WomanとXL

 2022年7月27日に“坂口有望”がNew EP『XL』をリリースしました。今作には、浮遊感あるオルタナティブなサウンドに失恋の想いを乗せた表題曲「XL」に加えて、ボカロP・すりぃが初めて共作詞で参加した「ティーンエイジダイバー」、コロナ禍の心境を歌った「#ボクナツ」、マカロニえんぴつの人気曲「恋人ごっこ」カバー、自身の代表曲「好-じょし-」(2022 ver.)や、表題曲「XL」のAcoustic ver.を収録し、シンガーソングライター、表現者として新しい魅力を打ち出す作品が完成。
 
 さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“坂口有望”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回は第1弾。綴っていただいたのは、デビュー5周年を迎えた今の心境。大事な節目に放つEP『XL』のコンセプト、そしてタイトル曲「XL」にまつわるお話です。改めてデビュー曲「好-じょし-」の歌詞も読み返しながら、今作とエッセイとお楽しみください…!



歌ネットのエッセイは、ここ数年はほぼ毎回、新譜の度に書かせてもらっている。何気に楽しみにしているのは、日に日に「文章が好き」という感覚が強くなってきているからだと思う。今回は三回にわたって、新譜はもちろん、この夏でデビュー5周年を迎えた心境についても突き詰めていきたい。
 
高校2年生の夏、シングル「好-じょし-」でメジャーデビューしてから5年が経った。まずは、いつも私の曲を受け取ってくれる皆さんのおかげで続けてこられたこと、本当に感謝の気持ちで一杯です。
 
さて、この大事な節目にふさわしい作品を、とEPの制作に取り掛かったのは、今年の頭のことである。久しぶりのCDで、どんな方向性にするべきか、坂口有望チームで入念に話し合った。一言でまとめると、デビュー曲がGirl(好-じょし-)ならば、とことんWoman(女性)な一枚。タイトル曲の「XL」がそれを物語っていると思う。
 
友達の話や架空のストーリーで書いてきたこれまでのラブソングと違って、初めて主役に自分が浮かぶ曲。いつか、何かのインタビューで「今の私には愛してるとかって歌えない」と答えたのを覚えている。気恥ずかしい気持ちや、無駄なプライドを捨てて書いたこの歌は、痛々しいほどにリアルだ。
 
思えば、自分の恋を歌うのに5年、デビュー前から数えるともっとかかってしまった。しかし、長い年月をかけて、音楽と自分の人生がどんどん切り離せないものになってきたことが嬉しくもある。生粋の音楽家になってきたのかも、と。
 
そして、弾き語りのしっとり聴かせるイメージからガラッと変わったバンドアレンジは、これが失恋ソングだということを忘れさせてくれるくらい爽快でとても気に入っている。

レコーディングを終えて、いよいよビジュアル周りの打ち合わせの時、デビュー当時以来の短さまで髪を切ることで満場一致に。女性が髪を切るという行為は、昔から言葉以上の意味がある。わたしの場合は…ご想像にお任せします。
 
「好-じょし-」を歌っていたあの女の子は大人になれたのか、「XL」EPをもって、その耳で確かめてほしい。

<坂口有望>



◆紹介曲「XL
作詞:坂口有望
作曲:坂口有望

◆New EP『XL』
2022年7月27日発売
初回生産限定盤 [CD+Blu-ray]  ESCL-5693~4 ¥5,000(税込)
通常盤 [CD]  ESCL-5695 ¥2,000(税込)
 
<収録曲>
01.XL
02.ティーンエイジダイバー
03.#ボクナツ
04.恋人ごっこ
05.好-じょし-(2022 ver.)
06.XL(Acoustic ver.)