サン

春の風が 立ち弾む 予感にざわつき
痛む悲しみは束の間 陰に横たわる

雨が叩く 窓の音は トツトツと鳴り
明けぬ梅雨の 空を仰ぎ 深く息をする
独りぼっちの寂しさは 紛れる事なく
いつも胸の 隅っこで 膝を抱えてた

夏の始まり 緑の葉 薫る風吹けば
遠い記憶が切なげに 胸に去来する
暑い陽射しを駆け抜ける様な一瞬に
やがて蜩 夕涼み 秋の風が吹く

またひとつ 季節が行く

吹雪く冬のアスファルト つまづきながら
傷をかばい襟を立てて 時々笑った
そしてぐるり ひとつ巡り 待ち遠しいからと
独りぼっちの寂しさも 脚をバタつかす

また会おう 季節の中
またひとつ 季節が行く
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