映画館で自分の夢を見つけた。

 2023年8月30日に“大原櫻子”がNew Mini Album『スポットライト』をリリースしました。今作には、俳優人生と歌手人生という、二足の草鞋で浴び続けてきた「脚光」と、10年間で起きた様々な出来事の表側の部分、その裏側に隠れた苦難や努力の道のりの中での「光と影」、という2つの意図が込められており、収録される6曲の物語の「主人公」を演じている作品となっております。
 
 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“大原櫻子”による歌詞エッセイをお届け。綴っていただいたのは、今作のタイトルにも通ずる、自身が愛し続けてきた“映画”についてのお話です。夢を見つけたあの日のこと。映画の世界の苦い記憶。もがいた日々。そして今とこれからの想い…。ぜひ今作と併せて、エッセイを受け取ってください。



小学校2年生の時。
映画館で自分の夢を見つけた。
 
この日観る映画は、自分と年齢が近い女の子が主演の映画で、いつも以上にワクワクしていた。
 
彼女の迫真の演技に引き込まれた私は、自分が映画館にいることを忘れ、スクリーンの向こう側の彼女に、思わず「逃げて!」と、立ち上がり叫んでしまった。
母が慌てて、私を座らせ、周りの方に謝っていた姿も覚えている。
ただ、その瞬間、“女優”という存在の大きさに気がついた。
(私も人の心を動かせる“女優”になりたい!)
この日、大きな夢を見つけた。
 
そして、16歳の時に出会った映画オーディション。
約1年に渡る長いオーディションの間に、17歳の誕生日を迎え、その翌日、合格を言い渡された。
人生で1番のお誕生日プレゼントだと思った。
 
そんな嬉しさとは裏腹に、
憧れていた映画の世界は、決して楽なものではなかった。
朝早くから夜遅くまではもちろん、撮影初日、監督からのオーダーに上手く答えられず、悔しい思いをした記憶がある。
甘く考えたつもりはないが、思った以上に苦い思いをした“映画”の記憶だ。
 
その年、撮影と並行しつつも、映画学科の大学を受験。
撮影中にAO入試を受けるも、結果は不合格。
しかし、大学を行くことは、オーディションを受ける前から決めていた自分との約束。
現場で学べることもあるが、それよりもまず、同世代の方と基礎を学びたい想いが強く、再び、入学試験を受けた結果、入学することが出来た。
 
学校と現場の行き来の生活も、決して楽ではなかったが、毎日もがきながらも、自分なりに楽しく学んでいた。
無事撮影が終了し、映画デビューを果たした。
 
苦くて甘い経験は、今もなお続く。そしてこれからも続くだろう。
 
私にとって、映画は、人生が変わる瞬間に、いつもそばにいる存在。
映画が自分の人生に寄り添っているのか、または、自分の人生が映画に寄り添っているのか。
 
デビューから10年経った今、これからも映画を愛していきたい。
そして、この先の10年を、いや、何十年もさらに楽しんでいきたい。
 
<大原櫻子>



◆New Mini Album『スポットライト』
2023年8月30日発売
 
<収録曲>
1. 寂しいの色
2. Hello My Fave
3.どうして
4. JUMP
5. 星の日
6. bitter sweet cinéma