サプライズも花もいらないから、あなたのものだと大声で叫びたいの。

 2022年6月22日に“有華”がEP『Stamp Rally』を配信リリースしました。今作には、TikTokやInstagramなどのSNSで現在大きな話題となっている「Partner」をはじめ、2021年にリリースした「一蓮星」、2022年2月から3カ月連続リリースした「バースデーソング -2022 ver. -」、「Marry me」、に加えて新曲「サヨナラのはじまり」「終わらない唄」も収録!
 
 さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“有華”による歌詞エッセイを2週連続でお届け。第2弾は、収録曲「Marry me」にまつわるお話です。歌詞には<ドキドキより温もりを 変わりなんていないの 2人で歩んでこう forever>という一途な愛が綴られたラブソング。この歌の背景にある切ない実話とは…。歌詞と併せて、受け取ってください。



2021年の夏
5年付き合っている彼氏がいた友達が
別れたと電話をかけてくれた。
私は一言目に「大丈夫?」と聞いたら
彼女は「大丈夫なわけないやあああん」と大泣きし始めた。
そりゃそう。大丈夫なわけないのに大丈夫? と聞く
私も相当バカだと何故か太ももをつねりながら話を聞き始めた。
 
ちょっと呼吸が落ち着いた時
彼女はやっと口を開いて
「君とは結婚でけへんって言われてん。」と
鼻水を啜りながら伝えてくれた。
「お互い結婚を考える歳だからこそ踏ん切りをつけないとと思った。
俺にはまだやりたいことがあるから結婚できない。」やって。
納得しきってないことがすぐにわかった。
 
正直、2人の関係は2人にしかわからないし
自分が全てを知っているわけではない。
でも2人の関係を終わらすきっかけになってしまったのは
【結婚】だった事は確かだ。
 
彼女は続けて私に伝えた。
「30までには子供を産みたいし、ウェディングドレスだって着たいやん。これってわがまま?」
私は即答した。
「ううん。わがままじゃない。それが本音やと思う。」
そこから朝まで電話を繋げて今までの2人の話を聞いた。
幸せの絶頂だった時の話も、大喧嘩した話も全部。
すると彼女は
「もっと素直に伝えとけばよかった。」とポロッとつぶやいた。
朝まで私に熱弁してくれた彼への気持ちを彼女は伝えきれてなかったらしい。
その理由は「嫌われたくないから。」
 
何故か恋をすると本音を出す前に嫌われたくない。離れたくない。気持ちが生まれる。
そうしたいと思ってなくても自然になってしまう不思議な現象。
 
そして最後に一言
「この話いつか曲にしてな」と笑いながら彼女は言った。
「もちろん!」と答えた時には既にiPhoneのメモは半分以上埋まっていた。
ごめんね。スピーカーでうんうん。と話を聞きながら
既にメロディーも鳴っていたよ。
 
そして出来上がったのが「Marry me
結婚したい気持ちが高まった時に書いた曲ではない。
結婚できないと振られた友達への“報いの歌”。
 
サプライズも花もいらないから
あなたのものだと大声で叫びたいの。
 
それだけでよかったんだ。

<有華>



◆紹介曲「Marry me
作詞:有華
作曲:有華

EP『Stamp Rally』
2022年6月22日発売

<収録曲>
1 バースデーソング - 2022 ver. -
2 Partner
3 一蓮星
4 Marry me
5 サヨナラのはじまり
6 終わらない唄