歌詞を書かない自分が何を綴れるだろうか。

 2022年6月22日に“シナリオアート”が自身初となる2枚のアルバムを同時リリースしました。バンド盤・4th Full Album『Blue Smell』、アコースティック盤・1st Acoustic Mini Album『White Smell』となっております。そしてアルバムリリースに伴い、4年ぶりとなる東名阪ワンマンツアーを開催。7月23日(土)には東京都・渋谷WWW公演を予定!
 
 さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“シナリオアート”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回が最終回です。執筆はヤマシタタカヒサが担当。今作の収録曲でとくに耳に残ったフレーズ。曲順を考える際、歌詞をよく聴いたことで見えてきたもの。そして『Blue Smell』への想いを綴ってくださいました。ぜひ、歌詞と併せてエッセイをお楽しみください…!



また今年も暑い夏がやってきた。
街で見かけるおへそが隠れない短い服を見ては
「あんた、そんなお腹出してお腹冷えるで?」と
自分の中の心配性オカンが顔を出す季節。夏。
 
3週連続歌詞エッセイの最終回、
歌詞を書かない自分が何を綴れるだろうかとパソコンの前で悩み続ける。
歌詞を書かないばかりか、一言一句歌詞を追いながら曲を聴くこともあまりしない。
かといって歌詞がなんでもいいかと言われるとそんなことも無くて、
聴いてる中で耳に残るフレーズがあればあるほど、その曲の好き度は高くなる。
 
例えば「テンダーランド」では
 
誰もいない劇場で歌っても
虚しくなることを忘れてた
 
という一節にグッとくるし

 
黄色線の外側 ギリギリの日々
 
は日常での映像と相まってずっと耳に残るフレーズだ。
 
あ、あと曲順を考えるときにも歌詞をよく聴いた。
 
今作のアルバム『Blue Smell』は、
ここ何年かで発表してきた曲達をアルバムとしてリリースしよう、
という流れの中でVo/Gtコウスケさんが持ってきた言葉だ。
 
でも青臭くストレートな思いやキラキラした思い出だけじゃなくて、
生きていれば誰もが辿り着く“終着点”
そんな終わりの瞬間も曲の端端から感じて、
時間の経過と共に青い輝きが色を変えていくような、そんな曲の並びにしたつもり。
 
聴き終わった時にもう1周ループして再生したくなる、
何かちょうどいい爽快さと読後感とボリューム感がこのアルバムにあるよね。
 
あれ、無い?
 
いやいや、あるよ。
 
 
なんて主題がよくわからない文章になったけど最後に。
 
2021年に日本の作品として発売された新譜のアルバムは、
様々なジャンルを引っくるめておよそ5000枚(らしい)。
 
盤として発売されてないものや、ライブハウス等で自主制作して出されたものも含めるともっと多くなる。
今年もきっと同じくらいの枚数になるのかな?
 
そんな沢山のアルバムの中から、この『Blue Smell』に辿り着いて、耳を傾けてもらえた事が本当に嬉しい。
ふとした時に思い出して時々聴いてもらえるくらいに、ちょっとでも心に残る曲があったらいいなと思う。
 
<シナリオアート Ba/Cho ヤマシタタカヒサ>



◆4th Full Album『Blue Smell』
2022年6月22日発売

<収録曲>
1 テンダーランド
2 アイマイナー
3 ブルースメル
4 アオノリビドー
5 アンティークトロフィー
6 トワイヴェール
7 ドリーミーラブストーリー
8 ドリームイーツ
9 スーサイドスポット
10 アカシアホーム
11 スワンテイル