私の世紀末カルテ

サザンオールスターズ

私の世紀末カルテ

作詞:桑田佳祐
作曲:桑田佳祐
編曲:サザンオールスターズ
発売日:1998/02/11
この曲の表示回数:61,630回

私の世紀末カルテ
家に帰ると テレビが無くては 生きて行けません
嘘でもいいから 刺激が無くては 死んでしまいます
こんな時代に 手紙を書くのが 好きになりました
他人に己れを さらけ出すのが 怖くてなりません
闘う事や 傷つく事は拒むけど
野暮な 慰めにゃ ホロホロリ

胸いっぱい時代の風を 吸い込む頃がある
こんなに汚れた 都会の空気を 有難がっていた
いくつになっても 未熟な自分を 愛しく思ってる
そんな大人が 幼い我が子に 道を説いている
誰かにもらった 自由を疑う事はなく
知らず知らずうち ホロホロリ

可愛い女にゃ 優しく振る舞う 自分に気付いてる
気前の良さと 気さくなジョークで その場を和ませる
今夜ベッドに 連れ込む相手に 狙いを定めても
下心を悟られないかと 気にして飲んでいる
綺麗な女 愉快な男 人は皆
春と裏腹にホロホロリ

人間同士も深入りすると ロクな事はない
下手に誤解や 裏切りなんぞを 被る筋はない
人の絆は付かず離れず 希薄な方がいい
その他大勢の 群れに紛れて 幸福掴みたい
歩みの遅い者を尻目に 駆け抜けりゃ
友は泣き笑いホロホロリ

浮気をするなら バレなきゃいいわと 笑って妻は言う
このごろ帰りが 遅くなったと 気遣う振りをする
満員電車の ビショ濡れ窓から 我が家の屋根を見て
今夜のために 昨夜と違った 言い訳さがしてる
誰も知らない 居場所が欲しい それなのに
愛をブラ下げて ホロホロリ

情に流せば 弱気な態度と 傍からなじられて
腹から怒鳴ると 変わり者だと 嗚呼 避けられる
頭を下げれば その場はなんとか 凌げるが
見て見ぬ振りすりゃ 自分が何だか 惨めになってくる
他人の視線と 自分の評価に うろたえりゃ
春は柳さえユラユラリ

母さんあなたが 歌ってくれた 小唄が懐しい
この世に生まれ この世で見たのは 時代の流れだけ
未来世紀も人間の心は うつろい易いだろう
こんなアジアの 片隅なんかに しがみつきながら
もう背伸びを しようなんて言わないが
せめて泣かせてよ ホロホロリ

夢を捨てられず ホロホロリ

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