この道菅原洋一 | 菅原洋一 | 北原白秋 | 山田耕筰 | 江草啓介 | この道はいつか来た道 ああ そうだよ あかしやの花が咲いてる あの丘はいつか見た丘 ああ そうだよ ほら 白い時計台だよ この道はいつか来た道 ああ そうだよ お母さまと馬車で行ったよ あの雲はいつか見た雲 ああ そうだよ 山査子(さんざし)の枝も垂れてる |
からたちの花菅原洋一 | 菅原洋一 | 北原白秋 | 山田耕筰 | 江草啓介 | からたちの花が咲いたよ 白い白い花が咲いたよ からたちのとげはいたいよ 青い青い針のとげだよ からたちは畑(はた)の垣根よ いつもいつもとおる道だよ からたちも秋はみのるよ まろいまろい金のたまだよ からたちのそばで泣いたよ みんなみんなやさしかったよ からたちの花が咲いたよ 白い白い花が咲いたよ |
琵琶湖周航の歌菅原洋一 | 菅原洋一 | 小口太郎 | 吉田ちあき | 江草啓介 | 我は湖(うみ)の子 さすらいの 旅にしあれば しみじみと 昇る小霧(さぎり)や さざ波の 滋賀の都よ いざさらば 松は緑に 砂白き 雄松(おまつ)が里の おとめ子は 赤い椿の 森かげに はかない恋に 泣くとかや 波(なみ)の間に間に 漂えば 赤い泊火 なつかしみ 行方定めぬ 浪枕 今日は今津か 長浜か 今日は今津か 長浜か |
あざみの歌菅原洋一 | 菅原洋一 | 横井弘 | 八洲秀章 | 江草啓介 | 山には山の 愁いあり 海には海の かなしみや ましてこころの 花園に 咲きしあざみの 花ならば 高嶺の百合の それよりも 秘めたる夢を ひとすじに くれない燃ゆる その姿 あざみに深き わが思い いとしき花よ 汝(な)はあざみ こころの花よ 汝はあざみ さだめの道は はてなくも かおれよせめて わが胸に |
惜別の歌菅原洋一 | 菅原洋一 | 島崎藤村 | 藤江英輔 | 江草啓介 | 遠き別れに 耐えかねて この高殿(たかどの)に のぼるかな 悲しむなかれ わが友よ 旅の衣を ととのえよ 別れといえば 昔より この人の世の 常なるを 流るる水を ながむれば 夢はずかしき 涙かな 君がさやけき 目の色も 君くれないの 唇も 君がみどりの 黒髪も またいつか見ん この別れ |
水色のワルツ菅原洋一 | 菅原洋一 | 藤浦洸 | 高木東六 | 上柴はじめ | 君に逢ううれしさの 胸にふかく 水色のハンカチを ひそめる習慣(ならわし)が いつの間にか 身にしみたのよ 涙のあとを そっと 隠したいのよ 月影の細路を 歩きながら 水色のハンカチに 包んだささやきが いつの間にか 夜露にぬれて 心の窓をとじて 忍び泣くのよ |
庭の千草菅原洋一 | 菅原洋一 | 里見義 | アイルランド民謡 | 大貫祐一郎 | 庭の千草も 虫の音も 枯れて淋しく なりにけり ああ 白菊 ああ 白菊 ひとり遅れて 咲きにけり 露にたわむや 菊の花 霜におごるや 菊の花 ああ あわれあわれ ああ 白菊 人の操(みさお)も かくてこそ |
宵待草菅原洋一 | 菅原洋一 | 竹久夢二・西條八十 | 多忠亮 | 上柴はじめ | 待てど 暮せど 来ぬひとを 宵待草の やるせなさ こよいは 月も 出ぬそうな 暮れて 河原に 星一つ 宵待草の 花の露 更けては 風も 泣くそうな |
