歌ネットは2001年にサービスを開始し、様々な角度から歌詞の魅力を伝えてきた。歌詞が最も検索されるのは、CD発売のタイミングであるため、歌ネットの歴代ランキングを見ると、当然、2001年以降の楽曲が上位を占めている。しかし、2001年以前の楽曲が見られていないわけではない。歌詞検索サービスがスタートした2001年以前に発売された楽曲でも、発売タイミングを逸しているという圧倒的に不利な条件にも関わらず、普遍的な魅力を持つ楽曲は、SNSによる広がりや、カバーによるリバイバルヒットなどにより現在も多く検索されている。最近では、中島みゆきの「糸」や、ザ・ブロードサイド・フォー「若者たち」が、カバーされ上位にランクインしている。今回の特集では、歌ネットがスタートした2001年以前の楽曲に限定し、閲覧数ランキングをもとに、「時代を超えても色褪せない20世紀の名曲」を紹介する。
※歌ネットプラチナリリック認定(25万アクセス以上)楽曲を抽出。

Mr.Children / 終わりなき旅

 

スピッツ通算13枚目のシングルで、1996年のオリコン年間チャート第4位、ミリオンセラーにも輝いた名曲が見事1位に輝いた。1996年といえば、シングルのミリオンセラーの数が前年の1995年と並び過去最高を記録した年である。そんな音楽全盛時代のなかでも、メロディの良さで群を抜いていたのが、スピッツなのである。スピッツの歌詞については、解釈が難しいために、いつも論議を醸しているが、百の論議より一つのフレーズである。♪「愛してる」の響きだけで〜のフレーズが流れてくれば、この以上の答えも結論もない。まさに一撃必殺のフレーズこそ、この曲の最大の魅力なのである。

 
♪「愛してる」の響きだけで 強くなれる気がしたよ♪  
     

1989年にリリースされた2ndアルバム「LOVE GOES ON…」に収録され、翌年にリリースされた5thシングルの「笑顔の行方」のカップリング曲としてリカットされた名曲が2位に輝いた。1989年といえば、バブル景気の時代であり、誰もが大きな夢を描けた時代である。今はバブルが崩壊し、大きい夢を持つことは難しいとも言われるが、本当は誰もがヒロインになりたい。ブレーキランプを点滅させてくれる人に出会いたい。この曲を聴くと、自分の人生に、恋愛に対して希望を持つことができる。まさに“DREAMS COME TRUE”を象徴する楽曲なのである。

 
♪いつもブレーキランプ 5回点滅 ア・イ・シ・テ・ル のサイン♪  
       

1999年11月に発売した4thシングルで、オリコン8位を記録したaikoの代表曲。恋をする自分をカブトムシにたとえたこの曲は、相手の魅力に惹かれていく自分と虚勢を張ってなかなか気持ちを伝えられずにいる自分を巧みに表現している。今でこそ、数多くの女性シンガーソングライターが活躍しているが、1999年といえば、まだそれほど多くなかった。ヒット曲を見ても、専業作家や名プロデューサーが数多く手掛けていた時代である。そんな中にあって、恋愛を日記のように赤裸々に綴った歌詞が、リスナーが口に出せない想いを代弁したのである。歌詞に対して“共感”という言葉が使われるようになった象徴とも言える名曲なのである。

 
♪少し背の高いあなたの耳に寄せたおでこ 甘い匂いに誘われたあたしはかぶとむし♪  
     

オリジナルは、かぐや姫。1974年にアルバム「三階建の詩」に収録した楽曲で、翌1975年11月にイルカがカバーして、大ヒット。作詞作曲をした伊勢正三は、かぐや姫、風のメンバーとして活躍し、「22才の別れ」など歌詞力が認められた作品も多い。桑田佳祐、徳永英明、中森明菜、平井堅など数多くのアーティストがカバーする早春を代表する不滅の名曲。

 
演歌で唯一プラチナリリックを記録したのが、「天城越え」。NHK紅白歌合戦では、これまでに8回歌われ、同一曲の歴史上最多記録を持っている。カラオケブームの最中に「難易度の高い作品を」という意図で制作された楽曲のため、カラオケでもよく歌われている。イチローが打席曲として使用したり、マーティ・フリードマンがロック調にアレンジするなど、ジャンルを越えて愛されている。  
   

 
アニソンでプラチナリリックを記録した楽曲は、アニメ「タッチ」初代主題歌の「タッチ」とアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」オープニング曲の「残酷な天使のテーゼ」の2曲。特に「タッチ」の♪タッチ タッチ ここに タッチ〜とのフレーズは、誰もが口ずさめるほど有名。国民的アニソンは何か?とよく話題になるが、この結果から見ても「タッチ」と言っても過言ではないだろう。  
   

2001年以前にリリースされた楽曲のなかで、プラチナリリックを最も多く記録したアーティストは、Mr.Children。「終わりなき旅」「名もなき詩」「Tomorrow never knows」「シーソーゲーム 〜勇敢な恋の歌〜」「抱きしめたい」「innocent world」「口笛」のシングル7曲がプラチナを獲得しており、いずれも誰もが口ずさめるヒット曲である。それに続くのが、スピッツ、aiko、ポルノグラフィティで4曲。スピッツ、aikoは先の楽曲別で紹介した通りであり、ポルノグラフィティは1999年にデビューし、デビュー曲から4曲がランクインしている。その他、DREAMS COME TRUE、サザンオールスターズ、GLAYなど、国民的ヒットソングを持つアーティストが続いているが、上位にランクインしているアーティストの共通点を挙げると、いずれも現在も活動しており、自分で作詞作曲しているアーティストであることが分かる。→Mr.Children曲目一覧