好き勝手したいんじゃなくて、選べる僕でいたいだけだった。

 昨年、メジャーデビューを果たした次世代4人組ピアノロックバンド“SHE'S”が、初のフルアルバム『プルーストと花束』を来たる1月25日にリリースします!アルバムタイトルは、フランス作家:マルセル・プルーストの『失われた時を求めて』という小説から導かれたものだそう。尚、この本には、主人公がマドレーヌを紅茶に浸したとき、その香りをきっかけとして幼い頃の記憶が蘇るという描写があり、そこから<嗅覚や味覚から過去の記憶が呼び覚まされる>フラッシュバックのような現象を【プルースト効果】とも言うようです。

 そして、SHE'Sボーカルの“井上竜馬”はその【プルースト効果】を音楽にも反映させ、「メロディーの断片や歌詞の中の一言に導かれながら、記憶の中に眠っていた光景を蘇らせてひとつの曲にする試み」をテーマに1stフルアルバムを完成させたんだとか。曲からどんな景色を見せてくれるのでしょうか…楽しみですね!さて、今日のうたコラムでは、そんなアルバムの収録曲から、すでにフル尺のミュージックビデオ&歌詞が公開となっている新曲「Freedom」をご紹介いたします。みなさんにとって「Freedom」=【自由】とはどんなものですか…?

岐路の上 18歳の
この先なんてぼやけていた
どうにでもなるなんて甘い事も考えて
好き勝手したいんじゃなくて
選べる僕でいたいだけだった
ここで起きる全ては 起こす全てだと

再生、停止のループ
宙に浮かんだアンサー
予想できるような未来に用は無い

Oh, wanna get freedom
諦めきれないなら
Gotta get freedom
道なき道をゆけ
くだらない意地捨て 求めた居場所を作れ
It's “Freedom”
理屈じゃないものに動かされてる
「Freedom」/SHE'S

 <どうにでもなる>、<選べる僕でいたい>、<ここで起きる全ては 起こす全て>…。歌の主人公である<僕>が18歳のときに考えていた【自由】は、奔放でエネルギッシュで野心に満ちていて魅力的にも感じられます。しかし、24歳の“井上竜馬”はこの曲について、セルフライナーノーツへ次のように綴っているんです。

『かつて考えていた自由は、何にも縛られず、やりたい事をやりたい時にやる、そんなものだったけど24歳の今感じたそれは単なる「可能性を広げてくれるもの」だった。それを得るには、自分も他人も広い視野で見て、理解しようとし、受け容れる心を持つ事が必要なのかもしれない。余計なプライドも先見も、道を作るには意外と邪魔だったりする。』(井上竜馬)

 このコメントを読むと、かつての<僕>はどこか、自分が考える【自由】や、【自由】であるための余計なプライドや先見や<くだらない意地>に、逆に縛られてしまっていたようにも思えてきませんか? しかし、24歳の<僕>が考える【自由】には「自分も他人も広い視野で見て、理解しようとし、受け容れる心を持つ事が必要」…。つまり、凝り固まった理屈を越えた自分にならなければ、可能性は広まらないということなのではないでしょうか。

自分が自由になれて
人との時間が
初めて始まるのだということに気付きました
(群ようこ「パンとスープと猫日和」より引用)

 余談ですが、自由について、こんな一文も引用してみました。自由になることは、自分も他人も広い視野で見て、理解しようとし、受け容れる心を持つ事。そうやって自由になれたときにこそ、本当の意味で「人との時間が初めて始まる」…。きっと、自分と他人と自由はこのように繋がっているんですね。SHE'Sの「Freedom」は、そんな【自由】の本質を教えてくれる楽曲でもあります。是非、MVと併せて歌詞をチェックしてみてください。他、収録曲の歌詞公開もお楽しみに!

◆1st Album『プルーストと花束』
2017年1月25日発売
初回限定盤(CD+DVD) TYCT-69113 ¥3,500
通常盤(CD) TYCT-60096 ¥2,800

<収録曲>
1 Morning Glow
2 海岸の煌めき
3 Stars
4 Say No
5 Tonight
6 グッド・ウェディング
7 パレードが終わる頃
8 Freedom
9 Running Out
10 Ghost
11 プルースト