INTERVIEW
「“歌モノ”バンドとして戦って、勝っていきたい。」

普段、曲作りはどのようにおこなっているのでしょうか。

児玉:曲は歌詞から書くようにしていますね。インディーズ時代はずっと曲先だったんですけど、デビュー1stシングル「革命アカツキ」の時に、プロデューサーの寺岡呼人さんから「これからは詞先の時代が来る」という話を聞いて。槇原敬之さんとかも、歌詞を先に書いていて、そこでOKが出ないと曲には進めないらしいんです。それだけ歌詞を大切にしているってことですし、言葉を妥協しないからメッセージがよりしっかり伝わるんですよね。だから自分も詞先に変えてみたんです。僕にはその作り方が合っていたみたいで、歌の世界観もイメージしやすくなったし、歌詞とメロディーがよく馴染むようになって、以前よりも制作がスムーズになりました。

グッホリ楽曲は、児玉さんが作詞をするときとベースの福山匠さんが作詞をするときがありますが、どちらが歌詞を書くのかはどのように決めるのですか?

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児玉:以前は、僕が煮詰まったとき彼にお願いしていたんです。匠はもともと書くことが好きだったみたいで、手帳に歌詞を書き溜めていたりもしていました。だから、作詞を頼むと本人もモチベーション高くやってくれて。そうしたら、僕の歌詞と匠の歌詞って結構テイストが違ったんですよね。それはバンドとしての武器にもなるなぁというところから、アルバムに一曲くらいは匠が書くようになっていって、次第に書く回数も増えてきたという感じですね。匠の歌詞は、ちょっと暗いなと思っていたんですけど、最近はそうでもなくて。自分で「後ろを向きながら前に進んでいく感じ」と言っていましたけど、まさにそんな世界観が多いです。彼自身もそういう性格なので、人柄が歌詞に出ているなぁと思います。

児玉さんご自身の歌詞のテイストについてはいかがでしょうか。

児玉:ん〜…。まだ「自分の歌詞はこういうものです」と言い切れない部分もあるんですけど、何かしら必ず最後に“希望”のあるものにしたいと思って書いています。あと、メジャーデビューしてから、歌詞を書くために本をたくさん読むようになったんです。だから小説のように物語や登場人物をはっきりとイメージして書き進めていくという作り方をすることは多いですね。その中には必ず自分の実体験も交えていて、それとフィクションが混ぜ合わさったようなところが特徴になっていたらいいなぁと思います。

先ほど、新曲「奇跡の星」は本の登場人物からインスピレーションを得たとおっしゃっていましたが、やはり言葉の刺激は本から得ることが多いですか?

児玉:そうですね、とにかく沢山読んでいて、面白い言葉があったらすぐにメモします。最近だと、江國香織さんの『号泣する準備はできていた』という短編小説にあった<人生は恋愛の敵よ>という一文がすごく印象的でした。

おぉ…。どういう意味なのでしょうか。

児玉:深いですよね。恋愛には色んな形がありますし、自由なものなんでしょうけど、現実ではそれだけじゃ済まないというか…。たとえば“結婚する”となると、お金がなくて暮らしていけない人もいるでしょうし。世間とか他人の目を気にしてしまうこともあるかもしれませんし。なんか“人生”という括りの中だと、自由であるはずの恋愛がそうではなくなってしまうことって多いんだろうなぁって。そういう複雑なことをたった1行で言い表してしまえるのが凄いなぁと思いました。

では、“歌詞”が良いなぁと思うアーティストや楽曲を教えてください。

児玉:学生の頃からずっとBUMP OF CHICKENは好きですし、槇原敬之さんや斉藤和義さんの歌詞も凄いなぁと思いますね。とくに斉藤和義さんの「Endless」という楽曲が素晴らしいんです。“愛している”とはっきり伝えているわけではないんですけど、どこのフレーズが良いとか言えないくらい究極のラブソングだなぁと。あと最近、原田知世さんがカバーしている「木綿のハンカチーフ」を聴いて、改めてグッときましたね。あれって恋人同士の対話形式になっていて、男性が上京するストーリーじゃないですか。それが自分とも重なって。<恋人よ ぼくは旅立つ 東へと向う列車で はなやいだ街で 君への贈りもの探す 探すつもりだ>っていう歌の始まり4行くらいですでに泣きそうになります。

photo_02です。

児玉さんにとって歌詞を書くこととはどんなことでしょうか。

児玉:僕はさっき言ったように、思ったことはなるべく言うようにはしているんですけど、口下手というか、上手く喋りで説明できないことが多いんですよね。自分の中では、うまく伝えたつもりだったし、会話も成り立っていたはずなんですけど、実際には相手になかなか伝えきれてなかったり…。でも歌なら本当の気持ちをしっかり伝えられていると思います。だから、歌詞は本当の自分を出せる場所なんです。

Goodbye holidayはこれからどんなバンドになっていきたいですか?

児玉:やっぱり小さい子どもからご年配の方にまで愛されるようなバンドになりたいと思います。あとは、もちろんホールツアーとか大きいステージも目指して行きたいんですけど、そこに辿り着くまでにはまずライブハウスで勝っていかなければならないですよね。今、ずーっと四つ打ちブームが根強く残っていますし、ライブでノレるような楽曲を得意とするバンドがどんどん人気を得ているじゃないですか。でも、グッホリは言いたいことを妥協せず伝えられる“歌詞”の強い楽曲を作っていきたいです。“歌モノ”バンドとして戦って、勝っていきたいですね。

最後に、歌ネットを見ている方にメッセージをお願いします。

児玉:思っているよりも、素の自分を出すことは怖くないよ、大丈夫だよ、ということを伝えたいですね。僕の場合は、歌詞を書くというところで本音を出せている場がありますし、そう簡単ではないかもしれないんですけど…。でも意外とちゃんとありのままの心を受け入れてくれる人は多いし、自分を出すことで相手も本当の気持ちを見せてくれると思うんです。だから皆さんも怖がらずに、思ったこと感じたことはちゃんと言葉にして届けてみてください。


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