯なら 爆発させた 我こそは亡びの神 我こそは破壊の神 我こそは悪の神なるぞ 地球を回る月は 我の別荘 六万年の昔 地上に降りた エジプトにバビロニア 司祭を騙(だま)し ピラミッドの秘密を 暴いてやった 我こそは亡びの神 我こそは破壊の神 我こそは悪の神なるぞ 自由という 名のもとに 娯楽与えてやるぞ 豊かという 名のもとに 貨幣授けてやるぞ 崇(あが)めよ 敬え 競えよ 争え 光届かぬ闇が 我の揺り籠 ハルマゲドンの末は 帰りもしよう 堕天使たちを連れて 最後の戦 教えてやろうそれが 亡びの美学 我こそは亡びの神 我こそは破壊の神 我こそは悪の神なるぞ 迫り来る その日まで 悪徳を ふりまくぞ やがて来る その日まで 縛り続けるぞ こぞって 崇めよ こぞって 敬え こぞって 競えよ こぞって 争え こぞりて 襲い来る その日まで 害毒を ばらまくぞ すぐに来る その日まで 支配止(や)めないぞ こぞって 崇めよ こぞって 敬え こぞって 競えよ こぞって 争え こぞって 崇めよ こぞって 敬え こぞって 競えよ こぞって 争え こぞりて |
泣げば山がらもっこ来る人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | | おらは山出し田舎者(いながもん)だ 字だって知らねじゃ だども話コしかせでやる 一つ聞いでけ 山さカラスが帰るのだば おめも分がるべ 人も夜には寝ねばまいね 寝ねんでいれば 山がらもっこ来るぞ 起ぎでばりいで 泣いでばしだば 逃げるがってもだめだ おめどそっくりの 顔したやづ来る やづの正体分がんねけど まんずおっかね 屋敷入へられだどごろは皆 潰れでまたじゃ いづもいいごどしてる家(え)さは もっこは行がね 悪の薫(かま)りコ好ぎだんだべ おめもそんだのが 山がらもっこ来るぞ 起ぎでばりいで 泣いでばしだば 逃げるがってもだめだ おめどそっくりの 顔したやづ来る 人さ泥んこぶつけでみろ 手ハァ泥だらけ 人さ笑って喋ってみろ 笑みコ返るっきゃ おめのなすごど黙ってでも おめさ来るはんで そせば話コとっちぱれだ そろそろ寝ねば 山がらもっこ来るぞ 起ぎでばりいで 泣いでばしだば 逃げるがってもだめだ おめどそっくりの 顔したやづ来る 泣げば山がらもっこ来る 寝ねば山がらもっこ来る おめの顔したもっこ来る おめの振りしたもっこ来る 泣げば山がらもっこ来る 寝ねば山がらもっこ来る おめの顔したもっこ来る おめの振りしたもっこ来る 泣ぐな |
蛞蝓体操人間椅子 | 人間椅子 | 鈴木研一 | 鈴木研一 | | ずりずりと這い回り ぐねぐねとねじ曲がる ぐらぐらと頭振り びくびくと反り返る 闇に逃れて 闇に隠れて 闇に潜んで 闇に蠢く 闇に浸(つ)かって 闇に澱んで 闇に溺れて 闇の中蠢く 一二三 ねじるんだ 二二三 くねるんだ 三二三 よじるんだ 四二三 うねるんだ だらだらと汁垂らし ずるずると絡み合う べろべろと舐め回し ぶるぶると身悶える 闇に紛れて 闇に埋もれて 闇に呑まれて 闇に彷徨う 闇に嘆いて 闇に恨んで 闇に呪って 闇の中彷徨う 一二三 ねじるんだ 二二三 くねるんだ 三二三 よじるんだ 四二三 うねるんだ 月の狂気が誘う蠕動 星の霊気が誘う蠢動 風の妖気が誘う蠕動 夜の瘴気が誘う蠢動 霧の狂気でいやます蠕動 土の霊気でいやます蠢動 森の妖気でいやます蠕動 沼の瘴気でいやます蠢動 闇にもがけ 闇にあがけ 闇にもがけ 闇にあがけ 闇にもがけ 闇にあがけ 闇にもがけ 闇にあがけ |
