歌詞作りって流派がある

 2024年4月17日に“ポルカドットスティングレイ”がNew Digital Single「ブラックボックス」をリリースしました。同曲は月刊コロコロコミックで人気連載中『ブラックチャンネル』YouTubeアニメのテーマソングとして書き下ろした作品。うねるベースとタイトなドラムに攻撃力抜群のギターが重なり合った緊張感の高いアレンジで、ダークヒーローであるブラックを。歌詞では、どんなことがあっても友だちのブラックを信じる主人公・さとしの気持ちを表現した炎上上等なアグレッシブな楽曲となっております。
 
 さて、今日のうたではそんな“ポルカドットスティングレイ”の雫による歌詞エッセイを3回に渡りお届け! 綴っていただいたのは自身の作詞論について。第1弾のテーマは<作詞のとき、なにを重視するの?>というお話です。歌詞作りの2つの大きな流派とは…。ぜひ、ポルカドットスティングレイ楽曲の歌詞と併せて、エッセイをお楽しみください!



雫です。
歌ネットに記事書けるなんて光栄やなぁ!?!?全3回です。
 
作詞にまつわる話でも、なんなら日記でもポエムでも小説でもなんでもOK!という懐の広い依頼を頂いたんやけど、みんな正直私のポエムきついと思いますので、作詞論の話をします。
 
作詞に興味ある人はもちろん、音楽を聴くときに歌詞をちゃんと見る派の人も、見ない派の人も!
知っとくと、ふ~んってなってちょっと楽しい話をしたいと思います。
 
今回はこちら。
<作詞のとき、なにを重視するの?>
 
これ、流派が大きく分けて2つあります。
「意味先行型」「音先行型」です。
歌詞のメッセージ性を重視するか、言葉のサウンドの気持ちよさ(メロやオケとのハマり方)を重視するか。
両方大事なんだけど、どっちに重きを置くかくらいの話です。
 
私は100%の「音先行型」です。メロディを先に作ってあとから歌詞を入れます。
 
私は、必ずしも全箇所の歌詞に意味が無くて良いと思っています。
まずはメロディがキャッチーかどうか。曲全体としてサウンドが気持ちいいかどうか。それを後押しするために歌詞(歌の発音)があり、あくまで言葉を当てはめていく指標として「意味(テーマ)」がある。という流派です。
歌詞を音として捉えているんですネ。
 
例えば、サビの頭!
ドーン感が欲しいよね。オケの楽器の量や圧が増えます。
サビ頭のドーン感を、楽器と一緒になって出せる言葉選びをします。ボーカルが一番音デカいからね。威力絶大です。
 
サウンドを重視する場合、サビ頭の瞬間の歌詞は、ア段の音や、立ち上がりの速い音(カ、タ、濁点がついた音など)を選びがちです。私はね。
 
うちの曲だと、
 
ヒミツ→逃げられ「な」
テレキャスター・ストライプ→「あ」あ
パンドラボックス→「あ」あでもないしさ
DENKOUSEKKA→く「ら」
ラブコール→「あ」いするあなた
バケノカワ→「ま」ばたいたって
女神→「か」っさい
トゲめくスピカ→ねえどうかし「た」
ダイバー→い「ま」
リドー→「あ」いあいしてる
ゴーストダイブ→だから「ゴ」
ブラックボックス→「だ」いもんだい
 
そういうことです。
 
ただし!
メッセージ性、意味合いを優先して作る「意味先行型」の人の場合はこれを無視したりします。
 
そういう人の曲に対しては、言葉のサウンドよりも、意味としてベストな言葉を選んだほうが良いからです。
だって、言葉を伝えるためにメロディがあって、付随するオケがあるという考え方だからネ。
弾き語りでも映えるのはこっち!(ちなみにおそらく今こっちが流行りがちです。エモさというやつですネ)
 
これ、正解は無いですので、みんな違ってみんな良いんですネ。
 
サビで歯触りの良い同じ言葉を繰り返すか? しっかりストーリーを見せるのか? どっちも良いよね。
 
ちょっとみんなSpotifyやらApple Music開いて、適当な曲聴いてみて。
どっちの流派か分かんない!どっちも押さえてる!っていう曲、それは天才です。
天才がいっぱいいるから困ってるんだよな。
 
<ポルカドットスティングレイ・雫>



◆New Digital Single「ブラックボックス
2024年4月17日リリース
作詞:雫
作曲:雫