僕はラジオ

虚ろな瞳の向こうが
かつてない速度で汚されていく

ガソリンの匂いは薄まらずに伝わってくる
覗き見ていただけの世界が動き出す

僕はラジオ
君をどこかに連れ去るよ
太陽が闇を隠す頃
とっておきのナイフで!
君は何を求めてダイヤルを回すのだろう
誰にも奪われないように
この世界の全部をあげる

君の表情と表情の間の
まだ色のついてない些末な動きがあって
それを欲望のレーザーサイトが
いつだって捉えているのだぜ
若さも青さも情熱もギターも
ナルシシズムもルサンチマンも暴力も
君の声だったら何でもいいんだけれど...
君の声じゃなきゃ何でもないんだからネ

偽物の星を並べた
僕の宇宙で今はおやすみよ
子どものような深刻さだって
アメリカンニューシネマの憂鬱だってある
胸を抉るような言葉をかけてあげるよ

僕はラジオ
君をどこかに連れ去るよ
太陽が闇を隠す頃
とっておきのナイフで!
君は何を求めてダイヤルを回すのだろう
誰にも奪われないように
この世界の全部をあげる
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