北のおんな

海があんたの 女房ならば
私は港の 海猫(ごめ)になる
北のおんなが 操を守り
熱いこの肌 焦がす夜(よ)は
ヒュルリヒュルヒュル 風の音さえ
泣けてくる

時化が来るのも 覚悟の上で
港(はま)で見送る 女子(おなご)衆
北のおんなが 心底惚れた
海の男の 生きざまは
ヒュルリヒュルヒュル 風の波間に
船を出す

暦変われば あんたの船が
大漁みやげに 港(はま)に着く
北のおんなが 熱燗つけて
帰り待つ身の 切なさに
ヒュルリヒュルヒュル 風が哭く夜(よ)は
恋しいよ
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