肉体の亡霊人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | | 朝焼けの中不気味に蠢く影 灰褐色の腐臭を振りまく群れ 生きているようで生きてない 死んでいるようで死んでない 両手垂らして来る日も彷徨(さまよ)うだけ 歩くだけの 動くだけの にじるだけの 亡霊 しゃぶるだけの すするだけの 食らうだけの 亡霊 わめくだけの 呻くだけの 唸るだけの 亡霊 そは 肉体の亡霊 人の形の抜け殻生まれた理由(わけ) 悪の仕業と言うのはたやすいこと 生き抜こうにも知恵がない 死に往こうにも誇りない 沈む夕陽に粛々飲まれるだけ 歩くだけの 動くだけの にじるだけの 亡霊 しゃぶるだけの すするだけの 食らうだけの 亡霊 わめくだけの 呻くだけの 唸るだけの 亡霊 そは 肉体の亡霊 恐ろしや 恐ろしや 死人(しびと)の行進 恐ろしや 悍(おぞ)ましや 悍ましや 死人の行列 悍ましや 恨めしや 恨めしや 心の温もり 恨めしや 妬ましや 妬ましや 心の灯(ともしび) 妬ましや 夢も希望も潰えた砂漠の町 生きとし生けるもの皆立ち去りゆく 生きているようで死んでいる 死んでいるようで生きている 魂忘れ満たすは本能だけ 歩くだけの 動くだけの にじるだけの 亡霊 しゃぶるだけの すするだけの 食らうだけの 亡霊 わめくだけの 呻くだけの 唸るだけの 亡霊 そは 肉体の亡霊 生きているようで生きてない 死んでいるようで死んでない 生き抜こうにも知恵がない 死に往こうにも誇りない 蠢くだけの のたくるだけの 彷徨うだけの あはれ亡霊 蠢くだけの のたくるだけの 彷徨うだけの あはれ亡霊 |
人間の証明人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | | 泣き叫び 生まれてきた 苦しみの 真っ只中 へその緒が 切られた時 人間に 俺はなった 不幸なら 刻んでやる 試練なら 畳んでやる 不安なら 丸めてやる 俺は俺だ 怖いものか 目を開き 口開き 笑い出せ 人間だぞ 手を振って 足振って 歩き出せ 人間だから 人生の 目的とは 金と欲 それでもいい 一粒の 涙だけが 宝石に 変わりもする 恋ならば 挫(くじ)けずやる 夢ならば 叶えてやる 愛ならば 与えてやる 俺は俺だ 負けるものか 目を開き 口開き 笑い出せ 人間だぞ 手を振って 足振って 歩き出せ 人間だから 草花が 枯れるように 死神は 誰にも来る 善と悪 陰(かげ)と日向(ひなた) 失敗も 悔みもない 晴れならば 踊ってやる 雨ならば 歌ってやる 酒ならば 食らってやる 俺は俺だ 止まるものか 目を開き 口開き 笑い出せ 人間だぞ 手を振って 足振って 歩き出せ 人間だから 人間の証明 |
猫じゃ猫じゃ人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | | 猫じゃ猫じゃとおっしゃるが 猫は下駄など履きやせぬ 二人水性【みずしょう】の忍び逢い 修羅の果てまでサンサノサ お月さん沈むでないよ 恋の路照らしておくれ 下戸じゃ下戸じゃとおっしゃるが 下戸は銚子で飲みやせぬ 三味の調子で探り合い 差しつ差されつヨイヤサカ お月さん沈むでないよ 恋の路照らしておくれ 明けの烏 鳴くのはおよし 夢の刻【とき】が 醒めるというに デコじゃデコじゃとおっしゃるが デコで豆腐は断ちやせぬ 風邪の熱なら下がりょうが 想いは冷めぬションガイナ お月さん沈むでないよ 恋の路照らしておくれ さよう この世が苦しみなれば しよう 恋を こちゃえ こちゃえ さよう あの世が安らぎなれば みよう 夢を こちゃえ こちゃえ |
