ダチュラ

 2023年9月20日に“SIX LOUNGE”がニューアルバム『FANFARE』をリリースしました。バンドにとって約2年半のアルバムとなる今作は、話題曲「リカ」や「エバーグリーン」、TVアニメ『僕のヒーローアカデミア』6期 第2クールEDテーマに起用されていた「キタカゼ」など、SIX LOUNGEの魅力がたっぷり詰まった一枚となっております。
 
 さて、今日のうたコラムではそんな“SIX LOUNGE”のナガマツシンタロウによる歌詞エッセイを2ヶ月連続でお届け! 今回は第2弾。綴っていただいたのは、収録曲「俺たちのファンファーレ」にまつわるお話です。“愛は凶器”だとしたらきっと“言葉”は…。今日まで生きてきたあなたへ。この歌詞とエッセイを受け取ってください。



一寸先も見えないほど、濃霧がピッと張り詰めて、何をするにも手探りで、
失敗すれば叩かれる。
会いたい人にも会えない。
ちょっと気を抜けば、もう何もしたくない、そんな、無気力という、地獄がすぐそばにある。
 
そんなどうしょうもない時代を、この身を持って、経験してきた。
 
誰もが、孤独を抱えている。
強い人なんていない。
たまに、鈍感な人がいる。
そういう人は強く見えるけれど、気付かないうちに痛みが溜まって、大きく膨れ上がり、いつか、急に爆発してしまう。
 
そろそろ、
お互いの生存確認をしよう。
もうずっと、我慢してきたね。
何度も悔しい思いをした。
目を腫らせて、声にならず飲み込んだ叫びが、奇形の花になって、その身体の中を蝕んだ。
永遠に終わらない夜が何度もあった。自分と闘った。
だけど、君はその夜に勝った。
その度に、同じ太陽に抱きしめられてきた。
ほら、空は、決まって晴れだったはず。
痛みを繰り返して、繰り返して、でも、結局少しも強くなれずに、君は今、この文章を読んでいる。
 
27年生きて、知ったこと。
 
言葉だけで人は簡単に殺せます。
 
前回、このコラムで「愛は凶器」だと言った。
それなら、言葉は「毒」だ。
相手から投げられた毒がいつか致死量を超えたとき、人は死ぬ。
こんなことを偉そうに言っている自分だって、たくさん人を傷つけてきた。
傷つけばいいと思って、しっかり毒を吐いた。
自分自身を守る手段だったのか。
その相手は、苦しかったと思う。
苦しめてしまった。
いや、その時は、苦しめたかった。
ここでそんな自白をしたところで、どうなるわけでもない。
そんな事はわかっている。
そうです。ナガマツシンタロウは、そういう人間です。
まったく、いい人なんかじゃない。
でも、毒というものは、使い方によっては薬になる。
ダチュラ。
自分の中の毒は捨てない。
 
 
このファンファーレが聞こえるか
 
 
最近調子どう?
 
 
俺は、あの日君がくれた、生きててくれてありがとうって言葉がとても嬉しかった。
そんな君も、今日まで生きててくれてありがとう。
次はいつ会えるかな。
何年ぶりかな。
もう飽きたかな。
 
 
君にいつか、俺たちの音楽が必要無くなっても、別に大丈夫です。
 
 
君だけの色使いで、あざやかに生きてください。
 
 
でも、死にたくなったら、呼んでください。
 
<SIX LOUNGE・ナガマツシンタロウ>



◆紹介曲「俺たちのファンファーレ
作詞:ナガマツシンタロウ
作曲:ヤマグチユウモリ

◆NEW ALBUM『FANFARE』
2023年9月20日発売
 
<収録曲>
01.アナーキー・イン・ザ・人生
02.俺たちのファンファーレ
03.キタカゼ
04.エバーグリーン
05.merry bad end
06.モモコ
07.宿酔
08.エニグマ
09.HAYABUSA
10.恋人よ
11.僕と心臓
12.骨
13.アジアの王様
14.Paper Plane
 
-Bonus Track
15.リカ
16.夢みた君が大好きだ