浪花化粧

思い切れない あなたのことは
道頓堀川(かわ)の流れが 止まっても
春だというのに 寒すぎる
泣いてこぼした 涙の跡(あと)を
浪花化粧で かくす夜

狭い部屋でも 大きく見える
ひとり暮らしの やるせなさ
抱かれたあの日の 嬉しさも
みんな知ってる 女の鏡
浪花化粧の ほつれ髪

夢を預けて 水掛不動(みずかけふどう)
祈る女を 濡らす雨
小さな倖せ なぜ遠い
肩を落とした 蛇の目傘(じゃのめ)の中で
浪花化粧が 忍び泣く
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