ねぷたのもんどりこ人間椅子 | 人間椅子 | 鈴木研一 | 鈴木研一 | | 頭割られて飛び出す目玉 矢尻【やじり】えぐって潰れる目玉 鴉つついて転がる目玉 土にドロリとこぼれる目玉 空が鳴る 道が沸く 火が踊る じゃわめく血 ねぷたのもんどりこ ヤレヤレヤレヤ ねぷたのもんどりこ ヤレヤレヤレヤ 太刀の一振り跳ねる生首 野辺に串刺し睨む生首 姫が持つ手で喘ぐ生首 犬がくわえて嘆く生首 空が鳴る 道が沸く 火が踊る じゃわめく血 ゆらゆらと ねぷた来る ぞろぞろと ねぷた来る 空が鳴る 道が沸く 火が踊る じゃわめく血 むかでの住処苔むす髑髏 谷を埋めて誘う髑髏 月の光に囁く髑髏 血潮を浴びて悦ぶ髑髏 空が鳴る 道が沸く 火が踊る じゃわめく血 |
ばっちりいきたい子守唄人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | | すっきり本日 日本晴れ たっぷりご飯をいただいて ゆっくり原宿職探し やっぱり駄目だよまたおいで さっと寝たなら明日もハレルヤ ぐっと我慢の男の子 ぱっと布団に入ればOK ばっちグーグー子守唄 どっきりするよな恋をした ぱっちりおめめの可愛い娘 すっかり夢中のボクだけど はっきりしないよ恋模様 さっと寝たなら明日もハレルヤ ぐっと我慢の男の子 ぱっと布団に入ればOK ばっちグーグー子守唄 うっかりしてるといわれます しっかりしろともいわれます てっきりよかれとしたことが がっかりわかっちゃくれないよ さっと寝たなら明日もハレルヤ ぐっと我慢の男の子 ぱっと布団に入ればOK ばっちグーグー子守唄 ばっちりいきたい子守唄 |
人喰い戦車人間椅子 | 人間椅子 | 鈴木研一 | 鈴木研一 | 人間椅子 | 生首のはさまったキャタピラーが軋む 死に際のおののきが大好物 さて のろしをあげようか さあ 逃げろ もういいかい? 見よ轍を 死の轍を 辿る先は 猟奇の果て 骨を砕き 肉をしゃぶり 汁をすする 人喰い戦車 ほら エンジンは歌う ほら 皆殺しの歌 勝利のリズムで 狂気のメロディーを 臓物を巻きつけてキャタピラーは笑う 血に飢えて のたくって 舌なめずり おや そこの岩陰には やあ 可愛いお嬢さん 見よ轍を 死の轍を 辿る先は 猟奇の果て 骨を砕き 肉をしゃぶり 汁をすする 人喰い戦車 |
風神人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | | 生きてることを忘れたなら 死ぬぐらいの目遭ってみなよ ゾロアスターになれなくとも 自分自身に還れるだろ 荒れた大地に身を委ね 驕(おご)る心を壊すのだ 風よ 恐ろしい風よ 吹けよ 狂おしく吹くがいい 恋することに疲れたなら 恨んでばかり止してみなよ キリスト様といかなくとも 赦すぐらいは出来るだろう 焼けた砂漠に身を焦がし 腫れる瞼(まぶた)を開くのだ 風よ 恐ろしい風よ 吹けよ 狂おしく吹くがいい 尽きない 想いを 飛ばしておくれよ 果てない 迷いを なくしておくれよ 時化(しけ)た渚に身を晒(さら)し 惑う気持ちを捨てるのだ 思い煩(わずら)い苦しむなら 愚者のつもりで生きてみなよ ソクラテスまでいけなくとも 見栄を張るより気が楽だろ |
芳一受難人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | | 阿弥陀寺の 丑三つ刻 草木も皆 眠り落ちている 生ぬるい風 怪しい声 狐の火が 乱れ飛んでいる 巧みな調べ弾く お前がほしい 見事な音色出す お前がほしい こっちへ来い 一緒に来い 恐れず来い 迷わず来い 芳一 琵琶の響く 夜の墓場 卒塔婆たちが すすり泣いている 精も根も 尽き果てんと 天を仰ぎ 撥[ばち]をかき鳴らす 優しい顔をした お前がほしい 綺麗な声をした お前がほしい こっちへ来い 一緒に来い 恐れず来い 迷わず来い 芳一 観自在菩薩行深般若波羅蜜多時 照見五蘊皆空度一切苦厄舎利子 色不異空空不異色色即是空空即是色 受想行識亦復如是舎利子是諸法空相 亡霊ども 取り憑かれた 命の灯が 風に揺れている お釈迦様の 般若の経 体中に 墨で敷き詰める あはれを慰める お前がほしい 無念を紛らわす お前がほしい こっちへ来い 一緒に来い 恐れず来い 迷わず来い 芳一 羯諦羯諦波羅羯諦 波羅僧羯諦菩提薩婆訶 |
