A Love Note For You

朝の 光のつぶてをうけ
目覚めるたび 私は
抗うことのかなわぬ力に
くみしかれる思いに
襲われるのでございます
それは おそらくは
我が打ち捨てたる十字架の
呪縛 もしくは
恩籠でございますのでしょう

現在という都市の
囚人になりて
罪のない戯れに
ただ あなたと溺れる

過烈な夏がふと口をつぐむ
魔性の ある昼下り
死に瀕した獣が
陶然とあえぐ様が
ふと 私の視界をよぎった

もしも 私を決して
許さないでくださるならば
この淫らな口にひろがる
無花果の汁を
喉につまらせ
私は生まれて初めての
激しい鳴咽に
むせぶことでありましょう

空と海が溶ける
夜明けの奇蹟を待つ
地上に残された ただ二人の迷い子
私の身体に刻み込まれた
あなたという烙印は
フェイタルな傷となり
私の命の証しを立てる

置き去りにされた
エロスの遠い岸辺より
官能のなごりを残す指が
不可思議なるさざ波を立て

こなたに居る
私という かたい器の内を 熱くしめらせる
あの燃える夏の青が
永遠とも思われた眠りから息を吹き返し
遅過ぎたフェスタの狼煙は
高く高く上がるのでございます

あの日
眼前に迫る死に
もだえていた獣は
今や
褐色の巌となりぬ
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