忘れな草をあなたに菅原洋一 | 菅原洋一 | 木下龍太郎 | 江口浩司 | 森岡賢一郎 | 別れても 別れても 心のおくに いつまでも いつまでも 憶えておいて ほしいから 幸せ祈る 言葉にかえて 忘れな草を あなたに あなたに いつの世も いつの世も 別れる人と 会う人の 会う人の 別れはつねに あるものを ただ泣きぬれて 浜辺につんだ 忘れな草を あなたに あなたに 喜びの 喜びの 涙にくれて 抱き合う 抱き合う その日がいつか 来るように 二人の愛の 思い出にそえ 忘れな草を あなたに あなたに |
砂山菅原洋一 | 菅原洋一 | 北原白秋 | 山田耕筰 | 美野春樹 | 海は荒海 向うは佐渡よ すずめ啼(な)け啼け もう日はくれた みんな呼べ呼べ お星さま出たぞ 暮れりゃ砂山 汐鳴りばかり すずめちりぢり また風荒れる みんなちりぢり もう誰も見えぬ かえろ かえろよ 茱萸原(ぐみわら)わけて すずめさよなら さよなら あした 海よさよなら さよなら あした |
椰子の実菅原洋一 | 菅原洋一 | 島崎藤村 | 大中寅二 | 大貫祐一郎 | 名も知らぬ 遠き島より 流れ寄る 椰子の実ひとつ ふるさとの岸を 離れて 汝(なれ)はそも 波に幾月 実をとりて 胸にあつれば 新なり 流離の憂い 海の日の 沈むを見れば 激(たぎ)り落つ 異郷の涙 思いやる 八重の汐々 いずれの日にか 国に帰らん |
冬の星座菅原洋一 | 菅原洋一 | 堀内敬三 | ヘイス | 美野春樹 | 木枯とだえて さゆる空より 地上に降りしく 奇(くす)しき光よ ものみないこえる しじまの中に きらめき揺れつつ 星座はめぐる ほのぼの明りて 流るる銀河 オリオン舞い立ち スバルはさざめく 無窮(むきゅう)をゆびさす 北斗(ほくと)の針と きらめき揺れつつ 星座はめぐる |
月の沙漠菅原洋一 | 菅原洋一 | 加藤まさを | 佐々木すぐる | 小原孝 | 月の沙漠(さばく)をはるばると 旅のらくだが行きました 金と銀との鞍(くら)置いて 二つならんで行きました 金の鞍には銀のかめ 銀の鞍には金のかめ 二つのかめはそれぞれに ひもで結んでありました さきの鞍には王子さま あとの鞍にはお姫さま 乗った二人はおそろいの 白い上着を着てました 広い沙漠をひとすじに 二人はどこへ行くのでしょう おぼろにけぶる月の夜を 対(つい)のらくだはとぼとぼと 砂丘をこえて行きました 黙ってこえて行きました |
荒城の月菅原洋一 | 菅原洋一 | 土井晩翠 | 滝廉太郎 | 小原孝 | 春高楼の 花の宴 めぐる盃 かげさして 千代の松が枝 分けいでし むかしの光 いまいずこ 秋陣営の 霜の色 鳴きゆく雁の 数みせて 植うる剣に 照りそいし むかしの光 いまいずこ いま荒城の よわの月 かわらぬ光 たがためぞ 垣にのこるは ただ葛(かずら) 松に歌うは ただあらし 天上影は かわらねど 栄枯は移る 世の姿 映さんとてか 今もなお ああ荒城の よわの月 |
浜辺の歌菅原洋一 | 菅原洋一 | 林古渓 | 成田為三 | 小原孝 | あした浜辺を さ迷えば 昔のことぞ しのばるる 風の音よ 雲のさまよ よする波も かいの色も ゆうべ浜辺を 回(もとお)れば 昔の人ぞ 忍ばるる 寄する波よ かえす波よ 月の色も 星のかげも |
赤とんぼ菅原洋一 | 菅原洋一 | 三木露風 | 山田耕筰 | 小原孝 | 夕やけ小やけの 赤とんぼ 負われて見たのは いつの日か 山の畑の 桑の実を 小籠に摘んだは まぼろしか 十五で姐やは 嫁に行き お里のたよりも 絶えはてた 夕やけ小やけの 赤とんぼ とまっているよ 竿の先 |