ミス・アンドロイド人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | 人間椅子 | 未開の森に守られ 静かに眠る美少女 有史以前の科学の 粋を集めたロボット まだ 目が覚めない なぜ 目を開けない もし 目が覚めたら その 目は何見る 愛情を与えねば 魂を授けねば 起き上がれない 愛情が灯るまで 魂を宿すまで ミス・アンドロイド ミイラの下僕(しもべ)従え 石の棺で夢見る 人の歴史の興亡 宇宙の果ての盛衰 まだ 目が覚めない なぜ 目を開けない もし 口開いたら その 声何言う 愛情を与えねば 魂を授けねば 起き上がれない 愛情が灯るまで 魂を宿すまで ミス・アンドロイド フランケンシュタインでも 赤い唇奪えない 考古学者の論理は お髪(ぐし)ひとつも解けない まだ 目が覚めない なぜ 目を開けない もし 手が動けば その 指何指す 愛情を与えねば 魂を授けねば 起き上がれない 愛情が灯るまで 魂を宿すまで ミス・アンドロイド |
魅惑のお嬢様人間椅子 | 人間椅子 | 鈴木研一 | 鈴木研一 | 人間椅子 | 月明かり浴びた雪のような 淡くて溶けそうなその肌は 目眩がするほど狂おしい 野バラの香りをにじみ出す お嬢様の脚 お嬢様の腕 お嬢様の胸 お嬢様の頬 そこに咲く笑窪 磨いためのうが濡れたような 妖しい光の唇は 神秘の水晶のぞかせて 小鳥のさえずりそっと出す お嬢様の髪 お嬢様の指 お嬢様の口 お嬢様のあご そこに咲くほくろ この世の光をみんな集めて まばゆいばかりに光輝け お嬢様 男の視線をみんな集めて 艶かしいほど光輝け お嬢様 女の嫉妬をみんな集めて 神神しいほど光輝け お嬢様 独り占めする欲望が日ごと強くなる 秘密をあばく欲望が夜ごと強くなる いじめてみたい欲望が日ごと強くなる 汚してみたい欲望が夜ごと強くなる |
冥土喫茶人間椅子 | 人間椅子 | 鈴木研一 | 鈴木研一 | | 陰鬱な静寂 人魂の灯 骸骨の杯 無念の乾杯 しゃがれた声が呟く ようこそ冥土喫茶へ 黄泉の国のすぐそこ 三途の川のすぐ横 あの世着いたらすぐにおいでよ 陰惨な曼陀羅 梵字の品書き 大王お墨付 奪衣婆の料理 女給さん白装束で 死化粧して死臭ふりまく 黄泉の国のすぐそこ 三途の川のすぐ横 あの世着いたらすぐにおいでよ 陰湿な音楽 囚われの楽団 短調の連続 絶望の調べ 忌まわしい和音虚しく 終わりのない闇に沈む 黄泉の国のすぐそこ 三途の川のすぐ横 あの世着いたらすぐにおいでよ |
黄泉がえりの街人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | | 正法[しょうぼう]も像法[ぞうぼう]も 徒らに終わった 観音の功徳なき 今はただ末法 法忘れ慈悲忘れ 我勝ちに争い 欲まみれ金まみれ 成仏はもうない 墓が持ち上がる 黴が舞い上がる 骨がぞめき出す 死者が蘇る街 伴天連の福音も 逆しまに伝わる 復讐と審判に 人はただ慄[おのの]く 笑みを捨て愛を捨て 略奪に勤[いそ]しみ 剣を取り銃を取り 魂はもうない 墓が持ち上がる 黴が舞い上がる 骨がぞめき出す 死者が蘇る街 死人[しびと]どもが街を練り歩く 地獄絵図が街を塗り潰す 文明の発条[ぜんまい]が 厳かに巻かれる 隷属と洗脳に 誰もただ従う 山を切り森を切り 獣[けだもの]を追いやり 家を建て蔵を建て 神の影とてない 墓が持ち上がる 黴が舞い上がる 骨がぞめき出す 死者が蘇る街 |