宙ぶらの歌

せいじゃくは街のけんそうよりうるさくて
ニュースのむこうの不幸は大きくて
それにくらべわたしのなんか小さくて
どうにか消したいけれど消えなくって

午後はなにもしてないよ 午前もそうで
だからっていたまないわけじゃなくって
だけど朝はくるからなんとか起きて
気が遠くなりそうで
ならなくって

なんでもないかなしみはどうしたらいいの
わからない
誰の目にもうつるようなものじゃないけど
くるしいのに

アクセルもブレーキもない車に乗って
テールライトの列を見ているようで
安心したいだけなのに それすらぜいたくで
だったらなんで生きているのって
なんか

なんでもないかなしみはどうしたらいいの
伝わらない
みんなきっと楽しくてかわいいものを
見たいよね

きっとそこにわたしはいなくって
だけどほんとはそこにもいたくって
どうにかしたいけれど どうもムリで
灰色のきりの中を歩いて

なんでもないかなしみはどうしたらいいの
わからない
誰の目にもうつるようなものじゃないけど
くるしいのに

そんなこといいからと窓の向こう
新聞配達のバイクの音
遠く街の向こうでたんたんと
朝を始めようとしているよ

そんなこといいからと
そんなこといいからと
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