風の挽歌

人波をのがれて 彷徨(さまよ)うひとは
渇いた唄うたい 夜を待つの
つめたいふりしても 独りはつらい
つよがりのあとから 涙がくる

風よ 愛の哀しみを
すてる場所を 知らないか
女のこゝろの なかで
移ろいゆく 季節を
つなぎとめて 生きる智恵を
私におしえて

黄昏の街かど たたずむひとは
他人の瞳(め)のなかに 自分をみる
しあわせのまねした 仮面の奥に
青ざめた素顔が のぞいている

風よ 愛の思い出を
消せる術(すべ)を 知らないか
女のいのち 浮かべて
流れてゆく 月日に
えがお向けて 生きる智恵を
私におしえて
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