何も無かったかのように、戻れたらそれはそれでいいのに…。

 9月17日に公開されたばかりの映画『聲の形』はもうご覧になりましたか…!?この作品は『週刊少年マガジン』に連載され、数々の賞に輝いた“大今良時”のコミックが新たにアニメーション映画として生まれ変わったもの。先天性の聴覚障害によって嫌がらせを受けるようになった少女(硝子)と、彼女のイジメの中心人物となったことが原因で周囲から孤立してしまった少年(将也)の二人の“心の触れ合い”がテーマの物語となっております。そんな名作の主題歌を担当したのは“aiko”です!

初めても最後も今も舞う花びらに刻み送るよ
Darling
落ちる雨に映る二人 世界は誰も知らない

恋をしたのはいつからか泣いたのは何度目か
数えると夜が明けるわ 困るな...

伝えたかった事は今も昔もずっと同じままだよ
Darling
迷わぬよう歩いていけるたったひとつの道標
「恋をしたのは」/aiko

 aikoは、9月21日に36枚目のニューシングルとして「恋をしたのは」をリリース!歌詞もアクセス数がじわじわと人気上昇中です。先日、彼女のオフィシャルHPにてライター・もりひでゆき氏によるインタビューが公開され、この曲についてこのようにコメントしておりました。

「私は大切な相手に対して、なんの私利私欲もない、純粋に心の底で強く想う気持ちだけで繋がっている瞬間があったらいいなとすごく思うんです。たとえケンカしたりぶつかったりするときがあったとしても、そういう気持ちが根底にないとちゃんと向かい合うことはできないだろうなって思うし。なので、初めても最後も今もずっとあなたに感謝しているっていう曲を今回は書きたかったんですよね。この人に一生ついていけばいいんやなっていう決心とも言える大切なフレーズ <迷わぬように歩いていけるたったひとつの道標> が書けたことは自分にとってもすごく重みがありました。」(aiko)

 <迷わぬよう歩いていけるたったひとつの道標>…人間、生きていると毎日しんどいことも色々ありますが、そんな存在の誰がそばにいてくれたら、どんなに心強いことかと思いますよねぇ…。きっと『聲の形』では、硝子にとっては将也が、将也にとっては硝子が、互いの“道標”になっていたのでしょう。また、いつものaikoの楽曲よりシンプルなサビの歌詞は、まさに「純粋に心の底で強く思う気持ちだけ」を際立たせており、切々とした高音からも一途な想いが伝わってきます。是非、映画と共にオススメしたい1曲です!さらに、今日のうたコラムではニューシングル「恋をしたのは」のカップリング曲もご紹介。

耳の奥に残ったまま 出てこないプールの水
あなたの声や瞬きが あたしからずっと離れない

どうして台所に来たのか ぼーっとしてて覚えてない
効きの悪いクーラーと 湿っぽいあたしが揺れている

思い出すの 綺麗に割れたあのグラス
もう一度重ね合わせたら
何も無かったかのように 
戻れたらそれはそれでいいのに

優しくゆっくりしめつけた 
心がやっと気づいて泣いた
あなたも同じように今 
少しで良いから思い出して欲しい
「夏バテ」/aiko

 表題曲とは一転。終わってしまった恋へボンヤリと想いを馳せる、晩夏の失恋ソングです…。夏バテとは、みなさんご存知、夏の暑さによる体調不良のこと。この歌の主人公は、燃え上がった恋愛の熱からまだ冷めることができずに、心の不調を起こしてしまっているような状態なんですね。彼の仕草を思い出したり、フラフラと台所へ行ったり、しばらくは現実を受け入れられずにいますが、やがて<優しくゆっくり>現実が彼女をしめつけます。そうして涙が出てきたとき、やっと本当の意味で悲しむことができたのかもしれませんね…。

思い出したくなくっても
忘れられない日々がある
明日があるよの一言を
ビタミン剤には使えない
希望は自分で探すだけ
「昨日のしみ」/谷川俊太郎

 余談になりますが、aikoの「夏バテ」を聴いていたら、谷川俊太郎さんの「昨日のしみ」という詩にこんな一節があったことを思い出しました。彼女がどんなに泣いても、新しい朝を迎えても、やっぱりそこには“昨日のしみ”が“忘れられない日々”があるのでしょう。だからこそ、そこから抜け出すには、“希望”を探すしかないんですよね。夏に失恋してしまい、この歌と同じような状態にあるという方は、なんとか早く“心の夏バテ”を回復させて、前へと進んでゆけますように!

◆36th Single「恋をしたのは」
2016年9月21日発売
PCCA-15036 ¥1,200円+税

<収録曲>
1.恋をしたのは
2.夏バテ
3.微熱
4.恋をしたのは(instrumental)