夜行線上のフライト

「こっちおいで」 黒猫が
手招いた 引かれる手
誰も知らない月の裏

白んでいく 暗闇と
透けていく 白い花
朝は忘れ物になる

優しく抱かれた肩
フワリ 月明かりのあったかい夜
狭まる景色うたかた
落ちる 甘い罠を知る

内緒だって 囁いて 一つに結んだ手
肢体這う 感触なら 今も疼いてるよ
二律背反 泣かないでおくれよ
ねえシスター ああ
零れてく

昨日見た 夢だっけ
思い出は 無くなって
バラバラに崩れる日々

はしたないと罵って
散々と思い知って
ユメハルカ ソレヨシヤ
いばらの鳥籠

月光浴に浸かる花
毒と気付いていた唇熱く
繰り返す目と目の声
沈む 溺れてく二人

内緒だって つぶやいて 一つに重ねた手
お願いって 刹那だけ 切り取る夜明けまで
迷子なら 教えておくれよ
ねえナタリー ああ
二人きり

花占いなら 嘘でも嫌いにしてと
ひらり また ひらりと
散りゆく花弁は ああ
白い花

内緒だって 囁いて 一つに結んだ手
肢体這う 感触から 答えは見えてるよ
二律背反 泣かないでおくれよ
ねえシスター ああ
零れてく

好きだよって つぶやいて 踏み出した二人を
月がそっと 照らしていた 顔色も変えずに
ありがとうって 泣かないでおくれよ
ねえシスター ああ
終わりゆく
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