夢追道中

香るそよ風 峠の茶屋で
ちょいと一息 一休み
あなた思えば 千里も一里
なんで遠かろ 恋の道
だってさ だって……
胸がきゅきゅんと
逢いたくなってさ
江戸へ一筋 エー花街道

笠を持つ手を 振りながら
郷里を出たのは 三日前
父の 心配 うわのそら
母の涙も なんのその
おんな心は ひらひらり
蝶に姿を 変えまして
遥か都へ 浮かれ旅

今朝も宿場で 見掛けた二人
肩を寄せあい 先を行く
嫉けてきちゃうね お地蔵さんよ
つのる淋しさ 袖しぐれ
だってさ だって……
胸がきゅきゅんと
逢いたくなってさ
ほの字みちづれ エー花街道

はずむ足取り 鼻緒の色に
染まる西空 茜雲
明日の今ごろ
あの娘は着くと
便り届けて 山鳩よ
だってさ だって……
胸がきゅきゅんと
逢いたくなってさ
夢の道中 エー花街道
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