「またね」何気ない言葉が「さよなら」に変わった。

 2Vo.+1DJの3人組“メロフロート”が2018年9月26日にニューアルバム『ON THE ROAD 2』をリリースしました。今日のうたコラムでは、今作から4月にシングルとしても配信された新曲「アネモネ」をご紹介いたします。この歌は、恋人との別れの後悔と未練を描いた切ないミドルバラード。

「またね」 何気ない言葉が
「さよなら」に変わった
あれから どうしていますか?
君にもらった 腕時計 動かなくなったよ
壊れた 僕の心みたいに

「忙しい」でさえぎる度
君は 遠ざかっていったね
「君はワガママだ」なんて じゃれていたけど
僕の方だった 悪いのは
「アネモネ」/メロフロート

 タイトルの「アネモネ」とは、ヨーロッパで美しさと儚さの象徴とされている花だそう。ゆえに花言葉も【儚い恋】【恋の苦しみ】【見放された】など悲しげなものです。そんな花言葉は、この歌の恋にピッタリ。次がある「またね」が、取り返しのつかない「さよなら」に変わってしまったのは、まさに<僕>が<君>に【見放された】からでしょう。

 会いたいなどと言われても「忙しい」でさえぎっていたあの頃。自分は「君はワガママだ」なんてじゃれていたつもりでも、相手は“あなたは会いたくないの?”と本気で不満、不安だったはず。それに「またね」は突然「さよなら」に変わったわけではなくて<君は 遠ざかっていったね>と言う<僕>も、うすうす感じていたのだと思います。

雨に濡れた 公園の 砂の城のように
積み上げた思い出も 脆く崩れてく
出逢ったのが今なら こんな僕でもきっと
あの頃より 君と喧嘩せずに済んだのになあ
「アネモネ」/メロフロート

 でも遠ざかる<君>を自覚していながらも、どこかで“まぁ大丈夫だろう”とタカを括っていた。そうやって大切な人を放っておいている間、白から黒へのグラデーションのように「またね」は「さよなら」に変わり、<雨に濡れた 公園の 砂の城のように 積み上げた思い出も 脆く崩れて>ゆき、今<僕>はひとり【恋の苦しみ】のなかにいるのです。

読み終わった小説を
読み続けてるだけなのかな
大事なことを よく忘れて困るのに
忘れられない 君のことは

別れてから 理想の姿に近づいたよ
後悔で学んでも それじゃ遅すぎる
二人の時間を もっと大事にしてたなら
僕は誰より 君を幸せにできてたかもなあ
「アネモネ」/メロフロート

 さらに「アネモネ」には、赤い花=【君を愛す】、白い花=【期待】、紫の花=【あなたを信じて待つ】という花言葉もございます。実はこの歌、一度も<僕>は“まだ君を愛している”とも“会いたい”とも“やりなおしたい”とも直接的には言葉にしていないんです。それでも伝わってくるのは、アネモネの花言葉のように、まだ君を愛し、期待し、信じて待っている心模様…。

 だからこそ、まだ続きがあるかのように<読み終わった小説を 読み続けてる>日々が続くのでしょう。また、別れたゆえの後悔によって<理想の姿に近づいた>から、今の自分なら<君と喧嘩せずに>済むかも、もっと<二人の時間を>大事にできるかも、そして<誰より 君を幸せに>できるかも、と手遅れな想像をせずにはいられないのでしょう。

今になってわかった 君のほうが僕より
続くこと 望んでた 愛してくれてた
ふたりで通った雑貨屋も 今はもうなくなって
街も 君も 変わり 僕だけが止まってるけれど

この歌に乗せて
「さよなら」
「アネモネ」/メロフロート

 こうして幕を閉じてゆく歌。余談ですが、ファッションビル“ルミネ”の広告コピーに【恋は奇跡。愛は意思。】という言葉がありましたよね。きっとこの歌の<君>もちゃんと【意思】を大切にしていたのです。それが<君のほうが僕より 続くこと 望んでた 愛してくれてた>というフレーズに表れております。逆に、かつての<僕>にはその【意思】が足りなかった…。その結果「さよなら」にたどりついてしまいました。
 
 ですが【恋は奇跡。】という言葉を信じるのなら、この歌に乗せた「さよなら」がもう一度“愛”に繋がる可能性だってゼロではありません。もしそんな奇跡が起きたそのときは、今度こそ“僕のほうが君より”愛を続ける【意思】を大切に過ごしてゆくことができたらいいですよね…!今、忘れられない人がいるというあなた。是非、メロフロートの「アネモネ」を聴いてみてください。

◆紹介曲「アネモネ」
作詞:MELOFLOAT
作曲:鈴木健太朗

◆2nd ALBUM『ON THE ROAD 2』
2018年9月26日発売
初回生産限定盤 AICL-3571~72 ¥3,241(税抜)
通常盤 AICL-3573 ¥2,500(税抜)

<収録曲>
01.NEVER GIVE UP!!
02.僕は走り続ける
03.ハルコイ
04.アネモネ
05.DIARY
06.悲しみなんて笑い飛ばせ
07.いっちゃん好きやねん
08.ただいまと言えるまで
09.ミチシルベ ~Acoustic Ver.~
10.明日へのメロディー