ノイズ

 2026年5月20日に“五十嵐ハル”が新曲「ラヴノイズ」をリリース! 同曲について五十嵐ハルは、「触れ合うたびに、満たされるより先に欠けていくものがある。それでもその一瞬に縋ってしまうような、どうしようもなく不器用な愛を書いた曲です。終わりを知りながら踊ってしまうような心をそのまま歌にしました。」とコメントしております。
 
 さて、今日のうたではそんな“五十嵐ハル”による歌詞エッセイをお届けします。綴っていただいたのは、新曲「ラヴノイズ」にまつわるお話です。自身が「愛」について考えてみたとき、切り離せない「ノイズ」の存在。唯一の答えなど存在しないからこそ、この歌で描いた“ほんの数ミリ”の感情とは…。



「ノイズ」という言葉は、本来なら愛とは真逆の場所に置かれているはずなのに、実際は驚くほど近くに潜んでいる気がする。
むしろ愛の隣にいるというより、最初から背中合わせで縫い付けられているものなのかもしれない。
好きになればなるほど、不安や疑い、嫉妬や執着みたいな雑音が増えていく。なのに人は、そのノイズごと愛だと呼んでしまう時がある。
 
「愛は綺麗なものだ」と言い切れる人を見ると少し羨ましくなる。
僕にはどうしても、その綺麗な輪郭の周りで鳴り続ける耳鳴りみたいなものが聴こえてしまう。
でもきっと、そのノイズが聴こえなくなることを「盲目」と呼ぶのかもしれないし、逆にノイズばかり拾ってしまうことを「大人になった」と呼ぶのかもしれない。
結局どちらが正しいのかは分かっていない。
 
愛について語る人は昔から山ほどいる。
小説も映画も歌も、みんな愛を説明しようとしている。
それなのに未だに、全員が同じ顔で頷ける答えはどこにもない。
たぶん愛は、定義した瞬間に少し腐ってしまうものなんだと思う。
だから僕らは、それぞれの痛みや記憶を定規代わりにして、曖昧なまま愛を測っていくしかない。
 
何が正解で、何が間違いなのか。
誰が幸せで、誰が不幸なのか。
そんなものはほんの数ミリのズレで簡単に反転してしまう。
昨日まで救いだった言葉が、今日は誰かを傷つける凶器になることもある。
 
この曲に入っているのも、そんな無数にある愛の中の、ほんの数ミリ分の感情だ。
できれば一生、知らないままでいたかった種類のものだ。
 
<五十嵐ハル>



◆紹介曲「ラヴノイズ
作詞:五十嵐ハル
作曲:五十嵐ハル