禁忌の暁星

──かの話から千年。

“森立の城、晶へと贄を捧げた少年少女と真実の書物の話”

「童話の様な古い話、誰も信じない。
いずれ忘れ去られ朽ち果てて消えていくだけ」

それでも何かに導かれようやく此処へ辿りついた。
目の前の城の中であの”書物”が誰かを待っている。

小さな頃からずっと「城に近づくなかれ」と、
禁忌の様に避け続けてきたけれど。

どうして?なぜなの?
耳から離れない、あの古い話。
好奇心は抑えきれずに
一歩ずつ城へと踏み込む…

書物に触れたその時、知らない誰かの幻想が見えた。
悲しげに遠くを見つめて…
それなのに何故なのか不思議と幸せそうで。

──真実を知る為頁を捲った。

たちまち記憶が流れ込む…
“魔法の書物”“煌く星の病”“終天の真意”を見て、

ふいに声が聞こえた…

「わたしをおもいだして」
「ぼくをおもいだして」

浮遊した書物が開いて世界を飲み込んでいく。
魔法に包まれ消えていく総ての景色が今“文字”になる。

──彼らは総てを思い出したのだ。
呪われし輪廻の先、産まれた事を──

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