INTERVIEW
「『みんなのうた』で楽曲を使ってもらうことが夢だったんです。」

Goodbye holidayは2008年、児玉さんが二十歳の時に広島で結成されたんですよね。ご自身が“音楽”という道を選んだ最初のきっかけは何だったのでしょうか。

児玉:中学高校時代、BUMP OF CHICKENがまさに絶世期で友達もみんな聴いていましたし、僕もすごく好きだったんです。だからカラオケに行ったらよくBUMPの曲を歌っていたんですけど、自分の声質がわりと藤原さんに似ていたらしく「お前すげぇな!」って褒めてもらえて(笑)。そこからどんどん歌うことが好きになっていきました。もう中三の頃にはギターを買って、BUMPの曲を弾いたりして覚えたコードで、オリジナル楽曲を作り始めていました。それから大学で音楽サークルに入って、ライブをする楽しさも覚えてたことで、音楽で食っていこうという覚悟が決まりましたね。だからGoodbye holidayは、同じような志を持っていたメンバーを集めて、組んだ時点でもうプロとしてやっていくことを目指していました。

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そして2011年4月に上京なさって、ギターの大森さんも新たに加入し、本格的にバンド活動をスタートさせるにあたり、「こういうバンドになろう!」というような理想はありましたか?

児玉:歌詞は日本語で、“歌メイン”のバンドをやっていきたいという想いはありましたね。それは僕の家でいつもJ-POPが流れていたことも影響していると思います。あとBUMPとかミスチルとか、自分が良いなぁと思った曲ってやっぱり歌詞が響くものだったんです。ひとつのフレーズに救われたこともたくさんありましたし。だから自分も歌詞にはしっかりと想いを込めて書きたいということは今もずっと意識していますね。

ではさっそくですがニューシングルについてお伺いしていきたいと思います。まずテレビ東京系金曜ドラマ『ドクター調査班〜医療事故の闇を暴け〜』の主題歌「奇跡の星」にはどのようなメッセージを込められましたか?

児玉:一番伝えたいのは“大切な人が当たり前にそばにいるって、奇跡みたいなことなんだよ”ということですね。今回のドラマは「医療事故の闇を暴け」というサブタイトルがついているように、わりと重くて難しいテーマを扱った作品なんですけど、楽曲は「疾走感があって、前向きな希望が見えるような曲にしてほしい」というオーダーを頂いたんです。そこで自分にとって“希望”って何だろうと考えたとき、やっぱり人の存在だなと思ったのでこういう歌詞になりました。

歌詞には「たとえば 明日、世界が終わるとしたらどうする?」や「わたしは大丈夫」「わたしは幸せよ」という二人の会話も登場しますね。この“僕と君”はどんな関係の二人をイメージしたのでしょうか。

児玉:僕としては、恋人同士ではないつもりで書いたんですよね。この二人のイメージは、桜庭一樹さんの『砂糖菓子の弾丸は打ち抜けない』という本の登場人物からインスピレーションを受けました。平凡な日常生活を送っていた女の子の高校に、強烈な個性を持った女の子が転校してくるところから話が進んでいって…。「奇跡の星」の歌詞は、そんな女子高生二人の、恋愛感情に近いくらい“お互いがすごく大切”という関係を思い浮かべながら書きましたね。聴いてくださる方にとっては、恋人だったり、友達だったり、家族だったり、いろんな人が当てはまるといいなぁと思っています。

なるほど…。またサビの<悪魔も天使も 愛の意味をずっと探している>というフレーズは“悪魔”を否定していないところが印象的でした。これは、どんな悪にも根本には愛という正義があるのだということですか?

児玉:はい、ドラマの脚本を読ませていただいた時、まさにそういうことを思いました。ある人にとっては正しいことをしたつもりが、別の人を傷つけてしまっていたり。だからこそ正義って難しいなぁと。

抽象的な質問になってしまいますが、児玉さんにとっての<正義>とはなんだと思いますか?

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児玉:僕にとっては…まだそこまで責任感を持って守れるようなものはないんですけど、自分の家族ができたらそれを守ることが最優先になるだろうと思っています。うちはわりと親とも仲が良くて、ちゃんと愛情を注いでもらったなという実感がすごくあるんです。だからいつかは僕も同じように愛情を注ぎたいし、子どもができたら尚更その気持ちは強くなると思いますね。

そして、2曲目に収録されている「弱虫けむし」はNHK『みんなのうた』のテーマソングですね。一言一言、歌詞がはっきり聴こえてくるので言葉がすごく沁みてきます。

児玉:この曲は、素直な気持ちを伝えられない子の背を押せる“応援ソング”にしたいという想いで作りました。ずっと『みんなのうた』で自分の楽曲を使ってもらうことが夢だったんですよ。僕の親は保育士で、今は託児所で働いているんですけど「Goodbye holidayの歌は『みんなのうた』に合うと思うから、いつか使ってもらえたらいいね」って言ってくれていて。だからそれを叶えたくて「弱虫けむし」の歌詞は、番組で流れた時に小さい子でもイメージの湧きやすいような言葉を選んで、ひらがな表記を多めにして書きました。それから事務所の方に「この曲『みんなのうた』で使ってほしくて作ったんですけど…」ということを相談したら動いてくれたんです。そうしたら番組のスタッフさんたちも楽曲を気に入ってくださって、タイアップが決まったのですごく嬉しかったですね。

ちなみに、児玉さんご自身は大切な人や好きな人に思った事をズバッと言えるタイプですか?

児玉:わりと言う方だと思うんですけど、“ごめんね”だけがあんまり…(笑)。この歌詞のように、僕も思ってもいないことを言って誰かを傷付けてしまったことって今までたくさんあったと思うんですよ。Goodbye holidayの「等価な世界」という曲でもまさにそういう後悔を歌っていますし。でも家族とか恋人とかメンバーとか、関係が近ければ近いほどなんか素直に謝れないんですよねぇ。だから自分自身、ちゃんと“ごめんね”を言えるようになりたいですね(笑)。


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